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32. 宇宙大浴場
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「そ、そんなに危険なことなの?」
「大丈夫なのだ。君には意思の力があるのだ」
ミリエルは気楽にサムアップしてウインクするが、嫌な予感しかしない。
玲司は思わず天を仰ぐ。またドローンと対峙したときのようなチキンレースをやる羽目になるのではないだろうか?
「ご主人様、大丈夫! 僕も行くゾ!」
シアンが玲司の手を握ってくる。
「シアンちゃん、頼んだのだ。玲司だけだと即死なのだ。クフフフ」
「任せて! きゃははは!」
二人は嬉しそうに笑う。
「即死!? 勘弁してよ……」
玲司はガックリとうなだれた。
「えーっと、そうしたらどうしよっかなのだ……」
ミリエルは人差し指をあごに当てて宙を見上げる。
ポワンポワン! ポワンポワン!
その時部屋に呼び出し音が響いた。
「あっ、いけない! 行かねばなのだ」
そう言ってミリエルは慌てて立ち上がると、スマホを取り出して何かをパシパシ叩いている。そして、
「じゃ、ちょっと飲み会に出かけてくるからゆっくりしてて!」
そう言って、ブゥンとまた空間を割ってドアを開いた。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 地球はどうするの?」
崩壊しきった地球の復旧は八十億人の人生のかかった大問題である。急ぐべきではないだろうか?
「だいじょぶ、だいじょぶ。地球の時間は今止めてるし、飲み会でこそ解決の糸口はつかめるのだ。じゃっ!」
ミリエルはそう言って嬉しそうに手を上げ、ウインクするとドアの向こうへと消えていった。
玲司はシアンと顔を見合わせ、
「こんなんでいいのかな?」
と、首をかしげる。
「ミリエルには何か考えがあるんだよ。それよりお風呂に行くゾ!」
「ふ、風呂?」
「こういう時はゆっくりとお風呂に使って英気を養うのが大切なんだゾ!」
シアンはそう言うと空間を割ってドアを出し、玲司の腕をつかんで引きよせた。
「なんだ、お前、もうずいぶんなじんでるな」
「ふふーん、ご主人様は四十九日寝てたからね。その間にこの世界もハックしたのだ」
ドヤ顔のシアン。
「お、おぉ、そうか。それは……頼もしいな」
「ハイハイ! 大浴場へレッツゴー!」
シアンはそう言うと玲司をドアの向こうへドンと押しこんだ。
◇
へっ!?
ドアの向こうに行って玲司は驚いた。
目の前には満天の星々、そして、下を見れば巨大な海王星の紺碧の雲海が広がっている。
一瞬落ちるのではないかと思って身構えてしまったが、無重力で身体はふわふわと浮かんでいた。よく見れば大きな温室みたいに周囲はガラスのようなもので覆われた構造体となっているようだ。
そして、正面には巨大な水晶玉のようなものが浮かんでいる。天の川を背景に、水晶玉には海王星の美しい碧い水平線がひっくり返って映り、まるでファンタジーの秘宝の部屋のように神秘的な情景だった。
おぉ……。
玲司が見とれていると、
「ハイハイ、一名様ご案内だゾ!」
シアンはそう言って、玲司の服をバッと消し去り、素っ裸になった玲司をドーン! とそのまま水晶玉へと押し出した。
「うわっ! お前! 何すんだよ!」
玲司はグルングルンと回りながら真っ赤になって叫ぶ。
身体のコントロールを取ろうと思ったが、グルグルと回っている身体はどうやっても止まらなかった。
「なんだよこれ――――!」
悲鳴にも似た玲司の叫びが浴室内に響く。
大事なところを必死に隠しながら、なすすべなく水晶玉めがけて一直線に飛んでいった玲司は、そのままザブンと突っ込んだ。水晶玉は五メートルはあろうかという温水の塊だったのだ。
温水は突入した玲司の衝撃で激しく波立ち、ボヨンボヨンと全体を震わせながらしぶきを辺りへとまき散らす。
「ストラーイク! きゃははは!」
シアンは嬉しそうに笑うと、自分もスッポンポンになって玲司めがけてツーっと飛んだ。
「大丈夫なのだ。君には意思の力があるのだ」
ミリエルは気楽にサムアップしてウインクするが、嫌な予感しかしない。
玲司は思わず天を仰ぐ。またドローンと対峙したときのようなチキンレースをやる羽目になるのではないだろうか?
