異世界で(口の悪い)騎士様に拾われたのですが

木村 真理

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癒し人なるものかと疑われてますが

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「…か、かわいいって……」

 そんなこと、久々に言われたかも。
 こんな美形に言われてもなーって笑いとばしたい。
 でも顔が赤くなる。
だからそうやって、真顔で見つめ返すのやめてください!
自分がめちゃくちゃ美形だってこと、この人わかってるのかなぁ。

「えーと、私。もうすぐ30歳なんですけど」

 残りわずかだというのに、いちおうまだ20代アピールしちゃう自分の情けなさよ。
ちょっと自虐的な気分で年齢をあかす。
さて、男の反応はと伺ってみると、

「え」

 きょとんと目を丸くして、私をまじまじと見返す。
騙されたーみたいな顔されたわけじゃないし、がっかりもされてない。
 でもかなりびっくりしているみたい。
ま、元の世界でも、日本人は若く見えるっていうし。。
 地球で言えば北欧系っぽい外見の彼からすると、だいぶん若く見えているんだろうなと勝手に納得していたら、聞きなれない言葉が返された。

「お前、癒し人なのか?」

「癒し人?」

 なんですか、それ。
聞いたことない言葉に、首をかしげた。
 男は私の顔をじっと見る。

 真顔。
 それも、さっきみたいな甘ったるい目つきじゃなくて、観察するような視線。
頬をすべる指は、肌のハリを調べているように、素っ気ない癖に執拗だ。
科学者が、実験動物を調べているみたい。
それか、お医者さんが患者を調べているみたい、のほうが近いかな。

 とにかく、だ。
……居心地わるいいいいいい!

 そんな至近距離でじっと見られると、ときめきじゃない動悸がする。
 目の下の小じわとか、目だってないよね?
さっきお化粧なおしたとき、保湿クリームもきっちり塗ったし、だいじょうぶだと思いたい。
普段から保湿に命かけてるから、年齢のわりには綺麗な肌してると思うんだけど、年齢のわりにってだけだからね。
目の前の男のように、20代前半の肌の綺麗さを期待されても困る。

「お前の世界では、癒し人ではなく、別の名前で呼ばれているのか? 肉体をベストな状態に保つ能力者のことだよ。能力の高い人間は、他の人間の肉体もベストな状態にコントロールできるだろ? だからこっちの世界では、能力者は、病気や怪我の治癒者になることが多いんだ。で、癒し人って言われてる」

「えええええ?いえ。私の世界には、そもそもそんな能力のある人はいませんが」

 ヒーラーみたいなものなのかな?
でも自分の肉体をベストな状態に保てるって…。

「それって、不老不死ってことですか?」

 人類の夢じゃん。
羨ましい。

 だけど、こういうのって、たいてい落とし穴があるよね。
そのせいで狙われたり。
他人に対しても能力が使えるっていうなら、ガチめに権力者に狙われそうだ。
能力者って知られたら、捕まって、能力を使うことを強要されたりしそう。
 私には、そんな能力ないけどさ。
びびりながら聞くと、男は「いや」と首を横に振った。

「能力が減少するまでは、不老だけどよー。不死ってことはないぜ?まぁ怪我や病気には強いから、他の人間よりは死から遠いけどよー。で、俺もいちおう『癒し人』なんだぜー」

「えっ、そうなんですか?」

 まさか人類の夢の体現者がここに!
あれ、ていうことは、この人、見かけどおりの年齢じゃない?
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