【金こそパワー】ITスキルで異世界にベンチャー起業して、金貨の力で魔王を撃破!

月城 友麻

文字の大きさ
9 / 73

9. 輝ける違和感

しおりを挟む
「ま、負けるとは申しておりません! ただ、腕が拮抗するだけ、テトリスに対する想いの強さを競う戦いになるだけです!」

 タケルは胸を押さえながら必死に言葉を絞り出した。

「想い……?」

「そうです、本来ゲームとは想いと想いのぶつかり合い、どれだけ魂を熱く燃やせたかを競うものです! それをこの決勝戦での評価といたします」

「ほう?」

 王子は小首をかしげながら、タケルを鮮やかに輝く真紅の瞳でにらんだ。

「技ではなく、ハート。これが本決勝戦でのテーマとなります」

「考えたな……。これは誰の発案か? お主か?」

 王子はまるで面白いオモチャを見つけたような笑みを浮かべる。

「わ、私です……」

「いいだろう。対戦終了後もう一度ここへ来い。お前の小手先の策略が正しかったかどうか裁いてやる。くっくっく……」

 王子は嗜虐的な笑みを見せた。その真紅の瞳にはタケルの挑発に対する怒りと好奇心の混ざった炎が揺れている。

「み、御心のままに……」

 タケルは背筋を貫く悪寒にブルっと身震いをしながら頭を深々と下げた。


       ◇


 いよいよ決勝戦。タケルはクレアに事の次第を丁寧に伝え、最後の最後に上手く負けることをお願いした。接戦ののちに王子が勝てば丸く収まるはずである。

 しばらく口をとがらせ、うつむいていたクレアだったが、何かを決心するとグッとこぶしを握り、にこやかに笑った。

「分かったわ!」

「ゴメンね、王族に逆らう訳にはいかないんだ」

「ううん、いいの。私が全て解決してあげるわ!」

 クレアは美しい碧眼を光らせ、タケルをまっすぐに見つめる。

「あ、そ、そう?」

 タケルはそのクレアの瞳の輝きに違和感を感じたが、クレアはスタッフに呼ばれてしまう。

「じゃあ、行ってきまーす!」

 クレアはニコッと笑って手を振りながらステージの袖へと登って行った。

「が、頑張って!」

 タケルは不安を押し殺すように大きく手を振り返す。一体この違和感は何なのか、正体の分からないままタケルは眉をひそめた。


        ◇


「それでは、決勝戦、始まるよーーっ!」

 司会のお姉さんがノリノリで叫んだ。

 パッパラッパー!

 吹奏楽団がひときわにぎやかな演奏をスタジアムに響かせる。

「一般部門代表! テトリス界に舞い降りたブロンドの天使ーーっ! クレアー、アバローン!!」

 うぉぉぉぉぉ!

 割れんばかりの大歓声がスタジアムを包み込む。

 ピンク色のボディスに身を包んだクレアは、満面に笑みを浮かべ、手を振りながらステージへと上がっていった。

 クレアちゃーん! 頑張れー! ピューーイ!

 先の激戦の記憶が脳裏に蘇り、観衆は一様に情熱を胸に宿しながら、力強い声援を送った。

「続きまして、なんと、我が王国の輝ける太陽、ヴェンドリック王室より、第二王子、ジェラルド・ヴェンドリック殿下が参戦されております! それでは殿下の登場です!」

 おぉぉぉ……。

 会場はどよめいた。

 ロイヤルシードとの案内があったので、貴族が参加するのだろうというのは分かっていたが、まさか王族が参加するとは想像もしていなかったのだ。この国において王族は絶対である。一体どんな展開になるのか誰も想像がつかず、観客たちは周りを見回しながら不安そうに顔を合わせるばかりだった。

 純白のジャケットに金の鎖を揺らしながら王子は入場してくる。王子は上品な足運びで優雅にステージに上がると、手を高々と上げ、観衆を見回した。

 本当に王子が入場してきたことに皆、戸惑いを隠せない。絶対王政の王国において、王族が平民と戦う。その意味の不穏さをみんなの脳裏によぎっているのだ。

 運営側のサクラがパチパチと頑張って拍手を打ち鳴らすが、なかなか広がらず、散発的な力ない拍手がスタジアムに響く。

 クレアはスカートをつまみ、うやうやしく挨拶をした。

「王国の英知にご挨拶申し上げます」

「うむ。わざと負けたりは……するなよ?」

 王子は美しくピンと背筋を張った立ち姿で、余裕の笑みを浮かべながらクレアを見下ろす。

「はい、恐れながら勝つのはわたくしですので……」

「ほう……? この我に……勝つと申すか?」

 その意外な返事に王子はピクッと眉毛を動かす。

「もちろん、殿下の方が全てにおかれまして優秀でございます。ただ……、恐れながらテトリスへの想いには自信がございますので」

 クレアは澄み通った碧眼をキラリと輝かせる。

「想い……? 想いねぇ。いいだろう。蹂躙してくれるわ!」

 王子は嗜虐的な笑みを浮かべると、真紅の瞳をギラリと輝かせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...