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第25話 私は誰?④
しおりを挟む面倒見の良い素敵美魔女カオリンに聞こう。
「あのもう1人の男の人はずっとあんな感じです?」
「そうなの。話しかけたけど、金谷です。の1言しかお話ししてくれなかったから、私達も様子見してるってところかしらね。貴方が倒れちゃったから、無理に近寄って同じことが起きたら…ってみんな怖くなっちゃったのもあると思うわ。」
「え、なんかすみません。」
「貴方が謝ることじゃないのよ。人と接することは大なり小なり気は使うものだしね。今はそれぞれの許容範囲を見極めることを主軸に置いてるってだけよ。だから気にしないで。」
「そーそー。ちなみに俺はなんも気にしないし、楽しいこと大好きだから、ちは……君にまとわりつくことに決めた!」
素敵美魔女が良い事を言ってくれたのに優汰が全部台無しにしてきた。こいつぅー腹立つわ。何も気にしないなら言いたい事言ったれ。
「優汰って犬みたいだよね。」
「へ?」
「自分の欲望に素直。好きな人にはブンブン尻尾振って近づいて嬉しくてキャンキャン言って悲しくなると尻尾内側に巻いてクゥーンって言いながらショゲる。」
「ふふっ」
カオリンが笑っている。
「俺犬?」
「アハハハッ!」
どうやらカオリンのツボを突いてしまったようだ。
アホの子優汰が調子に乗って
「ワンワン」
って言ってる。優汰よそれで良いのか。
「やめてぇーアハハ!」
カオリンが笑ってる。なんか悔しい。アホの子に負けたような謎の敗北感。
でも、笑いがあるこの空間は好きだな。
気まずい逃げ出したくなる様な空気は嫌だ。
笑顔はみんなを幸せにする。
そんなこんなしていたら食事が運ばれてきて体調はいかがですか?とかお決まりのお伺いを立てられたりご飯を食べたりして1日が過ぎていった。
変化が起きたのは私が目覚めてから1日が経った時だった。
白いモヤの繭の1つが点滅しているのだ。
なにこれ、何が起きるの?
「多分もうすぐ中の人が起きるわ。大体この現象から30分程度で出てくるはず。麗ちゃんの時も貴方の時も目が覚める前には必ずこの現象が起きていたの。」
なるほど。だからみんな私が起きるのがわかって近くに居たのか。
「貴方が2度目に倒れた時は、ここの人が手をかざしたらまた繭に覆われたの。」
とことん魔法だな。
「そういえば、目覚めた直後頭痛がしたって言ってましたよね?私以外のみんなはどのくらい気を失ってましたか?」
「あら?言ってなかったかしら?貴方以外は誰も気は失っていないのよ。ただ全員が頭痛の症状は訴えていたわ。」
え?誰も気を失ってないの?それって、あの凄まじい痛みを経験してないってこと?
なんか頭痛いなぁーで終わる程度だったってこと?
私だけ?
なんか嫌な予感がする。
「カオリン、もしかしてだけど、目覚めるのが遅いほど頭痛が酷いとか、そういう可能性ってあったりするのかな?私がシューさんの6日後で、気を失う程の痛みだったんだよ?今から目覚める人、私よりまる1週間も長く寝てた。」
私の青褪めながらの言葉にハッとするカオリン。
「言われてみれば、そうよね、その可能性はあるわ。痛みでショック死とか…ないわよね?」
カオリンと2人で顔を見合わせ青褪める。
例えそうだとしても私達に何もできることなどないのだ。
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