crow〜鴉と裸の彼女

むらさ樹

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*crow*

かずみには旦那がいて、子供もいる。



旦那は昼間は仕事で、子供は幼稚園だ。



その時間帯に1人になっているかずみは、毎日の不満やストレスを解消する場もなかった。




そんな時、オレを見つけたんだ。



金を払って得た時間は、現実を忘れさせる夢を見る。


イヤな事、ツラい事、腹の立つ事、それら全部――――…




だからこそ、オレの存在は必要なハズだった。

いや、必要だったんだ。



だけど…


旦那も、子供も、かずみにとっては必要な家族なんだ。


不満はあっても、決して欠く事の出来ない、必要な家族。




…そうだ。


ホントに必要ないのは、オレの方だ。



なにせオレは、かずみの家族じゃない。



一時の夢を見せるだけの、ただの、ホスト…



…オレはホストクラブ“club-shion”に籍を置き、金さえ払えば出張しても働く、ホストのクロウ。


ただそれだけ、なんだ………。















昼間の顔と違い、キラキラ輝くネオンに彩られた夜の繁華街。



そこに位置するホストクラブ“club-shion”は、今夜も心に飢えた女たちがオレたちに癒やしを求めてやって来る。




「よっ。
オレを指名してくれたんだね、サンキュ」



「…ふぅん、あんたがクロウね。
カラスみたいに全身真っ黒!
なのに、ネックレスは金なのね」



「…これは、crowに与えられたただ1つだけの王冠なんだよ」



「あはっ、ナニソレ!
でもアタシ、気に入っちゃった!
今日は楽しませてね、クロ?」



「モチロン!
オレを指名してくれた以上は、良い夢見せてあげるよ。
さぁって、何をごちそうしてくれるのかな。
えぇっと…まずは名前教えてよ」








ホストクラブって言うのは、女たちに現実を忘れさせ一時の夢を見せてあげる所。



そこに身を置くオレたちホストは、金と引き換えに女たちを気持ちよくしてやるのが仕事だ。



どんな現実にストレス溜めてるかなんて事は、オレたちには関係ない。


とにかく、その時間にだけ気持ち良い夢を見せてやればいいんだ。





間違っても、オレたちの方は夢なんて見ちゃイケナイ…。









そうしてオレはクロウとしてのキャラを確立し、やがて店でのトップ3へと躍り出た。


モチロン、目指すはナンバーワン。





あれ以来、かずみからはメールもなければ店に来る事もない。




それは、ようやく夢から覚めた現実に、新しい何かを見つける事が出来たからだろう。




そしてそれは、オレも同じだ。






真っ黒に染まったオレの首もとに、鈍く輝く金の冠。



これこそが、ナンバーワンに似つかわしい冠をかぶったホントのcrowの姿なんだ。



な、そうだろ。

かずみ…?







短編 “crow”

  オシマイ
感想 1

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みんなの感想(1件)

宮里澄玲
2022.09.10 宮里澄玲

読了しました~。
あの社長のお店ですね!

仕事だと割り切っていたつもりなのに、夢を見てしまうようになったクロウ…ちょっと切なくなりました。
女の方が一枚上手(?)でしたね。

2022.09.10 むらさ樹

おっとΣ
まさかコチラに来て頂けたとはΣ
ありがとうございますっ💦
そうです、あそこのお店の話です(^皿^)

彼は現在No.1の人気者のようですが、これはまだキャリアの薄い時代のお話で。すっかりその気になってしまった残念な過去話なのです。
キャラとして私が気に入ったので、ちょっと短編でやらさせてもらいました〜(*^^*)

読んで下さりありがとうございましたっ💦

解除

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