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メールを送信すると、あたしはケータイ閉じて目をつむった。
「…はぁ………」
どうしても紫苑と一緒にいたい。
期待しない方がいいとは思うけど、でももしかしたら…と、やっぱり考えてしまう。
幸い煌があたしに協力すると言ってくれたおかげで、向こうの様子はメールでわかるようになった。
そして今日は凛も普通に仕事に来てるし、特に何のイヤミも言ってこないから今夜紫苑と会う約束などはしていないだろう。
もし凛を出し抜くなら、今夜がチャンスなんだけど。
どうか、紫苑に他のお客との予約が入っていませんように…っ!!
「~~~~~~~っ」
祈るようにケータイを握りしめながら、あたしは煌からの返信を待った。
だけど、5分が経過しても10分が経過しても、煌からの返信は来なかった。
今、忙しいのかな。
煌は忙しくないのかもしれないけど、きっと紫苑の方が忙しくて予定を訊けないんだろう。
…あまり長くここで待ってるわけにもいかない。
あたしはソワソワしながらも、ケータイを隠し持ったまま仕事に戻った。
__結局、12時を回ってこっちの仕事が終わっても、煌からの返信は来ないままだった。
もしかしたら送信ミスでもしたのかと、あたしは送信ボックスも確認したけれど問題はない。
それってつまり…ダメだったのかなぁ。
でもそれならそれで、ちゃんと連絡を返してくれないと期待ばっかりしちゃうよ…。
他の同僚の子たちがシャワーにかかったりメイクを解いたりしてる中、あたしは着替えだけ済ませてそのまま控え室にいた。
やがて集計を済ませたうちのオーナーが日給を持って控え室に来ると、あたしはそれを戴いて中身も確認しないまま早々に職場を後にした。
暗い夜道をメイクしたまま歩くのは、非常に危ないんだけど。
だけど、今はスッピンでいるわけにもいかない。
煌からの返信が来ないせいで諦める事が出来ないまま、あたしは“club-shion”に向かって走ったのだ。
「…はぁ…はぁ……」
全速力で駆けつけ、あたしは“club-shion”の前まで来た。
閉店して1時間近くを経過しているから、さすがにネオンは全て消えている。
一応出入り口まで行って、そっとドアに手をかけてみたけれど…
「……………ダメかぁ」
案の定、カギはかかっていて開ける事はできなかった。
お店はシンと静まり返り、虚しいくらいあたし1人が残った。
つまり、これで…
今日も紫苑には会えなかったわけだ…。
もう一度ケータイを開けて画面を確認してみたけれど、煌からのメールは来ていない。
「煌のバカ…。
期待させるだけさせといて、これじゃあ却ってツラいだけじゃない…!」
連絡をくれるのはありがたいんだけど、でも都合がつかなければ意味がない。
もしかしたら会えるチャンスと言われても、結局会えないならそんな期待させるメールなんて来ない方がいいわよ…っ
「…はぁ………」
どうしても紫苑と一緒にいたい。
期待しない方がいいとは思うけど、でももしかしたら…と、やっぱり考えてしまう。
幸い煌があたしに協力すると言ってくれたおかげで、向こうの様子はメールでわかるようになった。
そして今日は凛も普通に仕事に来てるし、特に何のイヤミも言ってこないから今夜紫苑と会う約束などはしていないだろう。
もし凛を出し抜くなら、今夜がチャンスなんだけど。
どうか、紫苑に他のお客との予約が入っていませんように…っ!!
「~~~~~~~っ」
祈るようにケータイを握りしめながら、あたしは煌からの返信を待った。
だけど、5分が経過しても10分が経過しても、煌からの返信は来なかった。
今、忙しいのかな。
煌は忙しくないのかもしれないけど、きっと紫苑の方が忙しくて予定を訊けないんだろう。
…あまり長くここで待ってるわけにもいかない。
あたしはソワソワしながらも、ケータイを隠し持ったまま仕事に戻った。
__結局、12時を回ってこっちの仕事が終わっても、煌からの返信は来ないままだった。
もしかしたら送信ミスでもしたのかと、あたしは送信ボックスも確認したけれど問題はない。
それってつまり…ダメだったのかなぁ。
でもそれならそれで、ちゃんと連絡を返してくれないと期待ばっかりしちゃうよ…。
他の同僚の子たちがシャワーにかかったりメイクを解いたりしてる中、あたしは着替えだけ済ませてそのまま控え室にいた。
やがて集計を済ませたうちのオーナーが日給を持って控え室に来ると、あたしはそれを戴いて中身も確認しないまま早々に職場を後にした。
暗い夜道をメイクしたまま歩くのは、非常に危ないんだけど。
だけど、今はスッピンでいるわけにもいかない。
煌からの返信が来ないせいで諦める事が出来ないまま、あたしは“club-shion”に向かって走ったのだ。
「…はぁ…はぁ……」
全速力で駆けつけ、あたしは“club-shion”の前まで来た。
閉店して1時間近くを経過しているから、さすがにネオンは全て消えている。
一応出入り口まで行って、そっとドアに手をかけてみたけれど…
「……………ダメかぁ」
案の定、カギはかかっていて開ける事はできなかった。
お店はシンと静まり返り、虚しいくらいあたし1人が残った。
つまり、これで…
今日も紫苑には会えなかったわけだ…。
もう一度ケータイを開けて画面を確認してみたけれど、煌からのメールは来ていない。
「煌のバカ…。
期待させるだけさせといて、これじゃあ却ってツラいだけじゃない…!」
連絡をくれるのはありがたいんだけど、でも都合がつかなければ意味がない。
もしかしたら会えるチャンスと言われても、結局会えないならそんな期待させるメールなんて来ない方がいいわよ…っ
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