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月が赤いのですが
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ざっくりとバッグの中の荷物を確認し、今後のことを考える。
手に持っていたパスポートや飛行機のチケットはなくなっていたけれど、バッグの中にいれていたものは、ぜんぶ無事だった。
……さぁ、これからどうしようか。
膝を抱えて考えていると、木の外から声がかけられた。
「待たせたな」
覚えのある声に、ほっとする。
彼が帰ってきてくれるって信じていたけど、それと実際に彼が無事で私を迎えに来てくれた嬉しさは、また別物だ。
「お帰りなさい」
ちょっと、涙がうかんでしまう。
そっと指で涙をぬぐい、笑って言うと、彼は木のうろの前に膝をついて、私のほうへ手を差し伸べてくれた。
私は彼の手に、手を重ねた。
彼はそうっと私の手を引き、木のうろから引っ張り出してくれた。
「どこも怪我していない?」
彼の姿をざっと観察する。
白皙の顔も、黒いマントをまとった体も、ぱっと見たところ、怪我はなさそうだけど、尋ねる。
すると男は、余裕たっぷりに笑った。
「ヨーダなんて、俺の敵じゃないって言っただろ」
「うん…」
あ、その顔やめてくれないかな。
年甲斐もなく、きゅんとしちゃうじゃないか。
「もうだいじょうぶなの?街のほうに、来ることないかな」
こわごわ、森を見て聞く。
たぶん彼がここでこうしているってことは、大丈夫なんだろうけど。
私が街のほうに逃げたせいで、ヨーダが街に来て襲われた、なんてことになったら、って心配で。
まぁヨーダがまだ出るって言われても、私にはなにもできないんだけどな。
街の人に迷惑かけたくないとか言っても、この男に倒してもらう以外、方法も手段も思いつかないんだけど。
なんて他人任せな、独りよがりな心配なんだ。
でも、聞かずにはいられないっていうか。
男に視線を移すと、彼は私の頭をなだめるようになでて、言う。
「だいじょうぶだ。上を見ろよ。もう赤い月の刻に変わってるんだ」
男に促されて、頭上を見る。
頭上に輝く月は、いちごのような赤い色をしていた。
「赤い……?」
呆然と、私は言う。
赤い月という言葉は、日本でもある。
ストロベリー・ムーンて呼ばれる満月もあったはずだ。
だけどそれは、月がほんのりと赤く見えるというだけであり、こんなふうに本当に月が真っ赤に見えるということはなかった。
それに、月の色と、あの獣の出現の間に、なんの関係があるんだろう。
私は混乱しつつ、月を見ていた視線を、男の顔に戻した。
男は、それで私が安心すると確信しているように、「な」と目を細めて笑う。
その笑顔には、ときめくけど、そうじゃなく。
……これは、いい機会かもしれない。
私は、このわけがわからない状況に終止符をうつべく、覚悟を決めた。
手に持っていたパスポートや飛行機のチケットはなくなっていたけれど、バッグの中にいれていたものは、ぜんぶ無事だった。
……さぁ、これからどうしようか。
膝を抱えて考えていると、木の外から声がかけられた。
「待たせたな」
覚えのある声に、ほっとする。
彼が帰ってきてくれるって信じていたけど、それと実際に彼が無事で私を迎えに来てくれた嬉しさは、また別物だ。
「お帰りなさい」
ちょっと、涙がうかんでしまう。
そっと指で涙をぬぐい、笑って言うと、彼は木のうろの前に膝をついて、私のほうへ手を差し伸べてくれた。
私は彼の手に、手を重ねた。
彼はそうっと私の手を引き、木のうろから引っ張り出してくれた。
「どこも怪我していない?」
彼の姿をざっと観察する。
白皙の顔も、黒いマントをまとった体も、ぱっと見たところ、怪我はなさそうだけど、尋ねる。
すると男は、余裕たっぷりに笑った。
「ヨーダなんて、俺の敵じゃないって言っただろ」
「うん…」
あ、その顔やめてくれないかな。
年甲斐もなく、きゅんとしちゃうじゃないか。
「もうだいじょうぶなの?街のほうに、来ることないかな」
こわごわ、森を見て聞く。
たぶん彼がここでこうしているってことは、大丈夫なんだろうけど。
私が街のほうに逃げたせいで、ヨーダが街に来て襲われた、なんてことになったら、って心配で。
まぁヨーダがまだ出るって言われても、私にはなにもできないんだけどな。
街の人に迷惑かけたくないとか言っても、この男に倒してもらう以外、方法も手段も思いつかないんだけど。
なんて他人任せな、独りよがりな心配なんだ。
でも、聞かずにはいられないっていうか。
男に視線を移すと、彼は私の頭をなだめるようになでて、言う。
「だいじょうぶだ。上を見ろよ。もう赤い月の刻に変わってるんだ」
男に促されて、頭上を見る。
頭上に輝く月は、いちごのような赤い色をしていた。
「赤い……?」
呆然と、私は言う。
赤い月という言葉は、日本でもある。
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だけどそれは、月がほんのりと赤く見えるというだけであり、こんなふうに本当に月が真っ赤に見えるということはなかった。
それに、月の色と、あの獣の出現の間に、なんの関係があるんだろう。
私は混乱しつつ、月を見ていた視線を、男の顔に戻した。
男は、それで私が安心すると確信しているように、「な」と目を細めて笑う。
その笑顔には、ときめくけど、そうじゃなく。
……これは、いい機会かもしれない。
私は、このわけがわからない状況に終止符をうつべく、覚悟を決めた。
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