21 / 34
●あたし、友情も大事にしています!?①
しおりを挟む「……ぁさん…」
「ん……」
ご主人様の声で、目が覚めた。
視界はぼんやり薄暗い。
だけどこの感じ、夜じゃない。
むしろ朝だ。
「あっ」
あたしの身体に巻き付いた腕が、一気に眠気をぶっ飛ばした。
ご主人様に抱っこされながら、一緒に寝てたんだっけ!
でも男子と一緒に朝まで寝た事なんて今までないわけだから、それだけでもドキドキしちゃうよぉ!!
ずっとあたしの身体を抱きしめたまま寝ていたようで、昨日のままあたしはご主人様の腕の中にいた。
ていうか、ご主人様の腕の中ってホントあったかいなぁ。
こんな風に身体を寄せて寝た事自体初めてだから、抱っこがこんなにもあったかくて気持ちいいものだって知らなかったよぉ。
そっと枕元を覗くと時計が見えて、ちょっと早いけど起きてもいい時間になっていた。
今から朝ご飯の支度や洗濯もあるんだし、あたしは起きなきゃいけないかな。
「ご主人様、朝ですよー」
ご主人様の腕の中で声をかけるのだけど、まるで聞こえていないかのように反応がない。
そういえば、ご主人様は寝覚めの悪い方だったな。
あたしはゆっくりと身体に巻き付いたご主人様の腕を持ち上げると、身体を起こした。
「ぅ……ん……」
その勢いでご主人様の身体は仰向けになったのだけど、それでもまだ起きそうにない。
「……きっと昔からお寝坊さんだったんだね」
寝てる時はこんな無防備な顔してるのに、昨日は抱かせろなんて言ってきたんだからドキッとしたよっ
「…………」
起こした身体で上からご主人様の寝顔を見てると、またドキドキしてくる。
ご主人様だけど、でもクラスメイトの理央クン。
「………………」
スヤスヤと眠ってる理央クンに、あたしはゆっくりゆっくり顔を寄せた。
今だけは、まだ起きないでね。
「理央クン……」
そっと重ねた唇から、理央クンのぬくもりが伝わった。
今の今だけは、ペットのあたしじゃない。
美咲まどかの、密かな気持ち。
理央クン、すき____。
「ごちそうさま」
「はい、お粗末様でしたぁ」
朝ご飯は簡単なベーコンエッグに、トマトとトースト。
今日もペロリと完食頂きましたー!
「じゃあオレは支度するから」
「はい、あたしはお皿片付けてきます」
食べたお皿をカートに乗っけてキッチンへ運ぶ。
あ、昨日は授業で宿題が出てたんだったっけ。
ホントは寝る前にやるつもりだったんだけど、ご主人様に呼ばれたから置いたままだったんだ。
「大変だぁ!」
あたしは汚れたお皿をシンクに置くと、そのまますぐに自分の部屋に戻った。
簡単なプリント1枚だけだったから、ソッコーでやれば登校前までには間に合うハズ。
部屋に戻ってすぐに通学カバンを開いてプリントを探す。
確か教科書の間に……
――――ピラリ
1通の手紙がカバンから出てきた。
「あっ」
足下にまで落ちたその手紙を、あたしは慌てて拾った。
ヤバい。
コレ琴乃から預かったラブレターだ!
ご主人様に渡すように頼まれたのに。
昨日は渡すタイミングがなくてカバンに入れっぱなしだったよぉ。
あー……今からでも、渡す?
でも自分の好きな人に、他の女子からのラブレターを渡すなんて……。
「…………」
……断っちゃおうか。
受け取ってもらえなかったよって。
理央クンは見た目通り冷たい奴なんだから、やめときなよって………
……………言えるわけないか。
でも……
悩みに悩み、結局どうしたらいいか答えも出せないまま、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
当然宿題も、できないまま。
「美咲!
何やってんだー!?」
「はっ、はいーっ」
琴乃のラブレターを持ったまま部屋の中を行ったり来たりしていると、とうとうご主人様を待たせてしまったようで呼び出しをくらってしまった。
あたしはラブレターを制服のポケットに入れると、通学カバンを持って慌てて部屋を飛び出した。
「ご、ごめんなさいっ
お待たせしましたぁ!」
部屋の前には制服に着替えたご主人様が立っていて、出て来たあたしをギロリと睨んだ。
「どうしたんだ?
いつもこんな事ないのに」
「あ、えーとですねっ
その……っ」
どうしよう。
渡すなら今かなっ
だけど読んでほしくもない!
あああっ
どうしたらっ
「……そういえば、昨夜は宿題できずじまいだったな。
もしかして、宿題やってたのか?」
あーそうだー、宿題やるつもりだったんだー!
ヤバいよーっ
それもやらなきゃなのにぃっ!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる