婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの

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ナイスタイミング!

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「お願いがあるんだけどー」

「……なんですか? 金でもせびりに、」

 というと腹にパンチが入った……

「痛いではないですか!」

「私の手の方が痛いわよ!」

 痛そうに手をさする姉上。人を殴っておいて自業自得だろうが。

「お願いとはなんですか?」

 今までの事を考えると何かを押し付けてくるに決まっている!

「一緒に隣国まで行かない? ぱぁーっと行ってさぁーっと帰ってくれば問題ないわよね? アリスちゃんのおかげで仕事も捗っているのでしょう?」

 行く場所が決まっているのならそれも可能だろう。

「何をしにわざわざ隣国まで?」

「宝石展があるのよ! 世界各国の宝石が一堂に集まる機会だから行きたいのよ」

 隣国に伝手があるからか……って宝石展! 

「よし、行きましょう」

「そうこなくっちゃ! 弾丸旅になるけれどアーネストがいてくれれば問題ないわね!」

 まずは仕事の目処を目極めて、明日は訓練日だから訓練はキャンセル。明後日、明々後日は休日だから……いけるな!

「明日出発しましょう」

「さすが我が弟! 分かってくれるのね。子供達を置いてきたのは正解だったわ。絶対自分達も行くって聞かないでしょうから」

 そうと決まれば早速……執務室に戻りアリス嬢に話をする。

「まぁ。そうでしたの。分かりました、気をつけて行ってきてください。その、私は行かなくても良いのですか?」

 完全プライベート旅についてきてほしいとは言えない。行くのなら姉上抜きでゆっくりと旅したい。弾丸旅なんてもっての外だ!

「今回は仕事ではないので、申し訳ないです。急な事で申し訳ありません」

 気のせいか少し寂しそうな顔に見えた。私の見間違いだろう。そうあってほしいと思っているからなのだろう。

「そうですか。気をつけて行ってきてください」


 ******

「とっとと行って帰ってきますよ!」

「分かっているわよ。まさかこんな早朝に出るなんて思わなかったわ!」

「時間がありませんからね」

 夜が明けてすぐに出発する。アリス嬢が起きる前に出掛けないと迷惑だろう。彼女にも休んでもらうように念を押したのだから。

 休憩を挟み昼には隣国に着いた。そこからの移動をして、一泊して馬を休ませる。

 いつも泊まっているホテルへ行くとなんとか部屋が確保できた。いつもより狭い部屋だが仕方がない、急だったのだから。

 身支度を整えて宝石展へと向かう。貴族の行くような催しは夜になってもやっているので助かる。宝石展を見た後はようやく買い物だ。世界中から集められた宝石を使って加工された品が販売されている。姉上は目当ての宝石を見つけ目が燦々と輝いている。姉の事は護衛に任せて私もアリス嬢へのプレゼントを探しに行く事にした。

「何が良いのかサッパリ分からん!」

 困ったぞ! そう思いながら目についたのはパールだった。

「よろしかったらどうぞご覧下さい」

 と言われてパールの説明を聞いた。凛としたアリス嬢に似合いそうだと思ったのだが……

「誰にプレゼントするの?」

「!!」

「あ、姉上っ」

 ニヤリと笑う姉上を見て観念した。商品説明をしてもらっていた店主に声をかけ席を立つ。

「アリスちゃんにプレゼントでしょう?」

「えぇ、まぁ。卒業の祝いに……」

 嘘ではない。

「妙に乗り気だったから気になっていたのよねぇ。いつもだったら“お断りします、面倒です”なんて言いそうだからダメ元でお願いしたのに即決だったもの」

 時間がなかったから即決したのが良くなかったのだろうか。しかしバレたからには姉上に相談しよう。

「王都で購入しようと思っていたのですが姉上から丁度声がかかったので、これは神のお導きだと思ったのです」

 今買わないでいつ買うんだ。って事だろう。

「タイミングが良かったのね。それよりも、何を買うか決めているの?」

「いえ、」

「でしょうね。パールはアリスちゃんに似合うと思うけれど初めてプレゼントするには落ち着きすぎてない? 卒業のお祝いでパールならもう貰っているかもしれないわ。私もそうだったわ」

 そうなのか! 似合うと思っていたのだが被るのは良くない。

「なるほど。色々あるのですね、勉強になりました」

「どういう物がいいの? ただぶらぶらしているだけじゃ時間が勿体無いわよ」

 アリス嬢といえば気品があって、でも気さくで、美しくも可愛いところもある。都会の出身なのに辺境でも嫌な顔せず働いてくれている。感謝しかない。

「アリス嬢は普段アクセサリーなどを付けていないので、普段使いの物がいいのかもしれない」

「そうね。アクセサリーを付けていないわね。若い女の子なのに勿体無いけれど見せる相手もいないからなのかしら」

 チラリとこちらを見てくる。相手にされてないぞと言いたいのか? 揶揄われながらも色んな店を見て回るとピタッと足が止まった。

「ちょっと急に止まらないでよ! 危ないじゃない」





「……これに決めた」


 直感だけど良いと思った。

 






 

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