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「少し、傷が痛むだけです……。ルージュ様、あとは自分で……」

「もう終わる。応急処置だから、あとはハイト国の者に診てもらってくれ」

「ありがとう、ございます……」

 ゆっくりと呼吸をしながら、起き上がっていくナトリ。斬られたところを押さえながら必死になっていると、ディンが駆け寄ってきて身体を支えていた。

「あんまり無理するな」

「そんなことも言ってられないわ……。お二人のため、ハイト国のため、やるべきことはあるのよ」

「そう、あなたたちにもやってもらいたいことがあるわ」

 部屋の奥から、凛とした声が響く。

 その方向へ視線を向けると、緑色のひらひらとした服装のシムカが、ヒールを鳴らせながら玉座へと近付いている。

「ひ、姫……?」

「私はもう姫じゃないわ。今から、私がハイト国の女王となるわ」

 高らかに宣言するシムカ。

 その姿に一瞬見惚れつつも、ルージュとリージュ、その後ろにフィンとナトリとディンが跪いていた。
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