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第二部 そして深淵へ 4章 引き裂かれた未来
4-10. 助け合う夫婦
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俺がそっと地面からのぞくと、真っ二つに切られた真龍が墜落していくところだった。
「えっ!?」
俺はそのあまりに衝撃的な光景に心臓が止まりそうになった。
この星で最強の一端を担う真龍が、可愛いおかっぱの女の子が、倒されてしまった……。
「そ、そんなぁ……」
レヴィアが負けてしまったらもうヌチ・ギを止められる者などいない。
もはやこの世の終わりだ。
「レ、レヴィア様ぁ……」
俺は湧いてくる涙を拭きもせず、その凄惨な光景をじっと眺めていた。
足元から声がする。
「お主ら、作戦会議をするぞ!」
「えっ!?」
なんと、レヴィアが俺の切り裂いた土のトンネルの中にいたのだ。
「あ、あれ? あのドラゴンは?」
俺が間抜けな声を出して聞くと。
「あれはただの囮じゃ。戦乙女はヤバい、ちょいと工夫せんと倒せん。お主も手伝え!」
「え!? 手伝えって言っても……、俺もう一般人ですよ?」
「つべこべ言うな! ステータスならカンストさせてやる!」
そう言うと、頭の中でピロロン! ピロロン! とレベルアップの音が延々と鳴り響き始めた。
ステータスを見ると、
ユータ 時空を超えし者
商人 レベル:65535
と、レベルがけた違いに上がっていた。
「え!? 六万!?」
驚く俺にレヴィアは、
「レベルなんぞ戦乙女相手にはあまり意味がない。あ奴は物理攻撃無効の属性がついとるからお主の攻撃は全く効かん。でも、攻撃受けたらお主は死ぬし、あ奴はワープしてくる」
「物理攻撃無効!? じゃ、何も手伝えないじゃないですか!?」
「いいから最後まで聞け! この先に湖がある。我がそこでワナ張って待つからお主、戦乙女をそこまで誘導して来い!」
「いやいや、ワープしてくる敵の攻撃なんて避けようないし、当たったら死ぬんですよ! そんなの無理ゲーじゃないですか!」
「そこで、娘! お主の出番じゃ! お主を我の神殿に送るから、そこで戦乙女の動きを読め」
「えっ!? 私……ですか?」
「そうじゃ、お主がミスれば旦那が死に、我々全滅じゃ。必死に見抜け! あ奴はまだ戦闘に慣れてないから、きっと付け入るスキがあるはずじゃ」
「わ、私にできる事なんですか? そんなこと……」
泣きそうなドロシー。
「……。お主は目がいいし、機転も利く。自分を信じるんじゃ!」
レヴィアはドロシーの目をじっと見つめ、熱を込めて言う。
「信じるって言っても……」
「できなきゃ旦那が死ぬまでじゃ。やるか? やらんか?」
「うぅ……。わ、分かりました……」
そう言って、泣きべそをかいたまま神殿に転送されるドロシー。
「そこに画面あるじゃろ?」
『はい、戦乙女が見えます。どうやら……レヴィア様を探しているようです』
「よし! 奴の動作をしっかり見るんじゃ。ワープする前には独特の姿勢を取るはずじゃから、それを見抜いて声で旦那に伝えるんじゃ!」
「は、はい……」
「ドロシーにそんなことできるんですか?」
俺はひそひそ声で聞く。
「分からん」
レヴィアは首を振る。
「分からんって、そんな……」
「お主は自分の妻を愛玩動物かなんかと勘違いしとらんか?」
「え?」
「あの娘だって学び、考え、成長する人間じゃ。パートナーとして信じてやれ。お主が信頼すればあの娘も安心して力を出せるじゃろう」
俺はハッとした。確かに俺はドロシーを『守るべきか弱い存在』だとばかり思っていた。しかしそんなペットと主人みたいな関係は、夫婦とは呼べないのではないだろうか? ドロシーが俺より優れている所だってたくさんある。お互いが良さを出し合い、助け合うこと。それがチャペルで誓った結婚という物だったのだ。
「分かりました。二人でうまくやってみます!」
俺は晴れ晴れとした顔でレヴィアに答えた。
「よし! じゃ、ユータ、行け! この先の湖じゃぞ、日本では、えーと……諏訪湖……じゃったかな? 台形の形の湖じゃ」
「諏訪湖!? じゃ、ここは長野なんですね?」
「長野だか長崎だか知らんが、諏訪湖じゃ、分かったな?」
そう言ってレヴィアは消えた。
「あー、ドロシー、聞こえる?」
『聞こえるわよ……でも、どうしよう……』
不安げなドロシー。
「大丈夫。気づいたことを、ただ教えてくれるだけでいいからさ」
『うん……』
「ドロシーは目がいい。俺よりいい。自信もって!」
『……。本当?』
