自宅で寝てても経験値ゲット! ~転生商人が世界最強になってムカつく勇者をぶっ飛ばしたら世界の深淵に触れてしまった件~

月城 友麻

文字の大きさ
63 / 95
5章 母なる星、海王星

5-1. サーバーアタック

しおりを挟む
 空間の裂け目を抜けるとそこはレヴィアの神殿だった。画面の前で座っていたドロシーは俺を見つけると駆け寄って飛びついてきた。
「あなたぁ! あなたぁ……、うっうっうっ……」
 俺は感極まってるドロシーを抱きしめ、優しく頭を撫でた。

「感動の再会の途中申し訳ないが、ヌチ・ギを倒しに行くぞ!」
 レヴィアが覚悟を決めたように低い声を出す。
「え? どうやってあんなの倒すんですか?」
「サーバーを壊すんじゃ」
 レヴィアはとんでもない事を言い出した。
「え!? サーバーって……この星を合成レンダリングしてる海王星にあるコンピューターのことですか?」
「そうじゃ、サーバー壊せばどんな奴でも消える。これはあらがえん」
「それはそうですが……、いいんですか? そんなことやって?」
「ダメに決まっとろうが! 禁忌中の禁忌じゃ! じゃが……、もはやこれ以外手はない」
 レヴィアは目をつぶり、首を振る。
 レヴィアの覚悟に俺は気おされた。この世界を作り出している大元を壊す。それは確かに決定的な攻撃になるだろう。しかし、この世界そのものを壊すわけだからその影響範囲は計り知れない。どんな副作用があるのか想像を絶する話だった。
 とは言え、このままでは俺たちも多くの人たちも殺されてしまう。やる以外ない。

「大虐殺は絶対に止めねばなりません。何でもやりましょう!」
 俺も覚悟を決め、レヴィアをしっかりと見つめた。
「じゃぁ早速このポッドに入るのじゃ」
 レヴィアはそう言って、ガラスカバーのついたリクライニングチェアを二つ出した。
 そして、赤いボタンのついた装置をドロシーに渡して言う。
「お主は画面を見て、敵の襲来を監視するのじゃ。どうしようもなくなったらこのボタンを押せ。火山が噴火して辺り一面火の海になる。時間稼ぎができるじゃろう」
「ひ、火の海ですか!? ここは……、無事なんですか?」
「んー、設計上は……大丈夫な……はず?」
 ちょっと自信なさげなレヴィア。
「『はず』ですか……」
 不安げなドロシー。
「そんなのテストできんじゃろ!」
「そ、そうですね」
「わしらが行ってる間、体は無防備になる。守れるのはお主だけじゃ、頼んだぞ!」
「わ、分かりました……。それで、あのぅ……」
「ん? なんじゃ?」
「アバドンさんや操られてる女の子たちは……助けられますか?」
 ドロシーがおずおずと聞く。
「ほぅ、お主余裕があるのう。ヌチ・ギを倒しさえすれば何とでもなる。そうじゃろ、 ユータ?」
 いきなり俺に振られた。
「そうですね、手はあります」
 俺自身、一回死んでここに来ているのだ。死は絶対ではない。
「そう……、良かった」
 ドロシーが優しく微笑んだ。
 妻の心優しさに、自分たちの事ばかり考えていた俺はちょっと反省した。こういう所もドロシーの方が優れているし、そういう人と一緒に歩める結婚は良いものだなとしみじみと思った。

 レヴィアが隣の小さめの画面を指さして言う。
「それから、こっちの画面は外部との通信用じゃ。ここを押すと話ができる。ヌチ・ギが来たら『ドラゴンは忙しい』とでも言って時間稼ぎをするんじゃ」
「ヌチ・ギ……、来ますか?」
 おびえるドロシー。
「来るじゃろうな。奴にとって我は唯一の障害じゃからな」
「そ、そんなぁ……」
「いいか、時間稼ぎじゃ、時間稼ぎをするんじゃ! ワシらが必ず奴を倒す、それまで辛抱せい!」
「は、はい……」
 うつむくドロシー。
「大丈夫! さっきだってうまくやれてたじゃないか」
 俺は笑顔でドロシーを見つめながら、そっとほほをなでた。
「あなたぁ……」
 目に涙をたたえながら不安そうに俺を見る。
 しばらく俺たちは見つめ合った。
 そして、俺はそっと口づけをし、
「自信もって。ドロシーならできる」
 と、優しい声で言った。
「うん……」
 ドロシーは自信無げにうつむいた。
「ユータ! 急いで座るんじゃ!」
 レヴィアの急かす声が響く。俺は優しくドロシーの頭をなでると、しっかりと目を見つめ、
「待っててね!」
 そう言って、ポッドに飛び乗った。
 ハッチを閉め、内側からドロシーに手を振ると、ドロシーは、
「あなた……、気を付けてね……」
 そう言ってポッドのガラスカバーを不安そうになでた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...