66 / 73
66. 星間の狂風の弟子
しおりを挟む
「ほう?」
シアンは嬉しそうにタケルの方を見てニヤリと笑う。
「我々はただ、理不尽に殺された少女を生き返らせたい、ただそれだけなんです!」
タケルは今までのこと、どうしてもクレアを生き返らせたいということを切々と語った。
「まぁ、そんなことだろうと思ってたんだよネ」
シアンは肩をすくめ、つまらなそうに首を振る。
「見逃してください! お願いします!」
タケルは必死に頭を下げる。ここで否定されたらもはやクレアは生き返らないし、自分たちは重罪人で処罰されてしまう。どうしても見逃してもらうしか手がなかった。
しかし、シアンは碧い目をギラリと光らせ、腕で×印を作る。
「ダーメッ! 人を生き返らせたい、それはみんな思うの。でも、そのたびに生き返らせていたら世界は大混乱だよ? 世界を健全に保つには新陳代謝が必要。これは鉄則だゾ!」
「そこを何とか!!」
「ダメったらダメ! これは厳格な規則なの!」
完全に拒絶されてしまって、タケルには道がなくなった。もちろん、彼女の言うことは正しい。死んだ者を生き返らせるのは世界にとって禁忌だろう。だが、だからといってクレアの死を受け入れるわけにはいかない。シアンの納得できる条件とは何だろうか? タケルは必死に考え、究極の条件を思いつく。それはタケルの出せる最後の条件だった――――。
「だったら……。等価交換……させてください」
「等価……交換……?」
「そうです。僕の命を……彼女の命に代えてください」
タケルはシアンの目を真っ直ぐに見つめ、全ての想いを乗せて言い放った。
「お、お主! 何を!」
ネヴィアが慌てて止めに入る。
「クレアは僕のために死んだんだよ! 生き返るならこの命は惜しくない!」
タケルは自然と湧いてくる涙を押さえられず、ポロリとこぼした。
「本気……? あなた死ぬのよ?」
シアンは首を傾げ、タケルの顔をのぞきこむ。
「本気です! 嘘は言いません!!」
タケルはまっすぐにシアンの青い瞳を見つめた。
「ふぅん……、なるほど……ね。凄まじいまでの想いだ……」
シアンはそのタケルの覚悟に少し驚いて、大きく息をついた。
「だ、だったら……」
「でもダメよ。例外は認められない」
シアンは申し訳なさそうに首を振る。
「何とか、何とかお願いしますぅ……。クレアがいない人生なんて耐えられないんですぅ……」
タケルは泣き崩れた。失って分かったクレアの大切さ。心の奥にはクレアの笑顔がたくさん詰まっており、今までタケルはクレアの笑顔によって生かされていたのだ。
「なんだ、面倒くさい奴だな……」
シアンは口をキュッと結ぶと大きくため息をつき、空中に画面を浮かべて何かを調べていった。
「ほぉ……。へぇ……。なんと! ははっ、お前面白い奴だな!」
画面を食い入るように見つめながら、シアンは楽しそうに笑う。
何が楽しいのか良く分からないタケルは、泣きはらした目でシアンを見た。
「お前、僕の弟子になれ!」
シアンはタケルの肩をポンポンと叩くと、ニヤッと笑った。
「へ……? で、弟子……ですか?」
「弟子であれば僕の身内だ。身内の大切な人を生き返らせたくらいなら、誰も文句言わないよ?」
「え……? い、いいんですか?」
タケルは目を大きく見開き、思わず立ち上がる。
「女神様がね、君を転生させたの、なんだか分かる気がしたんだ。君には何かがありそうだ。でも、弟子ってことは、僕の言うこと何でも聞くんだゾ?」
シアンはいたずらっ子の笑みを見せながら、タケルの涙でグチャグチャの顔をのぞきこんだ。
「は、はい! 何でも聞きます! よろしくお願いします。」
