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心も体もぐったりですが
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どこまで続いているのかわからない広大な庭へ視線を向ける。
体はくたくたで、歩かなくてすむならもう一歩も歩きたくない。
「馬車があるんですか?」
門の近くには、馬車なんて見当たらない。
馬の鳴き声や物音も聞こえないし、馬車があるようには見えなかった。
「すぐにご用意いたします」
私の質問を要望だと思ったらしく門兵さんが、動こうとする。
いやいや待って!
私は慌てて、門兵さんを呼び止めた。
「いいえ、ご用意していただく必要はございません。……レイ様。玄関まで歩きますわ。ご案内お願いします」
ちょっとお上品な感じで、レイに言う。
レイは、怪訝そうに首を傾げた。
「レイ……様?」
急に「様」付けで呼んだのが、気になるらしい。
けど、そこ、つっこまない!
お屋敷の使用人さんの前で、とうとつに現れた見知らぬ女が、ご主人さまのことを呼び捨てにするとかおかしく思われるでしょ。
察してくれ。
あと、歩くって言ってるのに、気遣って馬を用意させようとしている門兵さんたちを止めてくれ。
だって、もう夜も遅い。
こんな夜中に、わざわざ馬車を用意させるとか、ないわ。
お馬さんにも、用意してくれる使用人さんたちにも、ご迷惑だっていうの。
お邸のご主人さまであるレイが、いつも使用しているとか、今日は疲れてもう歩きたくないとかなら、それもアリだろう。
でも、門兵さんたちの様子から察するに、レイはふだんは歩いているっぽいし、疲れた様子もない。
私のためだけに、夜中に馬を用意させて、車につないで、門から家まで送っていただく、なんて。
そんな余分な用事をさせるのは、気を遣うし、かえって負担を感じるんだよ!
確かに、足は疲れている。
けど、ふだんから歩くのは慣れている。
いくら広いとはいえ、個人のお邸。しかも街中のお邸だ。
そう広くはないだろう。
歩ける、歩ける。
ぶっちゃけ、ここでただ馬車を用意してくれるまで待つのも、疲れるし。
レイと二人で馬車を待ってていいなら、まぁいいよ。
でも、門兵さんが二人とも持ち場を離れるわけない。
となると、門兵さんたちに、私が異世界人だってばれないように、気を使っての会話となるだろう。
それくらいなら、玄関までレイと二人で歩いてたほうが、ずっと楽だと思う。
あと、もうさっさと家の中に入りたい…。
文明に守られたい……。
なのに、レイは、私の呼び方のほうが気になるようだ。
凛々しく整った眉をしかめて、
「美咲。レイって呼べっていったじゃねーかよー。今さら急に様づけとかやめろよ」
「……ええ。ごめんなさい、レイ。ご案内いただけますか?」
あーあ……!!
門兵さんたちが、主人が親しい呼び方をねだる見知らぬ女を、興味津々って顔で見てますよー。
服装もこっちの人のと違うしね。
どこの誰だって、内心いろいろ妄想しているんだろうなぁ。
街の門兵さんには、「俺の婚約者だ」なんて紹介されたよね。
自邸の使用人さんたちにも、同じように私を紹介する気なのかな。
街の門兵さんから照会があるだろうし、自邸でも婚約者扱いするほうがいいんだろう。
けど、自邸の使用人さんたちにまで婚約者って紹介すると、ずっと関係を偽らなくてはいけなくなる。
それって、レイの負担が大きすぎるような。
私のことを婚約者だなんて説明したのだから、今はレイも、妻や婚約者はいないんだろう。
でも、いずれはレイも結婚するだろう。
その時「私」というか、謎の婚約者の存在は、不利になりそうだけど……。
レイが私のことを、どう説明するつもりなのかわからない。
だから、どういう態度をとればいいのかも、わからない。
とりあえず、他の人にあわせて敬称をつけておこうという私の繊細な気遣いは、無駄になったよ。
ま、私には、この世界で気にしなくちゃいけない体面なんて、最低限しかないからいいけどね。
ここでレイに逆らって敬称づけしても門兵さんたちの好奇心を煽るだけだし、さっさとレイに従って、さらっと呼び捨てにした。
そんなことより、さっさと家の中に入りたいんだよ、こっちは!
