拘束

宮部ネコ

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第3話

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 週末の度に海涙の家でやってる。海涙は独り暮らしだし、平日もやろうと思えばできるけど、俺は実家だし、毎日外泊ばかりも怪しまれる。
 というのは方便で、本当は断られたらどうしようと、俺が聞くのが怖いのだけど。

 学年は違うし、他の日に海涙が何してるのかを俺はよく知らない。サークルにはたまに顔を出すけど、海涙もいたりいなかったりで、そもそも他の奴らの前じゃ親しげに話したりできない。

 俺はいつものように金曜に泊まった時、なんとなく聞いてみた。
「どっか行かない? 絵画展とか」
 マグリットの絵画展がちょうどやってたからだ。お互い好きだと知っていたから。
 今まで海涙の家ばかりで外に出かけたことはなかったけど。
 断られるかと思ったけど、「いいよ」と言って海涙は笑った。

 だけど、やっぱり2人で行くと、絵どころではなかった。
 俺は元々美術館には一人で行くのが好きだし、一つずつじっくり絵を見たい。
 海涙もそれは同じみたい。
 途中でキスされて、それどころではなくなった。
「ちょっ、こんなとこで」
「誰も見てなかったよ」
「そういう問題じゃなくて」
 そんなことされるとついうっかり勃ってしまいそうだ。

「出よう」
「え?」
 やっぱり俺たちにはこういうの向いてない。
 海涙を引っ張って、外に出た。
「絵見なくていいの?」
「やっぱ一人で見るもんだって思った」
「明徳が連れて来たんじゃん」
「ごめん。海涙と一緒がやなわけじゃなくて」
 俺はすぐ感じちゃうから、無理なんだ。

「近くにラブホ街があるんだ」
 言わずと知れた有名なとこだ。
「明徳詳しいね。誰かと来たの?」
「あるわけないじゃん」
 そもそも海涙とやったのがはじめてなのだから。
「そういう海涙こそ、行ったことあるんじゃない?」
「ないよ」
「嘘」
 信じられなかった。
「だって女の家でしかしてない」
「何それ」
「うちに入れたのだって明徳が初めてなんだよ」
 そんなの知らない。聞いてない。

 ラブホでまた俺を縛ってくる。ひもがないから海涙の着ていた洋服で。今度は足を。
「何でそんな縛るの好きなの?」
「俺のものにしたいから」
 そう言って耳を口で挟まれる。今まで以上にぞくぞくした。
「もうとっくに海涙のものだって」
「もっともっと全部ちょうだい」
 足の間に挟まってプルプルと震える自分のものが膨らんでいく。
 やばい格好のまま後ろから衝かれた。
 俺の首を回されキスもしてくるし。
 こりゃまた明日筋肉痛だなと思いながら、やばいぐらい快感を覚えた。
 途中で扱かれながら前も後ろも同時にいった。
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