水と言霊と

みぃうめ

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第221話    side亜門 制裁②

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 今回は残酷回です。
 苦手な方はそっと閉じてください。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 罪人に向き直る。
 切り落とすと宣言した辺りから物凄い唸り声が聞こえてきていた。なんとか逃れようと必死に身体を動かそうとし、縄が身体に食い込み鬱血している部分もある。
 罪人達は涙と鼻水を垂れ流しながら首がもげそうなほど横に振っていた。
「自分のしたことだ。
 自業自得だろ?
 想像を絶する痛みだとは思うが、まあ、多分痛みですぐ気絶するだろうから安心しろ?」
 何も安心ではないが、気休め程度の言葉をかけ魔法を使う。
 制御を練習していて本当に良かった。
 そうでなければプジーごと切断するしかなかったな。外側から内側に向かって風の刃を収束させていく。
 猿轡をしていて尚、絶叫が辺りに響き渡る。
 三秒ほどで切り離しは完了。
 傷口を火魔法で焼く。
 切り離した部分は真皮が剥き出しだ。
 傷口を焼いた途端に失神した。
 プジーに残る切り離された性器を縦に切り裂き下に落として一人目が終了。
「ロタール!次の罪人の準備を頼む!」
「はい!」

 ロタールが準備をしている間に全員の様子を伺う。
 皇帝もギュンターも顔色に変化はなし。
 何するか知ってたのもデカいな。
 対して護衛達は目が泳ぎまくっている。
 身体が震えている者までいた。
 釘は刺しておかなきゃならねぇな。
 護衛の一人に一気に距離を詰め
「おい!まさかとは思うが…
 お前、今目ぇ逸らしてたか?」
「いっ!いいえっ!」
「そうか、俺の見間違えなら良いが…

 お前の態度、本当に皇帝陛下を敬い仕える態度には見えないな?
 第一騎士団員は皇帝陛下に直に仕えることのできる栄誉ある団員ではないのか?
 それとも皇帝陛下がお決めになられた今回の制裁に何か異論でもあるのか?」
「何もございません!」
「今後不貞を犯した者は、この刑か、それに見合う新たな刑を皇帝陛下がお決めになられる。
 今のうちに見慣れておかないと
 これからもたないぞ?」
「はい!御心遣い感謝いたします!」

 この中で異質だったのは名乗り出たロタールだった。
 ペコペコしていて腰が低い気弱な雰囲気だったのに、プジーを差すのも生殖器を切り落とすのを見ても顔色の一切を変えない。
 そしてまた口を開けば平身低頭。

 ………………こりゃ演技だな。
 金一封に釣られた馬鹿を演じてるつもりか?
 皇帝付きなら演技する必要はない。
 こいつの裏にいるのは誰だ?
 ‎..........ハンスか?
 ハンスならば良い。
 ハンスの腹の中は兎も角、俺達と友好関係を築く為に如何なる害意も与えないように配慮している。
 だがもし違った場合、裏で動くような奴がハンスの他にもう一人いることになる。
 厄介だな……
 俺達地球人は歴史は学べても貴族達の内部事情の深い部分までは知りようもない。
「あのぅ、川端様。
 次の罪人の準備が整いました。」
「ああ、ご苦労。
 では二人目の罪人の制裁を行う!」

 そして四人目まで同じ作業を繰り返し、いよいよ最後の罪人となった。

「最後に回された気分はどうだ?
 大人しくしとけば一番最初に終わったのになぁ。この人数を前に逃げられるわけがねぇだろ?」

 涙も鼻水も、叫びまくっているせいで口から涎までも垂らし、ついに切り落とす前に失禁までした。

「あーーーあ。
 漏らしてんじゃねーよ汚ぇーなぁー。
 ずっとフガフガ言ってるが、何か言いたいことでもあんのか?」
 首を激しく縦振りしてくる罪人。
「聞くだけ聞いてやるよ。
 ロタール、猿轡外してくれ。」
「はい!」
 猿轡を外された罪人は開口一番
「ごろじでぐだざい!!!」
 と叫んだ。
「殺せ?俺が?お前を?何故?」
「む゛り゛でずっ!」
「一番最初に慈悲を与えてやっただろう?
 足を切り落とすかどうかってな。
 それを拒否したのは誰だ?お前だろ?」
「ごろ゛じでっ!おでがいじま゛ず!!」
「ロタール、猿轡つけろ。」
「はい!」
「や゛め゛っっ!なんでもじばずっ!!
 ん゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛~~~~~~!!!」
「黙れ!!!
 聞くだけ聞いてやっただろ?
 俺だって好きでやってるわけじゃない。
 なるべく手早く痛みが少ないようにやってやってるんだぞ?
 こうなったのは誰のせいでもない、お前自身の行動の結果だろ?
 それを死んで楽になろうなんて甘い甘い。
 そんなに心配しなくても誰かを抱けなくなるだけで傷が治れば生きていけるんだ。
 言っておくが自死は許されないぞ?
 自死を目論み死ねたらいいがなぁー
 もし死に損なったとしたら……
 死なないようにずーーーっと拷問だな。
 でもなぁ、それはやりたくねぇんだよ。
 わかるか?お前を拷問するために人手が取られ続けるんだよ。
 お前にそんな価値ねぇだろ?

