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 二人は剣だけを手にし、並んで歩きながら部屋を出て行った。

 早歩きのような、しかし凛々しい足取りで階段へと戻っていき、さらに上の階へと向かっていった。

 すれ違う人々は何事かと思っていたようだったが、二人を止める者はまだ誰もいなかった。

 ようやく最上階へと到着すると、見張りの兵士が二人立っていた。リージュはチラリとルージュに目配せし、小さく頷くと何事もないように近付いていく。

「お待ちください。これより先は立入禁止となっております」

「王の命令だ。我々はこれよりハイト国へと向かう。そのために使用させてもらう」

「で、ですが、そのようなご指示は……」

「もう一度だけ言う。これは命令だ」

 リージュの威圧的な視線が兵士たちを竦ませる。あまりの気迫に動けず、二人は兵士たちの後ろにある金属の扉を開ける。
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