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31. アークスカイ・モール
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「ちょ、ちょっと待て……。どんな……、アニメを観てるんだ?」
よく考えればアニメといっても別に日本に限ったことではない。タケルは恐る恐る聞いてみる。
「ん? 最近は長寿のエルフの物語にはまっとるんじゃ」
「えっ……ま、まさか……。好きなキャラとか……は?」
「あー、それぞれ魅力があるがのう……。最近はほれ、断頭台の……」
「アウラ!」
タケルはそう言って頭を抱えた。なぜ日本アニメをこんなところで観ているのだろうか!?
「なんじゃ、なぜお主も観ておるんじゃ?」
ネヴィアはキョトンとした顔をして小首をかしげた。
「ちょ、ちょっと見せてよ!」
タケルはネヴィアの肩をガシッとつかんではげしく揺らす。
「うわぁぁ! え、ええが、拘束を解いてくれんとなぁ」
「斬りかかって来ない?」
タケルはジト目で見る。何しろこの娘はさっき自分を斬り殺そうとしていたのだ。
「アニメ好き仲間を攻撃などせんよ。カッカッカ」
ネヴィアは楽しそうに笑った。
◇
その後、タケルはネヴィアから魔法についての情報や、日本のコンテンツが集積されているデータベースへのアクセス方法など、多くの情報をもらった。もちろん核心の情報は得られなかったが、周辺の情報だけでもタケルにとっては宝の山である。お礼にフォンゲートと金貨を一袋渡しておいた。
「今日はありがとう。これからいろいろ相談させて。ネヴィアも何かあったらフォンゲートで呼んでね」
タケルは右手を差し出す。
「うむ。たまには遊びに来てくれ。アニメは一緒に見る人がいた方が楽しいからな。カッカッカ」
ネヴィアは握手をしながら楽しそうに笑った。
一体二人の間に何があったのかよく分からないソリスとクレアは、微妙な表情でその様子を見ていた。廃墟と化していた古代遺跡の管理人の少女と、彼女から何かを受け取ったタケル。それはきっと世界を揺るがす大発見になるはずだったが、きっとタケルは公にはしないのだろう。ソリスも護衛中に知り得た情報は漏らすことはできない。
ソリスとクレアはお互い目配せし、肩をすくめた。
◇
その後、事業は順風満帆に急速に伸びていった――――。
フォンゲートの人気は圧倒的で、成人への普及率は八割を超え、他の国へも急速に広まっていった。
こうなると信用創造の効果は莫大で、ジェラルド陣営の貴族、傘下の企業には湯水のように資金が投下された。工業製品の工場を新設し、倉庫を増築し、それがまた陣営内の新たな売り上げにつながっていく。さらに、優秀な人をバンバン引き抜き、アントニオ陣営とは圧倒的な差が生まれていった。
王都には北と南に繁華街があり、ジェラルド陣営は北、アントニオ陣営は南の権益を握っている。しかし、今日、北の優位を決定づける出来事が起こった。巨大ショッピングモール【アークスカイ・モール】がオープンしたのだ。
明るいドームに覆われた、数百メートルに及ぶ巨大フードコートのステージで開業セレモニーがスタートする。詰めかけた数万人の市民は熱気に包まれながらその瞬間を待っていた。
「それではこれより、アークスカイ・モールオープンセレモニーを開催いたします!」
おぉぉぉぉぉ!
お姉さんのアナウンスと共に集まった数万人の観衆は歓声で応える。
「それでは、アークスカイ・モール代表理事、ジェラルド・ヴェンドリック殿下より、ご発生をお願いいたします!」
盛大な拍手の中、王子は金髪をキラキラと輝かせながら登壇した。
「みんな、見たかい? このドームを!」
王子は両手を高く掲げ、フードコートを覆う美しい巨大ドームを見上げた。美しいアーチを見せる巨大ドームには可愛いキャラクター風船がゆったりと漂っており、まるでおとぎの世界だった。
うぉぉぉぉぉ!
