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第7話 私の人生⑦
しおりを挟むそれからマッキーと仲良くなるのは早かった。マッキーが事あるごとに絡んできたからだ。最初は田中さんと呼んでいたが、その度にマッキーだよ!と言い直されるので、折れてマッキーと呼ぶようになった。
私がマッキーの言うことに返すたびに嬉しそうに笑ってくれる。狭い世界で生きてきた私は、今まで自分の時間がほとんどなく、中学を卒業してからは働くか勉強かどちらかしかしていなかったのでみんなが知っている当たり前のことを知らず、返しが独特なんだとか。それがマッキーにはたまらなく面白いらしい。
絡んでくるから、が、なんとなく、に変わり、一緒にいることがどんどん当たり前になった。
マッキーは本が大好きだった。
漫画から始まり、小説、教科書、論文、辞書まで好きと聞いた時には驚いた。
知らない知識を知ること、そこから色々想像したりすることが楽しいらしい。
将来は小説を書いたり、本に携われる仕事につきたいんだと教えてくれた。
仲良くなってから暫くすると、マッキーは私の返答が変わっているのではなく偏った情報しか持っていないことを見抜き
「千早は経験が足りないだけなんじゃない?色んな経験を積むのは結構時間もかかるし大変だけど、本なら読むだけだよ。千早には漫画がお勧めだね!小説はやめた方がいいよ。人の気持ちの機微、まだよくわかんないっしょ?本は想像力がないとね。字だけ読んでも、何でそうなるの?って疑問ばっか増えちゃうと思うんだ。つまり千早にはまだ早い。」
言われてみれば、勉強に必要な本以外に本と接する機会はなかった。
「でも、漫画ならさ。表情までしっかり描いてくれてるでしょ!表情は読めそうだから、漫画読もう!で、どこかわかんないとこあったら聞いてよ!で、答え一緒に考えよう。」
ここでも優しい人に出会えた。
やりたいこと、目標がある、そして人のことを考え優しく接することができるマッキーを尊敬し、羨ましく思った。
マッキーはとても美人だった。
私よりもかなり背が高く、メリハリのある女性らしい体型もしていた。いつも小綺麗にしていて、スカートしか履かない。パンツを履くと余計に背が高く見えるらしい。本人は背が高いことを気にしてヒールも低い物しか履いていなかった。
マッキーとは対象的に、私は150㎝程しかなく、いつもGパンにTシャツ、スニーカー。それなりの胸の膨らみの主張がなければ、少年にしか見えないらしい。マッキーはいつも低くてもヒールを履いているので私と20cm以上背が違い、遠目に見ると親子のようだと周りからは揶揄われていた。
私達は学内でちょっとした有名コンビになっていた。
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