「ドロシーはお姉さんだろ? 俺にいい所見せてよ」
『……。分かった!』
どうやら覚悟を決めてくれたようだ。
「では出撃するよ」
俺はそう言って、地上に上がった。
「えっ!?」
俺はそのあまりに衝撃的な光景に心臓が止まりそうになった。
この星で最強の一端を担う真龍が、可愛いおかっぱの女の子が、倒されてしまった……。
「そ、そんなぁ……」
レヴィアが負けてしまったらもうヌチ・ギを止められる者などいない。
もはやこの世の終わりだ。
「レ、レヴィア様ぁ……」
俺は湧いてくる涙を拭きもせず、その凄惨な光景をじっと眺めていた。
足元から声がする。
「お主ら、作戦会議をするぞ!」
「えっ!?」
なんと、レヴィアが俺の切り裂いた土のトンネルの中にいたのだ。
「あ、あれ? あのドラゴンは?」
俺が間抜けな声を出して聞くと。
「あれはただの囮じゃ。戦乙女はヤバい、ちょいと工夫せんと倒せん。お主も手伝え!」
「え!? 手伝えって言っても……、俺もう一般人ですよ?」
「つべこべ言うな! ステータスならカンストさせてやる!」
そう言うと、頭の中でピロロン! ピロロン! とレベルアップの音が延々と鳴り響き始めた。
ステータスを見ると、
ユータ 時空を超えし者
商人 レベル:65535
と、レベルがけた違いに上がっていた。
「え!? 六万!?」
驚く俺にレヴィアは、
「レベルなんぞ戦乙女相手にはあまり意味がない。あ奴は物理攻撃無効の属性がついとるからお主の攻撃は全く効かん。でも、攻撃受けたらお主は死ぬし、あ奴はワープしてくる」
「物理攻撃無効!? じゃ、何も手伝えないじゃないですか!?」
「いいから最後まで聞け! この先に湖がある。我がそこでワナ張って待つからお主、戦乙女をそこまで誘導して来い!」
「いやいや、ワープしてくる敵の攻撃なんて避けようないし、当たったら死ぬんですよ! そんなの無理ゲーじゃないですか!」
「そこで、娘! お主の出番じゃ! お主を我の神殿に送るから、そこで戦乙女の動きを読め」
「えっ!? 私……ですか?」
「そうじゃ、お主がミスれば旦那が死に、我々全滅じゃ。必死に見抜け! あ奴はまだ戦闘に慣れてないから、きっと付け入るスキがあるはずじゃ」
「わ、私にできる事なんですか? そんなこと……」
泣きそうなドロシー。
「……。お主は目がいいし、機転も利く。自分を信じるんじゃ!」
レヴィアはドロシーの目をじっと見つめ、熱を込めて言う。
「信じるって言っても……」
「できなきゃ旦那が死ぬまでじゃ。やるか? やらんか?」
「うぅ……。わ、分かりました……」
そう言って、泣きべそをかいたまま神殿に転送されるドロシー。
「そこに画面あるじゃろ?」
『はい、戦乙女が見えます。どうやら……レヴィア様を探しているようです』
「よし! 奴の動作をしっかり見るんじゃ。ワープする前には独特の姿勢を取るはずじゃから、それを見抜いて声で旦那に伝えるんじゃ!」
「は、はい……」
「ドロシーにそんなことできるんですか?」
俺はひそひそ声で聞く。
「分からん」
レヴィアは首を振る。
「分からんって、そんな……」
「お主は自分の妻を愛玩動物かなんかと勘違いしとらんか?」
「え?」
「あの娘だって学び、考え、成長する人間じゃ。パートナーとして信じてやれ。お主が信頼すればあの娘も安心して力を出せるじゃろう」
俺はハッとした。確かに俺はドロシーを『守るべきか弱い存在』だとばかり思っていた。しかしそんなペットと主人みたいな関係は、夫婦とは呼べないのではないだろうか? ドロシーが俺より優れている所だってたくさんある。お互いが良さを出し合い、助け合うこと。それがチャペルで誓った結婚という物だったのだ。
「分かりました。二人でうまくやってみます!」
俺は晴れ晴れとした顔でレヴィアに答えた。
「よし! じゃ、ユータ、行け! この先の湖じゃぞ、日本では、えーと……諏訪湖……じゃったかな? 台形の形の湖じゃ」
「諏訪湖!? じゃ、ここは長野なんですね?」
「長野だか長崎だか知らんが、諏訪湖じゃ、分かったな?」
そう言ってレヴィアは消えた。
「あー、ドロシー、聞こえる?」
『聞こえるわよ……でも、どうしよう……』
不安げなドロシー。
「大丈夫。気づいたことを、ただ教えてくれるだけでいいからさ」
『うん……』
「ドロシーは目がいい。俺よりいい。自信もって!」
『……。本当?』
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俺はそう言って、地上に上がった。
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