「ご主人様、大丈夫! 僕も行くゾ!」
シアンが玲司の手を握ってくる。
「シアンちゃん、頼んだのだ。玲司だけだと即死なのだ。クフフフ」
「任せて! きゃははは!」
二人は嬉しそうに笑う。
「即死!? 勘弁してよ……」
玲司はガックリとうなだれた。
「えーっと、そうしたらどうしよっかなのだ……」
ミリエルは人差し指をあごに当てて宙を見上げる。
ポワンポワン! ポワンポワン!
その時部屋に呼び出し音が響いた。
「あっ、いけない! 行かねばなのだ」
そう言ってミリエルは慌てて立ち上がると、スマホを取り出して何かをパシパシ叩いている。そして、
「じゃ、ちょっと飲み会に出かけてくるからゆっくりしてて!」
そう言って、ブゥンとまた空間を割ってドアを開いた。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 地球はどうするの?」
崩壊しきった地球の復旧は八十億人の人生のかかった大問題である。急ぐべきではないだろうか?
「だいじょぶ、だいじょぶ。地球の時間は今止めてるし、飲み会でこそ解決の糸口はつかめるのだ。じゃっ!」
ミリエルはそう言って嬉しそうに手を上げ、ウインクするとドアの向こうへと消えていった。
玲司はシアンと顔を見合わせ、
「こんなんでいいのかな?」
と、首をかしげる。
「ミリエルには何か考えがあるんだよ。それよりお風呂に行くゾ!」
「ふ、風呂?」
「こういう時はゆっくりとお風呂に使って英気を養うのが大切なんだゾ!」
シアンはそう言うと空間を割ってドアを出し、玲司の腕をつかんで引きよせた。
「なんだ、お前、もうずいぶんなじんでるな」
「ふふーん、ご主人様は四十九日寝てたからね。その間にこの世界もハックしたのだ」
ドヤ顔のシアン。
「お、おぉ、そうか。それは……頼もしいな」
「ハイハイ! 大浴場へレッツゴー!」
シアンはそう言うと玲司をドアの向こうへドンと押しこんだ。
◇
へっ!?
ドアの向こうに行って玲司は驚いた。
目の前には満天の星々、そして、下を見れば巨大な海王星の紺碧の雲海が広がっている。
一瞬落ちるのではないかと思って身構えてしまったが、無重力で身体はふわふわと浮かんでいた。よく見れば大きな温室みたいに周囲はガラスのようなもので覆われた構造体となっているようだ。
そして、正面には巨大な水晶玉のようなものが浮かんでいる。天の川を背景に、水晶玉には海王星の美しい碧い水平線がひっくり返って映り、まるでファンタジーの秘宝の部屋のように神秘的な情景だった。
おぉ……。
玲司が見とれていると、
「ハイハイ、一名様ご案内だゾ!」
シアンはそう言って、玲司の服をバッと消し去り、素っ裸になった玲司をドーン! とそのまま水晶玉へと押し出した。
「うわっ! お前! 何すんだよ!」
玲司はグルングルンと回りながら真っ赤になって叫ぶ。
身体のコントロールを取ろうと思ったが、グルグルと回っている身体はどうやっても止まらなかった。
「なんだよこれ――――!」
悲鳴にも似た玲司の叫びが浴室内に響く。
大事なところを必死に隠しながら、なすすべなく水晶玉めがけて一直線に飛んでいった玲司は、そのままザブンと突っ込んだ。水晶玉は五メートルはあろうかという温水の塊だったのだ。
温水は突入した玲司の衝撃で激しく波立ち、ボヨンボヨンと全体を震わせながらしぶきを辺りへとまき散らす。
「ストラーイク! きゃははは!」
シアンは嬉しそうに笑うと、自分もスッポンポンになって玲司めがけてツーっと飛んだ。
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