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秘密の味

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「んおっ!!」

 それは突然の衝撃だった。無理矢理意識を引きずり戻されたと思ったら、何かを投げつけられたような衝撃がした。

 俺はそれで目が覚めた。

 目の前には怒りと恥ずかしさの混じった表情の金森さんが立っていた。よく見ると服はそのままであったが、シャワーを浴びたようなすっきりとした様子であった。

「カナさん……? おはよ」

「お前、一体何したんだよ……?」

「へ? 酔って吐いたカナさんを連れ帰っただけだよ?」

「だったら、起きたときのあれは何だったんだよ!?」

 自分からしてきたことなのに、すっかり忘れているようだ。

 正直このようなことはたまにあるのでそこまでではないが、この突然の起こされ方はどうにかしてほしい。

 投げつけられた柔らかいクッションを抱きかかえたまま俺は微笑む。
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