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 平らな地面には転ばせるようなものは一切ない。それぞれ足元を確認しつつ、息を合わせて動き出す。

 声を出しながら運ぶ音だけがそこには響き渡っていた。

 何となく整備された広い道を歩き続けていくと、古めかしい大きな屋敷が見えてきた。

 城よりは小さいが、森の奥にあるにしては大きい建物に、二人は少し驚いていた。

 そのまま進んでいくと、屋敷の手前には花畑のように一面に花が咲いている庭が広がっている。背の低い花が多く見られるそこに、何かの作業をしている長い髪を二つに結んだ少女がいた。

「ファナ、ただいまー」

 ルビスは少女に手を振りながら話し掛ける。彼女はその声に気付いたようで、手に持ったものをそのままにこちらを振り向いた。

「皆さん、おかえりなさい。そちらが探していた方々?」

「あぁ。せっかくだから、招待したんだ」

「そうなんですね。じゃ、盛大におもてなしをしないと!」
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