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初詣で縁結び祈願したら、願い事が即かなったので、今年はいい年になりそうです……!
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紺のコートがすっきりと似合っている眼鏡の男の子は、よく田中くんと一緒にいるうちの会社の子だ。
人の好さのにじみ出た、ちょっと大人しそうな雰囲気のやわらかな男の子で、でもすごく有能な営業さんだと聞いたことがある。
朝の通勤に使っている電車が一緒で、よく駅から会社までの道で見かける顔だ。
そして実は、ちょっと、ほんのちょっとだけ気になっていた子でもある。
にこりと笑いかけられて、顔が熱くなる。
「初詣?今から?」
「そ。そっちは?」
「俺たちも今からなんだ。えっと」
陽菜とハイタッチしていた田中くんが、私を見て口ごもる。
陽菜は、「あ」と私のほうへ体を向け、
「ごめんなさい、有紗先輩。紹介が遅れました。こっちが私の友人で、営業の田中伸久です」
「田中です。これは、同僚で友人の榎森夏樹。営業です」
榎森さん。
やわらかな響きの名前は、彼の雰囲気によく似合っている気がして、胸の中で繰り返してしまう。
私は会社の先輩らしい落ち着いた笑みをつくって、
「秘書課の澤口有紗です」
「陽菜から、お噂はかねがね。すっごく優しくて綺麗な先輩なんだって、いつも自慢されてます」
田中くんが、陽菜の肩をたたきながら言う。
お世辞でも、嬉しい。
だがしかし、この二人、これで付き合ってないなんてなぁ。
私としては、その距離感や空気は恋人レベルなんですが。
まぁ、陽菜も田中くんもコミュ力高いリア充だ。
ひきこもり気味の私とは感覚が違うのも致し方ない。
「ありがとうございます。陽菜も、ありがとう」
照れて笑うと、陽菜は「ほんとうのことですから」と胸をはる。
子どもっぽい姿がかわいくて、思わず田中くんと顔を合わせてわらってしまう。
「はは。えーと、澤口先輩。もしよかったら、ご一緒にお参りしてもいいですか?」
「あ、はい。もちろん。どうぞうどうぞ」
和やかな雰囲気に、頷いてしまう。
会社の男子と一緒じゃ、気合をいれて縁結び祈願ってわけにもいかないけど、この流れでは断れない。
仕方ないかと思っていると、「は?」と陽菜が口をはさんだ。
「嫌だし。っていうか、私、今日はガチの縁結び祈願なんだから。男と一緒じゃ集中できない」
「は?縁結びって、お前。誰か好きなヤツでもいるのかよ?」
ツンとして陽菜がいうと、田中くんが慌てたように尋ねる。
おや……、これは?
もしかするともしかするのではと期待が籠った目で、田中くんを観察してしまう。
陽菜はむっとしたように口を曲げ、
「いないから、いい男と出会えますようにってお願いするの。わかる?」
「いねーのかよ。焦らせんな、馬鹿」
ほっとしたように、田中くんが笑う。
陽菜は、「え」と目を見開いた。
「なにそれ、あんた私のことが好きなの?」
陽菜、直球すぎ。
からかうように陽菜が言うと、田中くんは一瞬ためらった後、
「そーだよ。……どさくさで悪いけど、最近お前がやたらかわいく見えるんだわ。一緒にいても楽しいしさ。マジで好きだし、付き合わね?」
顔を赤くして、田中くんが言う。
その目は真剣に陽菜を見つめていて、そばにいるだけの私はどきどきとこの展開を見守る。
「え。マジで?……いや、急にそんなこと言われても困るんだけど」
大きな黒い目をさらに大きく見開いて、陽菜はいう。
否定的な言葉とは裏腹に、赤くなる頬がすごくかわいい。
「口にしたのは急かもしれねーけど、けっこう俺、態度に出てただろ?ぜんぜん気づかなかったのかよ」
「気づいてないっての。ばーか」