歓声が巻き起こる。この世界にこの規模の構造物などいまだかつてなかったのだ。それを可能にしたのは圧倒的な経済力、金の力だった。高価なアルミニウム合金をふんだんに使い、優秀なエンジニアをたくさん投入して作り上げた前代未聞の巨大ドームに、みな興奮気味である。
「このショッピングモールでは魅力的な商品がたくさん、そして安い! WOW!」
王子自ら笑いを取るかのようなパフォーマンスに会場が湧いた。
「何しろ、何を買っても二割引き! QRコード決済割引と合わせたら四割引きですよ! 奥さん!」
おぉぉぉぉ……。
とんでもない大盤振る舞いに、集まった数万人の観衆は思わず圧倒されてしまった。
「みんなーー! 買ってくれるかい?」
おぉぉぉ。
「声が小さい! お前ら、買うのかーー!?」
おぉぉぉ!
観衆も王子の熱気に当てられて、こぶしを突き上げ、声を上げた。
「全力で買うかーー!?」
おぉぉぉ!!
「死んでも買うかーー!?」
ワハハハ!
笑いに包まれる会場。
「よーし、王国民の本気を見せてもらおう! みんな、ありがとう!」
王子は満足したように万雷の拍手の中、手を振りながら退場していった。
「ジェラルド殿下、ありがとうございました。いまだかつてない楽しい買い物を、嬉しい体験を、それではアークスカイ・モール、これより開店です!!」
わぁぁぁぁぁ!
集まった数万人の観客は、これから始まる前代未聞の四割引きセールに興奮し沸いた。王子自ら盛り上げた綺麗でおしゃれなショッピングモール、きっと今までにない買い物ができるに違いない。観客は期待に胸躍らせた。
パーッパラッパッパー!
吹奏楽団がドームいっぱいにJ-POPメドレーを響き渡らせる。
「それでは各店舗オープンしてください。みなさん、慌てず騒がず、ゆっくりと前の人に合わせてお進みください!」
お姉さんのアナウンスの中、観衆はそれぞれお目当ての店へと目指していった。
よく考えればアニメといっても別に日本に限ったことではない。タケルは恐る恐る聞いてみる。
「ん? 最近は長寿のエルフの物語にはまっとるんじゃ」
「えっ……ま、まさか……。好きなキャラとか……は?」
「あー、それぞれ魅力があるがのう……。最近はほれ、断頭台の……」
「アウラ!」
タケルはそう言って頭を抱えた。なぜ日本アニメをこんなところで観ているのだろうか!?
「なんじゃ、なぜお主も観ておるんじゃ?」
ネヴィアはキョトンとした顔をして小首をかしげた。
「ちょ、ちょっと見せてよ!」
タケルはネヴィアの肩をガシッとつかんではげしく揺らす。
「うわぁぁ! え、ええが、拘束を解いてくれんとなぁ」
「斬りかかって来ない?」
タケルはジト目で見る。何しろこの娘はさっき自分を斬り殺そうとしていたのだ。
「アニメ好き仲間を攻撃などせんよ。カッカッカ」
ネヴィアは楽しそうに笑った。
◇
その後、タケルはネヴィアから魔法についての情報や、日本のコンテンツが集積されているデータベースへのアクセス方法など、多くの情報をもらった。もちろん核心の情報は得られなかったが、周辺の情報だけでもタケルにとっては宝の山である。お礼にフォンゲートと金貨を一袋渡しておいた。
「今日はありがとう。これからいろいろ相談させて。ネヴィアも何かあったらフォンゲートで呼んでね」
タケルは右手を差し出す。
「うむ。たまには遊びに来てくれ。アニメは一緒に見る人がいた方が楽しいからな。カッカッカ」
ネヴィアは握手をしながら楽しそうに笑った。
一体二人の間に何があったのかよく分からないソリスとクレアは、微妙な表情でその様子を見ていた。廃墟と化していた古代遺跡の管理人の少女と、彼女から何かを受け取ったタケル。それはきっと世界を揺るがす大発見になるはずだったが、きっとタケルは公にはしないのだろう。ソリスも護衛中に知り得た情報は漏らすことはできない。
