少女独房

雨濡 煤傀

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第十一話 死刑前日

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...........今日も朝が来た。

変わらない日々、刻々と近づく死刑。

死刑日は明日。

できるものなら、早くやって欲しい。

もうこの世界には私はいらない。

『炎は私たちの宝物だからね。絶対離れないからね。』

『炎、辛いことに直面しても負けないように強くいるんだぞ。』

お父さんとお母さんの言葉がふと思い浮かんだ。

うぅ.......どうすればいいんだ......

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」

私は苦悩の末、叫んでしまった。

しかし、この部屋は完全防音対策がされているため、こんなに叫んでも全く外には聞こえない。

「はぁ.....はぁ......」

叫んだため、とても疲れてしまった。

どちらにせよ、あのようなことを言ってしまったから、処刑日は明日に変わりはない。

どう足掻いても、明日死ぬのだ。

辛いことを考えるより、早く解放されたいという気持ちの方が勝ったのだろう。

私は考えることをやめた。


『なんだと!?』

数分後、部屋の外から大きな声が聞こえた。

『お前.....どこで落としたか分かるか?』

『それが.....分からないんです。』

『嘘だろ......看守長はなんて言うだろうか.....とにかく!今すぐ探しに行け!』

『は.....はい!』

バタバタバタ......

誰かと誰かの会話のあと、そのどちらかが走っていく音が聞こえた。

何か落としたみたいだった。

ガチャ。

そんなことを考えていたら、五十嵐さんが入ってきた。

「騒がしくしてすまんな。ちと部下がやらかしてな。」

「.........そうですか。」

「トランシーバーを落としちまったらしくてな。お前心当たりないか?」

「.........ありません。」

「本当か?隠してたりしないだろうな?」

「.........ある訳ないじゃないですか。」

落としたのはトランシーバーらしい。

そこまで重要機材なのかな......

「そうか.....あと今日は死刑前日だから拷問はないぞ。嵐の前の静けさって奴だ。」

「......そうですか。」

「お前それしか言わねぇな....そういえばさっき叫んでたが何かあったか?」

「........いえ。」

「そうか。」

ガチャ。

そして出ていった。

........拷問がないのは昔の私なら喜んでいたかもしれない。

けど、今の私は全く喜べない。

拷問を無くすなら花蓮ちゃんを返せ。

今の私は復讐と絶望に満ちている。

返せ。

私の自由を。

私の大切な友達を。











返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ返セ




















「早く行くぞ。さもなくばあいつが処刑されちまう。」

「はい。急ぎましょう。」
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