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 だが、彼らは他の兵士たちと異なり、生気が感じられないような表情をしていた。

「下がってください。もしかしたら、ここの兵士たちは……」

「エリーゼル。だったら本気でやっていい。ここだけは、俺とルージュで必ず通らなければならない」

 剣を握りしめ、剣を構える二人。

 リージュの言葉にエリーゼルは迷いが一切なくなり、再び何かを唱え始める。

 徐々に彼女に光のようなものが纏われていき、力が集まっているように感じられる。

 だが、その姿は非常に無防備であり、二人は懸命に剣で守っていた。

 しばらくするとルージュは何かを察したようで、リージュの方を向く。

「離れるぞ!」

 エリーゼルの方へ下がっていく。

 それを追い掛けるようにそこへ兵士たちが近付いていく。

 同時に、空から矢のように光が降り注いでいき、兵士たち一人ひとりを正確に貫いていた。
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