恩人相手に申し訳ないけど、ガチのガチに疲れたので、ほんとにお願いします。
体はくたくたで、歩かなくてすむならもう一歩も歩きたくない。
「馬車があるんですか?」
門の近くには、馬車なんて見当たらない。
馬の鳴き声や物音も聞こえないし、馬車があるようには見えなかった。
「すぐにご用意いたします」
私の質問を要望だと思ったらしく門兵さんが、動こうとする。
いやいや待って!
私は慌てて、門兵さんを呼び止めた。
「いいえ、ご用意していただく必要はございません。……レイ様。玄関まで歩きますわ。ご案内お願いします」
ちょっとお上品な感じで、レイに言う。
レイは、怪訝そうに首を傾げた。
「レイ……様?」
急に「様」付けで呼んだのが、気になるらしい。
けど、そこ、つっこまない!
お屋敷の使用人さんの前で、とうとつに現れた見知らぬ女が、ご主人さまのことを呼び捨てにするとかおかしく思われるでしょ。
察してくれ。
あと、歩くって言ってるのに、気遣って馬を用意させようとしている門兵さんたちを止めてくれ。
だって、もう夜も遅い。
こんな夜中に、わざわざ馬車を用意させるとか、ないわ。
お馬さんにも、用意してくれる使用人さんたちにも、ご迷惑だっていうの。
お邸のご主人さまであるレイが、いつも使用しているとか、今日は疲れてもう歩きたくないとかなら、それもアリだろう。
でも、門兵さんたちの様子から察するに、レイはふだんは歩いているっぽいし、疲れた様子もない。
私のためだけに、夜中に馬を用意させて、車につないで、門から家まで送っていただく、なんて。
そんな余分な用事をさせるのは、気を遣うし、かえって負担を感じるんだよ!
確かに、足は疲れている。
けど、ふだんから歩くのは慣れている。
いくら広いとはいえ、個人のお邸。しかも街中のお邸だ。
そう広くはないだろう。
歩ける、歩ける。
ぶっちゃけ、ここでただ馬車を用意してくれるまで待つのも、疲れるし。
レイと二人で馬車を待ってていいなら、まぁいいよ。
でも、門兵さんが二人とも持ち場を離れるわけない。
となると、門兵さんたちに、私が異世界人だってばれないように、気を使っての会話となるだろう。
それくらいなら、玄関までレイと二人で歩いてたほうが、ずっと楽だと思う。
あと、もうさっさと家の中に入りたい…。
文明に守られたい……。
なのに、レイは、私の呼び方のほうが気になるようだ。
凛々しく整った眉をしかめて、
「美咲。レイって呼べっていったじゃねーかよー。今さら急に様づけとかやめろよ」
「……ええ。ごめんなさい、レイ。ご案内いただけますか?」
あーあ……!!
門兵さんたちが、主人が親しい呼び方をねだる見知らぬ女を、興味津々って顔で見てますよー。
服装もこっちの人のと違うしね。
どこの誰だって、内心いろいろ妄想しているんだろうなぁ。
街の門兵さんには、「俺の婚約者だ」なんて紹介されたよね。
自邸の使用人さんたちにも、同じように私を紹介する気なのかな。
街の門兵さんから照会があるだろうし、自邸でも婚約者扱いするほうがいいんだろう。
けど、自邸の使用人さんたちにまで婚約者って紹介すると、ずっと関係を偽らなくてはいけなくなる。
それって、レイの負担が大きすぎるような。
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でも、いずれはレイも結婚するだろう。
その時「私」というか、謎の婚約者の存在は、不利になりそうだけど……。
レイが私のことを、どう説明するつもりなのかわからない。
だから、どういう態度をとればいいのかも、わからない。
とりあえず、他の人にあわせて敬称をつけておこうという私の繊細な気遣いは、無駄になったよ。
ま、私には、この世界で気にしなくちゃいけない体面なんて、最低限しかないからいいけどね。
ここでレイに逆らって敬称づけしても門兵さんたちの好奇心を煽るだけだし、さっさとレイに従って、さらっと呼び捨てにした。
そんなことより、さっさと家の中に入りたいんだよ、こっちは!
恩人相手に申し訳ないけど、ガチのガチに疲れたので、ほんとにお願いします。
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