タケルはまぶしい笑顔を浮かべ、シアンの手をギュッと握った。
「お主! これは凄い事じゃぞ! 星間の狂風シアン様の弟子と言ったらもはや誰も逆らえんぞ!」
「くふふふ……。でも、僕が『死ね』って言ったら死ぬんだぞ?」
シアンは邪悪さの漂う笑みを浮かべる。
「えっ……? くぅぅぅ……、わかり……ました……」
タケルは弟子になることの重大さに唇を噛み、うなだれた。この破天荒な少女の要求は軽く常識を超えてくるだろうことは想像に難くない。しかし、クレアを生き返らせるためにはなんだって受け入れるしかないのだ。
「これで一件落着! 弟子一号君、よろしく! うししし……」
シアンは楽しそうにパンパンとタケルの肩を叩いた。
◇
「ところで、シアン様はなんであんな所にいたんですか?」
ネヴィアが少し不満げに聞く。
「えっ!? あー! 忘れてた!」
シアンはポンと手を叩くと、上空をキョロキョロと見回し始めた。
「なんかねー、テロリストがあの貨物船に何かを仕込んだらしくてね……。お、あいつかな?」
シアンは空の一点を凝視し、うなずくと空中に画面を開いて何やら計算し始めた。
その方向には何やら光る点がゆっくりと動いて見える。
「どうやら貨物船も大気圏突入段階に入ったようじゃな……」
「ふんふん、じゃ、この辺りでいっかな……」
シアンは両手を前に出し、目をつぶると何かをぶつぶつと唱え始めた。すると、向こうの方で何やら竜巻が渦を巻き始める。
「竜巻だ……、竜巻で一体何を……?」
シアンは何やら楽し気にぶつぶつとつぶやき続ける。
タケルはネヴィアと目を合わせ、首をかしげた。
竜巻はどんどんと大きく成長し、やがて上の方に大きな水の球を形成していく。それは海王星のうっすらと青い輝きを反射して碧く美しく輝いた。
シアンは嬉しそうにタケルの方を見てニヤリと笑う。
「我々はただ、理不尽に殺された少女を生き返らせたい、ただそれだけなんです!」
タケルは今までのこと、どうしてもクレアを生き返らせたいということを切々と語った。
「まぁ、そんなことだろうと思ってたんだよネ」
シアンは肩をすくめ、つまらなそうに首を振る。
「見逃してください! お願いします!」
タケルは必死に頭を下げる。ここで否定されたらもはやクレアは生き返らないし、自分たちは重罪人で処罰されてしまう。どうしても見逃してもらうしか手がなかった。
しかし、シアンは碧い目をギラリと光らせ、腕で×印を作る。
「ダーメッ! 人を生き返らせたい、それはみんな思うの。でも、そのたびに生き返らせていたら世界は大混乱だよ? 世界を健全に保つには新陳代謝が必要。これは鉄則だゾ!」
「そこを何とか!!」
「ダメったらダメ! これは厳格な規則なの!」
完全に拒絶されてしまって、タケルには道がなくなった。もちろん、彼女の言うことは正しい。死んだ者を生き返らせるのは世界にとって禁忌だろう。だが、だからといってクレアの死を受け入れるわけにはいかない。シアンの納得できる条件とは何だろうか? タケルは必死に考え、究極の条件を思いつく。それはタケルの出せる最後の条件だった――――。
「だったら……。等価交換……させてください」
「等価……交換……?」
「そうです。僕の命を……彼女の命に代えてください」
タケルはシアンの目を真っ直ぐに見つめ、全ての想いを乗せて言い放った。
「お、お主! 何を!」
ネヴィアが慌てて止めに入る。
「クレアは僕のために死んだんだよ! 生き返るならこの命は惜しくない!」
タケルは自然と湧いてくる涙を押さえられず、ポロリとこぼした。
「本気……? あなた死ぬのよ?」