と言いながらも、陽菜はコートの胸のあたりを握りしめて、上目遣い。
これは、まんざらでもないですよねー。
田中くんの隣に立っている榎森くんと、視線を交わして、うなずき合う。
人の好さのにじみ出た、ちょっと大人しそうな雰囲気のやわらかな男の子で、でもすごく有能な営業さんだと聞いたことがある。
朝の通勤に使っている電車が一緒で、よく駅から会社までの道で見かける顔だ。
そして実は、ちょっと、ほんのちょっとだけ気になっていた子でもある。
にこりと笑いかけられて、顔が熱くなる。
「初詣?今から?」
「そ。そっちは?」
「俺たちも今からなんだ。えっと」
陽菜とハイタッチしていた田中くんが、私を見て口ごもる。
陽菜は、「あ」と私のほうへ体を向け、
「ごめんなさい、有紗先輩。紹介が遅れました。こっちが私の友人で、営業の田中伸久です」
「田中です。これは、同僚で友人の榎森夏樹。営業です」
榎森さん。
やわらかな響きの名前は、彼の雰囲気によく似合っている気がして、胸の中で繰り返してしまう。
私は会社の先輩らしい落ち着いた笑みをつくって、
「秘書課の澤口有紗です」
「陽菜から、お噂はかねがね。すっごく優しくて綺麗な先輩なんだって、いつも自慢されてます」
田中くんが、陽菜の肩をたたきながら言う。
お世辞でも、嬉しい。
だがしかし、この二人、これで付き合ってないなんてなぁ。
私としては、その距離感や空気は恋人レベルなんですが。
まぁ、陽菜も田中くんもコミュ力高いリア充だ。
ひきこもり気味の私とは感覚が違うのも致し方ない。
「ありがとうございます。陽菜も、ありがとう」
照れて笑うと、陽菜は「ほんとうのことですから」と胸をはる。
子どもっぽい姿がかわいくて、思わず田中くんと顔を合わせてわらってしまう。
「はは。えーと、澤口先輩。もしよかったら、ご一緒にお参りしてもいいですか?」
「あ、はい。もちろん。どうぞうどうぞ」
和やかな雰囲気に、頷いてしまう。
会社の男子と一緒じゃ、気合をいれて縁結び祈願ってわけにもいかないけど、この流れでは断れない。
仕方ないかと思っていると、「は?」と陽菜が口をはさんだ。
「嫌だし。っていうか、私、今日はガチの縁結び祈願なんだから。男と一緒じゃ集中できない」
「は?縁結びって、お前。誰か好きなヤツでもいるのかよ?」
ツンとして陽菜がいうと、田中くんが慌てたように尋ねる。
おや……、これは?
もしかするともしかするのではと期待が籠った目で、田中くんを観察してしまう。
陽菜はむっとしたように口を曲げ、
「いないから、いい男と出会えますようにってお願いするの。わかる?」
「いねーのかよ。焦らせんな、馬鹿」
ほっとしたように、田中くんが笑う。
陽菜は、「え」と目を見開いた。
「なにそれ、あんた私のことが好きなの?」
陽菜、直球すぎ。
からかうように陽菜が言うと、田中くんは一瞬ためらった後、
「そーだよ。……どさくさで悪いけど、最近お前がやたらかわいく見えるんだわ。一緒にいても楽しいしさ。マジで好きだし、付き合わね?」
顔を赤くして、田中くんが言う。
その目は真剣に陽菜を見つめていて、そばにいるだけの私はどきどきとこの展開を見守る。
「え。マジで?……いや、急にそんなこと言われても困るんだけど」
大きな黒い目をさらに大きく見開いて、陽菜はいう。
否定的な言葉とは裏腹に、赤くなる頬がすごくかわいい。
「口にしたのは急かもしれねーけど、けっこう俺、態度に出てただろ?ぜんぜん気づかなかったのかよ」
「気づいてないっての。ばーか」
と言いながらも、陽菜はコートの胸のあたりを握りしめて、上目遣い。
これは、まんざらでもないですよねー。
田中くんの隣に立っている榎森くんと、視線を交わして、うなずき合う。
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