crow〜鴉と裸の彼女

むらさ樹

文字の大きさ
7 / 12

*******

2時間後。



精算を済ませた彼女と部屋を出ると、ホテルの前まで出た。


これで今日もタイムリミット。

2時間ってのは、案外早いもんだよな。




「じゃ…またね、クロウ君」




「あー…あのさ」




仕事は無事に済んだんだから、別に呼び止める必要なんてないんだけど。


せっかくあんなに楽しかったんだから、良かったらこのままランチをと思って誘ってみたわけだ。


モチロン、追加料金になるんだけどさ。




「あ…ごめんなさい。
これ以上は、時間取れなくて…」



「そうなんだ。
別にいーよ。一応訊いただけだから」



「また、連絡するね」



「あぁ」




ニッコリ笑うと、彼女は背を向けて細い道を帰って行った。




そうだ。

まだちゃんと名前も訊いてなかった。



…ま、いっか。

また次に連絡があった時にでも聞けば。





______
____
___




また忘れられたのかなと思う、今度は3週間後。


今までと同じように、彼女からの連絡が来た。


オレはすぐに了解のメールを返して、彼女と約束をした。





いつも通りの10時ピッタリにホテル前に現れては、オレと一緒に風呂に入り、ベッドで我を忘れてエッチに没頭する。



あれ以来、店の方には来なくなったのだが、彼女はこうしてオレをホテルに呼んでの身体の付き合いをするようになったのだ。





激しいエッチの後、オレの腕枕に頭を預ける彼女に、オレはやっと名前を訊いてみた。




「あぁ、言ってなかったね。
えっと…かずみって言うの」



「かずみさんね。
ごめん、今頃になってさ」



「ううん。
て言うか…さんなんて付けないで、かずみって呼んでよ」




会うのはもう3回目になるってのに、今更名前を訊いた事には彼女は気を悪くしなかった。

だけど、なんかちょっと躊躇したようにも見えたけど、気のせいか。





「ふーん。
じゃあ、かずみ、な?」



「うん、クロウ君」








かずみからの連絡は、月に多くて2回くらいのペースだった。



5千円札をよこしては、むさぼるようにエッチしまくって、2時間後にはあっさり別れる。



1回で出張費5千円とホテル代3千円が痛いのか、かずみは絶対延長は申し出なかった。



ある時、たまにはランチくらい一緒にと思って、サービスと称して誘ってみた。


だが、かずみは時間を理由に断ってきたんだ。



何だ。
出費が痛いからとかじゃないんだな。


時間って…ランチなら1時間あれば十分なハズなんだけど、よっぽど忙しい人なんだろうか。



そういえばオレは、かずみの事は名前以外何も知らない。


仕事はモチロン、年も誕生日も家族構成も。




出張で客を抱くのに余計な情報は必要ないんだけどさ。


…何となく、気になったんだ。

感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。