【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻

文字の大きさ
103 / 123

103. おぞましき異臭

しおりを挟む
 【核】はその悲鳴と共に溶解していった。赤黒い肉がドロドロと溶けていく。けれど溶け落ちるまでの数秒間、その赤い瞳は少女たちを睨み続けていた。

 お前たちを忘れない、必ず殺す――。

 そう言っているかのように。

 やがて動きが止まり、後には不快な魔力の残滓だけが残る。

 少女たちは誰も動けなかった。得体の知れない悪意が人々の平穏を乱そうとしている。そのおぞましい予感が全員の心を蝕んでいた。

 やがてミーシャが震える声でつぶやく。

「……これは……」

 その声はいつもの優雅さを完全に失っていた。か細く震え、今にも途切れそうだ。

「生命への、冒涜です」

 唇が震えている。顔が蒼白だ。

「神が定めた創造の理を捻じ曲げ、内側から生命を乗っ取る……呪われた……『寄生体』……」

 その言葉を聞いた瞬間、全員の背筋に冷たいものが走った。寄生体。生きている者の内側に入り込み、その身体を乗っ取る存在。もしこれが森全体に広がっていたら、いや、街に侵入していたら。想像するだけで背筋が凍る。

「くっ……」

 エリナは顔をゆがめながら死体に駆け寄り、ザシュ!と触手の一部を切り取ると、恐る恐る皮袋にしまいこんだ。証拠として持ち帰らなければならない。

「……急いで報告しなきゃ」

 剣を拭き鞘に収めながら仲間たちを見る。

「これは……私たちだけで対処できる問題じゃない」

 その言葉に全員がうなずいた。勝利の高揚感はもうない。代わりに得体の知れない恐怖と不安、そして焦燥感だけが残っていた。

 四人は急いで森を後にする。振り返らずただ前だけを見て。けれどその背中にはまだあの赤い瞳の残像が焼き付いていた。


      ◇


 一行は息を切らしながら森を抜け、街へと駆け込んだ。既に日は傾き始めており、茜色の夕日が街並みを染めている。いつもなら美しいと思える光景も、今は目に入らない。頭の中にあるのは、あの赤い瞳の残像と、一刻も早くこの脅威を報告しなければという焦燥感だけだった。

 ギルドの重厚な扉が見えた。エリナが力任せに扉を押し開けると、ガンッという大きな音と共に扉が開き、四人は飛び込んでいく。その勢いに賑やかなギルドが一瞬静まり返り、冒険者たちが驚いて振り返った。『アルカナ』の少女たちの様子が明らかにおかしい。服は汚れ、顔は蒼白で、目には恐怖の色が残っている。

 血相を変えて受付に駆け寄る四人の靴音が床に響く。

「ギルドマスターを! 今すぐ!」

 エリナが受付のカウンターに両手をついて叫んだ。そのただならぬ様子に受付嬢が椅子から飛び上がるように立ち上がる。

「え、ええ! 少々お待ちを……!」

 受付嬢は慌てて奥へと走っていった。待っている間、四人は誰も口を開かなかった。ただ荒い呼吸を整えながら、互いの存在を確かめるように肩を寄せ合っている。周囲の冒険者たちがひそひそと囁き合う声が聞こえるが、今はそんなことを気にしている余裕はなかった。


       ◇


「ギルドマスターがお呼びです。どうぞこちらへ……」

 案内されたギルドマスターの執務室は、重厚な机に壁一面の書棚が並ぶ厳かな空間だった。窓からは夕日の光が差し込み、部屋に長い影を作っている。

「お前らか、何があった?」

 鋭い視線を投げかけるギルドマスターの声が重く響く。

 エリナが深呼吸をして事の次第を報告した。炎の魔法でゴブリンの巣ごと焼き払ったこと、けれど異常に巨大化したゴブリンロードは生き残り激しい戦闘の末に倒したが、その死骸から異形の【核】が現れてきて危うく殺されかけたこと。語りながらエリナの声が震える。あの光景を思い出すだけで再び恐怖が蘇ってくる。

 ミーシャが補足した。【核】が放っていた絶対的な悪意、生命への冒涜。それは単なる魔物ではなく何か別のもっと邪悪な存在だったと。いつもは優雅な聖女の仮面を被っている彼女が、今は隠しきれない恐怖を滲ませている。

 最初はギルドマスターも半信半疑だった。眉をひそめ腕を組み話を聞いている。

「……本当か? そんな魔物、文献のどこにも……」

 その時、エリナがバッグから革袋を取り出した。慎重にまるで爆弾を扱うかのように机の上に置く。

「これをご覧ください」

 革袋を開いて寄生体を見せると、部屋におぞましい異臭が放たれた――。

 既に活動を停止しているが、それでも禍々しい気配は消えていない。赤黒い肉片の表面は粘液で覆われ不自然な光沢を放っており、細い腕のようなものが何本も生えて死んでなお痙攣しているように見えた。

 ギルドマスターの顔が蒼白になる。

「な、何だ……これは……こんな……こんなものが……」

 あまりのおぞましさにギルドマスターは思わずのけぞった。長年冒険者として、そしてギルドマスターとして数多くの魔物を見てきた男が明らかに動揺している。その反応を見て、四人は改めてあの【核】がいかに異常な存在だったかを実感した。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!

花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】 《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》  天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。  キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。  一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。  キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。  辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。  辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。  国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。  リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。 ※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作    

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...