ソリスとクレアはお互い目配せし、肩をすくめた。
◇
その後、事業は順風満帆に急速に伸びていった――――。
フォンゲートの人気は圧倒的で、成人への普及率は八割を超え、他の国へも急速に広まっていった。
こうなると信用創造の効果は莫大で、ジェラルド陣営の貴族、傘下の企業には湯水のように資金が投下された。工業製品の工場を新設し、倉庫を増築し、それがまた陣営内の新たな売り上げにつながっていく。さらに、優秀な人をバンバン引き抜き、アントニオ陣営とは圧倒的な差が生まれていった。
王都には北と南に繁華街があり、ジェラルド陣営は北、アントニオ陣営は南の権益を握っている。しかし、今日、北の優位を決定づける出来事が起こった。巨大ショッピングモール【アークスカイ・モール】がオープンしたのだ。
明るいドームに覆われた、数百メートルに及ぶ巨大フードコートのステージで開業セレモニーがスタートする。詰めかけた数万人の市民は熱気に包まれながらその瞬間を待っていた。
「それではこれより、アークスカイ・モールオープンセレモニーを開催いたします!」
おぉぉぉぉぉ!
お姉さんのアナウンスと共に集まった数万人の観衆は歓声で応える。
「それでは、アークスカイ・モール代表理事、ジェラルド・ヴェンドリック殿下より、ご発生をお願いいたします!」
盛大な拍手の中、王子は金髪をキラキラと輝かせながら登壇した。
「みんな、見たかい? このドームを!」
王子は両手を高く掲げ、フードコートを覆う美しい巨大ドームを見上げた。美しいアーチを見せる巨大ドームには可愛いキャラクター風船がゆったりと漂っており、まるでおとぎの世界だった。
うぉぉぉぉぉ!
歓声が巻き起こる。この世界にこの規模の構造物などいまだかつてなかったのだ。それを可能にしたのは圧倒的な経済力、金の力だった。高価なアルミニウム合金をふんだんに使い、優秀なエンジニアをたくさん投入して作り上げた前代未聞の巨大ドームに、みな興奮気味である。
「このショッピングモールでは魅力的な商品がたくさん、そして安い! WOW!」
王子自ら笑いを取るかのようなパフォーマンスに会場が湧いた。
「何しろ、何を買っても二割引き! QRコード決済割引と合わせたら四割引きですよ! 奥さん!」
おぉぉぉぉ……。
とんでもない大盤振る舞いに、集まった数万人の観衆は思わず圧倒されてしまった。
「みんなーー! 買ってくれるかい?」
おぉぉぉ。
「声が小さい! お前ら、買うのかーー!?」
おぉぉぉ!
観衆も王子の熱気に当てられて、こぶしを突き上げ、声を上げた。
「全力で買うかーー!?」
おぉぉぉ!!
「死んでも買うかーー!?」
ワハハハ!
笑いに包まれる会場。
「よーし、王国民の本気を見せてもらおう! みんな、ありがとう!」
王子は満足したように万雷の拍手の中、手を振りながら退場していった。
「ジェラルド殿下、ありがとうございました。いまだかつてない楽しい買い物を、嬉しい体験を、それではアークスカイ・モール、これより開店です!!」
わぁぁぁぁぁ!
集まった数万人の観客は、これから始まる前代未聞の四割引きセールに興奮し沸いた。王子自ら盛り上げた綺麗でおしゃれなショッピングモール、きっと今までにない買い物ができるに違いない。観客は期待に胸躍らせた。
パーッパラッパッパー!
吹奏楽団がドームいっぱいにJ-POPメドレーを響き渡らせる。
「それでは各店舗オープンしてください。みなさん、慌てず騒がず、ゆっくりと前の人に合わせてお進みください!」
お姉さんのアナウンスの中、観衆はそれぞれお目当ての店へと目指していった。
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