異世界で(口の悪い)騎士様に拾われたのですが

木村 真理

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盲点があったようですが

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 レイが、リジーさんのことを雇えないっていうのは当たり前のことだ。
わかっているのに、私はしょげてしまう。
 レイに頼むことくらいしか、私にはできないから。

 マジックミラーの向こうで、レイがリジーさんに言うのが聞こえた。

「リジー・ホワイツ。お前のことをとがめることなく、放免してほしいというのは、美咲の願いだ」

「美咲様の……」

「彼女は、お前が捕らえられ、尋問されたことで、じゅうぶん罰が与えられていると言っていた。……非常に、優しい人だからな」

「はい……」

 ちょっと待って!
私の人格が、レイによって捏造されそうになってます!

 いや、罪状がね、ちょっと嫉妬しただけでしょ?
それで捕まって尋問されて、結果的にとはいえ職場もクビなんだよ?
誰が考えても、じゅうぶんすぎる罰が当たってますって。

「俺としては、美咲を軽んじた人間は、それなりの罪に問いたい。ブロッケンシュタイン家への侮辱でもあるからな。けどよー、美咲は、まだこっちの流儀になれていない。直接の被害者である彼女が、お前への罰が重いことで気に病むっていうなら、そう重い罰を与えるのもどうかと思う」

「……恐れいります」

 リジーさんは、涙のたまった目で、レイを見つめる。
レイの意図を探るように。

「いったん、牢に戻せ。こっちで会議する。……リジー・ホワイツ。お前は、改めて反省してろ」

「かしこまりました」

 リジーさんは、覚悟を決めたみたいなすわった目をして、レイに頭を下げた。
その両腕を警備兵が捕らえ、リジーさんを部屋から連れ出す。

 ドアが完全にしまったのを確認すると、レイはドアにカギを閉めた。
そして、隠し部屋のドアを開ける。

「美咲。見てたんだよな?」

「はい」

 私を見るレイは、リジーさんに対峙したときのような厳しさはない。
いつも通りのレイに見える。

 さっきの、怒ってないんだ。
私はほっとして、そんな自分が嫌になる。
リジーさんを助けることは、できなかったのに。

「どうかしたのか?」

「え? どうかって?」

 レイは隠し部屋に入ってくると、私を心配そうに見る。
そんな心配そうにされても、心当たりなんて……。

「ごめんなさい。さっき、無理を言ってしまって。考えなしでした」

「なんのことだ?」

「なんのって……。さっきのことです。リジーさんを、私のメイドとして雇えないかって、メッセージを送ったでしょう? 考えたら、リジーさんはこのお屋敷で結界に阻まれているんです。ある意味、危険人物ですよね。そんな人を雇ったりできるわけないのに、私、リジーさんがこのお屋敷で働ければ、おうちに帰らずに住むって考えてしまって……」

 言い訳ばっかだ。
短絡的で、他人だよりで、独りよがり。
自分で説明していても、恥ずかしいよ。

 なのに、レイは。
私の言葉に、目を見開いた。

「なるほど。その手があったか」

「えっ」

「ふつうならありえねーけどよ。美咲の希望に従うってなら、今回の程度ならアリかもな。話はオサドのとこと、うちでとどめられるし。監視もしやすいしな」

「えっ。えっ。でも。さっきメッセージを送った時、レイは無理だって、首を横にふっていたでしょう?」

 あれを見て、レイがその案は却下したと思ったのだというと、レイはきょとんとした顔で、私を見た。

「いや。美咲がメッセージを送ってくれたのはわかったけどよー。あれ、お前のとこの文字だよな。読めねーよ」

「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 文字!
そっちか!
言葉は通じてるのに、読めないなんて、気づかないよ!?

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