 このやり取りこそ慈悲だ。
 そうだろ?
 教えなくていいことまで俺の大切な時間を使って態々丁寧に教えてやってんだ。
 だがもうそれも終わりだ。

 で?
 どうするんだ?
 甘んじて今回の制裁を受け入れるのか
 それとも一生拷問か。
 選ばせてやるよ。
 ロタール!」
「はい!」

 名前を呼んだだけで猿轡を外すロタール。
 やはりコイツは誰かのイヌだ。
 俺の、相手のプライドも何もかもをへし折るような発言の嵐に皇帝やギュンターですら表情を隠すのに必死なのにコイツだけが平気な顔して俺が名前を呼んだ意図を読み行動しやがった。

「どうするんだ?
 時間の無駄だ!!!
 さっさと言え!!!」
「う゛げい゛れ゛ばず!」
「ロタール!」
「はい!」
 返事をし猿轡をつけるロタール。
 そして今までの罪人達と同じように生殖器を切り落とし傷口を焼き、制裁は終了した。

 メイド達もこの場に呼び戻させた。
 メイドは戻ってくるなり悲鳴を上げたが、返事以外で口を開くことは禁じ、護衛達と共に注意事項を伝える。
 メイドも護衛も協力して世話をすること。
 手枷足枷を付け傷口に触れられないようにし、横に寝かせること。
 発熱するであろうこと。
 傷口は常に清潔にし、膿は清潔な布で拭くこと。
 傷口に素手で触れるようなことはしないことなどなど……

「この中も清潔に保てよ。
 それと一番重要なことを言っておく。
 罪人達が死んだらお前らの責任だ。
 責任の取り方は、まあヌルい方法ではないだろうな。
 わかったか?」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
「皇帝陛下、無事制裁は終了いたしました。
 ご満足いただけましたでしょうか?」
「うむ。大義であった。
 これにて不貞の処罰は終了といたす。
 お前達、罪人を死なすでないぞ。」
 全員が跪き忠誠のポーズをとる。
 それを見届け皇帝は立ち上がり部屋を出ていくので俺も後ろについて行く。


 外に待機していた護衛達と共に別の部屋へと案内され、部屋の遮音の魔法具をギュンターが起動し漸く一息つけた。
「あーーー疲れた!」
「川端殿、感謝する。」
「あんな感じで良かったか?」
「十分だ!
 周りの護衛達の顔を見たか!?
 今にも倒れそうだったではないか!」
「そりゃ皇帝もギュンターもだろ?
 表情隠すの必死だったのには笑えたな。」
「仕方なかろうて!
 特に最後の罪人に対してなど非道という言葉では足りぬ程脅しておったではないか!」
「やりすぎたか?
 あれくらい言わなきゃ周りの護衛の印象を恐怖に染められなかったと思うぞ?
 これでうまく広めてくれたらいいがな。」
「護衛は今後交代制にします。
 話だけでは信じられなくとも、実際に罪人達をその目で見れば信じざるを得ません。」
「だな。そうしてくれ。
 あ、あとな、罪人達に囁いたのは黒い足のことだ。
 ゆっくり広がりながら腐り落ちる。
 そう囁いた。
 初めから腐り落ちるってわかってたら意味ねぇから口止めさせてもらった。」
「承知した。
 腐り落ちるとは誰も知らないであろうからな。それを知っている者が出てきたら情報が漏れたと思おう。」
「あの焼いた傷口が治るのにはかなり時間がかかる。覚悟しておいてくれ。
 何せ真皮、深い所ならば皮下組織だ。
 相当な痛みも伴うだろう。」
「だが、死にはせんのであろう?」
「適切な処置をしていればそうだろう。
 とにかく素手や空気に触れさせないよう注意してくれ。使うのは煮沸した布のみだ。それも清潔な手のみで行うこと。あの肌が青くなるような石鹸で洗った手で処置を施すなど言語道断だからな。
 世話が面倒になり見殺しにされないように脅してはおいたが、万が一死なせた時の処罰も考えて周知させておいた方が無難だ。」
「それも承知した。」
「制裁の件はもういいか?
 俺が話したい本題は辺境のことだ。」














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