シアンは首を傾げ、タケルの顔をのぞきこむ。
「本気です! 嘘は言いません!!」
タケルはまっすぐにシアンの青い瞳を見つめた。
「ふぅん……、なるほど……ね。凄まじいまでの想いだ……」
シアンはそのタケルの覚悟に少し驚いて、大きく息をついた。
「だ、だったら……」
「でもダメよ。例外は認められない」
シアンは申し訳なさそうに首を振る。
「何とか、何とかお願いしますぅ……。クレアがいない人生なんて耐えられないんですぅ……」
タケルは泣き崩れた。失って分かったクレアの大切さ。心の奥にはクレアの笑顔がたくさん詰まっており、今までタケルはクレアの笑顔によって生かされていたのだ。
「なんだ、面倒くさい奴だな……」
シアンは口をキュッと結ぶと大きくため息をつき、空中に画面を浮かべて何かを調べていった。
「ほぉ……。へぇ……。なんと! ははっ、お前面白い奴だな!」
画面を食い入るように見つめながら、シアンは楽しそうに笑う。
何が楽しいのか良く分からないタケルは、泣きはらした目でシアンを見た。
「お前、僕の弟子になれ!」
シアンはタケルの肩をポンポンと叩くと、ニヤッと笑った。
「へ……? で、弟子……ですか?」
「弟子であれば僕の身内だ。身内の大切な人を生き返らせたくらいなら、誰も文句言わないよ?」
「え……? い、いいんですか?」
タケルは目を大きく見開き、思わず立ち上がる。
「女神様がね、君を転生させたの、なんだか分かる気がしたんだ。君には何かがありそうだ。でも、弟子ってことは、僕の言うこと何でも聞くんだゾ?」
シアンはいたずらっ子の笑みを見せながら、タケルの涙でグチャグチャの顔をのぞきこんだ。
「は、はい! 何でも聞きます! よろしくお願いします。」
タケルはまぶしい笑顔を浮かべ、シアンの手をギュッと握った。
「お主! これは凄い事じゃぞ! 星間の狂風シアン様の弟子と言ったらもはや誰も逆らえんぞ!」
「くふふふ……。でも、僕が『死ね』って言ったら死ぬんだぞ?」
シアンは邪悪さの漂う笑みを浮かべる。
「えっ……? くぅぅぅ……、わかり……ました……」
タケルは弟子になることの重大さに唇を噛み、うなだれた。この破天荒な少女の要求は軽く常識を超えてくるだろうことは想像に難くない。しかし、クレアを生き返らせるためにはなんだって受け入れるしかないのだ。
「これで一件落着! 弟子一号君、よろしく! うししし……」
シアンは楽しそうにパンパンとタケルの肩を叩いた。
◇
「ところで、シアン様はなんであんな所にいたんですか?」
ネヴィアが少し不満げに聞く。
「えっ!? あー! 忘れてた!」
シアンはポンと手を叩くと、上空をキョロキョロと見回し始めた。
「なんかねー、テロリストがあの貨物船に何かを仕込んだらしくてね……。お、あいつかな?」
シアンは空の一点を凝視し、うなずくと空中に画面を開いて何やら計算し始めた。
その方向には何やら光る点がゆっくりと動いて見える。
「どうやら貨物船も大気圏突入段階に入ったようじゃな……」
「ふんふん、じゃ、この辺りでいっかな……」
シアンは両手を前に出し、目をつぶると何かをぶつぶつと唱え始めた。すると、向こうの方で何やら竜巻が渦を巻き始める。
「竜巻だ……、竜巻で一体何を……?」
シアンは何やら楽し気にぶつぶつとつぶやき続ける。
タケルはネヴィアと目を合わせ、首をかしげた。
竜巻はどんどんと大きく成長し、やがて上の方に大きな水の球を形成していく。それは海王星のうっすらと青い輝きを反射して碧く美しく輝いた。
0
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる