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宴から始まる異世界生活
1話 今の仕事と隣人
しおりを挟む「よし、全部集まったかな」
大小さまざまな段ボールなどが番号の付いてる棚に所狭しと置かれている
それをリスト用紙を見ながら集める作業『ピッキング』をしているのは一人の男性
久保 善一 くぼ ぜんいち 33歳の派遣社員
183cm、68キロの細身の伊達メガネをかけた男性
ピッキングはとにかく歩く。そしてリストを見たり探したりで目も疲れる
『魔法』が使えたら絶対もっと楽なはずなのに。すぐに探せたり物を軽くしたり、なんならその場にいなくてもピッキングできたりもするんじゃ、、、
「いや、ありえないだろ」
妄想と仕事で少し疲れたので伊達メガネをはずし目頭を押さえていた時に女性から声をかけられる
「あの、すいません。これはどこ、、、あっ」
女性が自分の顔を見て少し言葉がとぎれる。妄想でにやにやしてたからではなく多分目付きだ
「ん?あっ、すいません。どれですか?」
伊達メガネをかけ女性のリストを覗く
「え?あっ、すいません。これなんですが、、、」
女性は男性が伊達メガネで目付きが和らいだことと思いのほか優しい対応に安心して話を続ける
「これなら、あそこの棚にありますよ」
「あっ、ありがとうございます!」
「いえいえ。探すコツとしては重量を見ると少し探しやすくなりますよ」
「重量ですか?」
リストには商品につけたれた番号と重量が記載されている
「あくまで目安ですが重いのであれば大きい荷物の可能性が高かったりしますからね」
「なるほど。参考になります」
「またわからないことがあったら聞いてください」
「はい!ありがとうございます」
女性は目当ての荷物を取るとまた次の荷物をピッキングしにいった
「スポットの子かな」
派遣社員のメリットは一日だけでも働けるということだ。一日や数日だけ働きに来る人をスポットと呼ぶ。学生や他に仕事やアルバイトをしてる人が多い
ちなみに自分は常勤で週5で働いているベテランである。ここの現場も4年目だが今日は12月31日だから数日後には5年目突入だ
「年末なのに頑張るねぇー」
不意に独り言が出る。今日は今年最後の日だ。誰しも働きたくはないだろうがどの会社も休みと言う訳でもない。だが年末なのでそれなりに手当や待遇も良くされている
ここの現場で言うと時給が上がっていることとおそらく今日は定時ではないだろうという感じだ。基本は8時30分から17時30分までなのだが年末は毎年それよりも早く終業している。もちろん手当は早く終わっても17時30分までだ
現在は14時だ。長年の経験から言うと15時30分上がりぐらいかなって考えていると社員さんから声をかけられる
「あっ、久保さん!梱包にまわって下さい。もうすぐピッキングは終わるんでラストスパート行きましょう」
「席空いてますか?」
「セシルさんの隣でお願いします。手伝ってあげて下さい」
「了解です」
「セシル。手伝いに来たぞー」
「あっ!ゼンイチさん!!」
セシル ランフォード 23歳の『自称ロシア人』
身長や体重などは不明だか女性にしては背が高くエプロンをしていてもスタイルが良いとわかるレベルだ。容姿も整っており銀髪とブルーの瞳が日本人ではないことを証明している
『自称ロシア人』についてはまた語る機会がある時に語るとしよう。『セシル達』との関係はお隣さんだ。もう3年の付き合いになる。初めの1年はそれはもう大変だった、、、文化の違いどころではないレベルだ。簡単に言えば言葉はかわせるのに『何も知らない』だ。今では日本に馴染んだ外国人でこの仕事も自分が紹介した。セシルも常勤で今が2年目だ
「どれ梱包したらいい?」
「この少し重い荷物をいいデスカ?」
セシルの方はまだ少しだけ違和感のある日本語だな
「了解。んじゃラストスパート行きますか!」
「はいデス!!」
「本日もご苦労様です!今日はここまでにして上がりましょう」
現在15時20分。大体読み通りだったかな
「もう終わりデスカ?まだ17時30分じゃナイデスよ?」
セシルが不思議そうに俺に尋ねてきた
「年末だからな。去年もそうだっただろ?」
「んー、、、あっ!確かにソウデシタ!」
「なら、片付けて帰りますか」
「はいデス!」
社員さんや仕事仲間に挨拶を済ませ、今はセシルと一緒に帰宅してる。お隣なので行き帰りは一緒だ
『転移魔法』とか使えたらもう家でのんびりしてるんだろな
「やっぱり人が少ないデスネ」
「年末はゆっくりしたいだろうしな。スーパーとかも閉まってるが買い物は大丈夫なのか?」
「大丈夫デス!オセチも作る為にいっぱい先に買ってありマス」
「相変わらずの料理好きだな」
「ゼンイチさんのも作りマス!3人で食べまショウ!」
腕を組んで歩いてるセシルが嬉しそうに答える。腕を組んで歩いてるいるが付き合ってるとかではない。2年前に自分が入院をする怪我をして以来、『セシル達』のスキンシップがかなり増えた。まるで自分を守るかのよう密着するので無下には出来ない。それにはじめはドキドキもしたが2年も経てば慣れる。スキンシップも日本と海外の文化の違いなんだろう
「サラは何してるんだ?」
「サラちゃんは、、、あっ、、、」
セシルが『何かを探るよう』に上を向いてるのを見てたら
ドン!背中に衝撃を感じる。痛いとかではなく抱き付いて来た感じだ
「おふっ、、、」
「サラちゃんならココにイマス!!」
「お仕事お疲れ」
サラ ランフォード 17歳の高校生『こちらも自称ロシア人』
背が低くスタイルはスレンダーと言った感じの女の子だ。白髪でクルーな雰囲気を纏ってはいるが顔面偏差値がかなり高い。セシルもかなり高いがセシルが美人ならサラは可愛いって感じだ
「サラは相変わらず神出鬼没だな」
抱き付いていた背中から離れてセシルとは別の腕に抱き付いてくる。側から見れば仲の良い親子なんだろう
「迎えに来た」
セシルとは違い違和感のない日本語だ。セシルが元気な感じならサラはクールな感じだな
「友達と年越ししたりしないのか?」
「年明けに一緒にお参りに行く。年越しはセシルと善一と過ごす」
「えっ?俺もなの?」
「一緒に年越しにお参りに行く。去年は私寝ちゃったから」
「わたしも寝ちゃいマシタ」
確かに去年は2人が家に来たがセシルもサラも寝てしまい年越しのお参りではなく朝起きてから3人で行った。自分は起きてのだが仲良く寄り添って寝ているので起こせなかった
「なら起きてたら初詣に行くか」
「行きまショー!」
「頑張る」
あれから3人で帰宅し、一時解散した。それぞれ準備をし20時に自分の家に集合だ。お隣なのですぐに来れる
自分もお風呂に入り軽く部屋を掃除する
「『クリーン』って馬鹿やってないで掃除するか。それにご飯はセシルが作ってくるみたいだし2人のお菓子とか準備しとかないと」
使えない『魔法』はやめてお菓子を探す
やっぱりセシルもサラも甘い物が好きだ。2人がよく遊びに来るので何が好きとか好みもあるがネットで色々買って2人用にストックしてある。
知り合った時は色々大変だったが今では隣に住んでいて色々一緒に出かけたりもした。買い物からはじまり映画や遊園地や水族館。旅行に行ったりキャンプしたり基本は自分とセシルとサラの3人だが、セシルと2人やサラと2人の時もあればお互いの知り合いも呼んで大人数だった時もある
「彼女はいないが甘えたな妹2人がいるみたいなもんだな」
周りからは2人とよくいる自分の影響でセシルはキャンプや料理が好きになりサラはもうそれは立派なアニメ好きなったとのことだ
レベルの高い2人に懐かれてるから羨ましがられる。自分も懐かれて悪い気はしないし2人を大切に思っている
それによく一緒にいる自分だからこそわかることなんだセシルとサラは『とても不思議な子達だ』それこそロシアから移住して来たでは説明がつかないレベルには、、、
「まっ、検索はしないけどな」
知られたくなことなど誰しもがある。言ってくれるなら聞くが自分から聞くつもりはない。自分も割とガチに『魔法』が使いたいとか周りにしられたくはない。普通に死ねる、、、
「おっと、そろそろ時間か」
年末のせいかはたまた別の要因かはわからないが色々と思い出してしまいもうすぐ約束の時間だ
「今年は起きて初詣にいけるのかねぇー」
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