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新たな始まりと複雑な真実
小悪魔な誘い
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多部達との再会の後、直々光輝達と多部達との集いが繰り返された。
それと共に多部、優香に好意を持つ仲間達も多く、一歩引いている俺はその集いから距離感を覚え始めた。
久々の孤立感を感じている中、宮地が見知らぬ少年と一緒に相談事が有るとやってきた。
相談とはその少年が家庭のトラブルから家を飛び出し宮地がとある事から面倒を見ていたらしいが仕事の都合も有り暫く預かってくれないかとの相談だった。
実家暮らしの俺は少し躊躇いも有ったが孤立感を感じている自分にとって頼りにしてくれる人が居ることが救いに感じ、何とかしたいと思い「任せてくれていいよ!」と思わず言ってしまった。
そしてその少年は俺の6畳部屋で一緒に過ごす事になった。
繊細そうな少年は年齢的に高校一年生だが学校は中退したらしい。
理由はプライドの高い両親への反発。
自分の抱える葛藤と近い感性に共感を覚え、直ぐに信頼関係が生まれた。
彼は俺を兄の様に慕ってくれた。
末っ子の俺にとって弟は熱望していた存在。
本当の家族の様に大切に感じた。
昼間の仕事、夜間の学校が終わると急足で家に帰り彼との時間を過ごした。
そんな時間が過ぎる内に多部や光輝達とより一層距離が出来て暫く会う事も無くなっていった。
そんなある日、学校帰りに多部との光輝達が駅前でたむろし談笑している所に遭遇した。
「おぉアキオ!何か久しぶりだな」
光輝が言うと優香も「あー何か最近冷たいアキオ先輩だ」と揶揄ってくる。
俺は横目で多部の顔を覗くと会釈してくれるも文也や早瀬達との会話に夢中な様で俺には興味を示さなかった。
そして俺ははっきりと悟った。
もう多部とは恋人の関係には戻れないんだと。
そんな傷心を抱えて家に帰ると弟の様な存在の雪哉が何かを悟って一生懸命慰めてくれた。
今の俺には雪哉が居てくれる。
それだけで救われる気持ちになった。
学校の試験も終って冬休みに入りクリスマスが近づこうとする頃、雪哉と買い物に出掛けると駅前のコンビニでバッタリ多部と遭遇した。
「あっアキオ先輩、何してるの?」と雪哉の顔をマジマジと見ながら聞いてきた。
「あー、これから国分寺に買い物行くとこ」
素っ気なく返すと「そうなんだ、ところでお隣の少年は誰?」と不思議そうに聞いてきた。
「あー今俺んちに居候している雪哉、宜しくね」
「えー、そうなんだ!何か可愛い~」
と相変わらず小悪魔的な発言が出る。
「初めまして、雪哉です、アキオさんに面倒見て貰ってます」と挨拶する雪哉は顔を真っ赤にしている。
やられたか…
本当に恐るべき多部の女性フェロモン。。
これ以上一緒に居ると雪哉も翻弄されてしまうと心配に成り「急がないと店閉まるから行くは」とその場を急足で去った。
「アキオさん、今の誰ですか?」と雪哉に聞かれ、「あぁ地元の後輩だよ」と何故かそれ以上の関係を言いたくなかった。
「何かああいう人タイプなんですよね」
一目会っただけなのに奥手そうな雪哉をここまで翻弄させてしまう多部にリアルに怖さを感じた。
多部を雪哉に好かれる嫉妬よりも雪哉を守りたいと思える程に多部は強者だと実感した。
そんなある日、ヒロが飲みに誘いにきた。
最近仲間達との距離に不安も覚えていたので雪哉を連れて参加する事にした。
飲み会では相変わらず多部は皆にちやほやされて雪哉もその輪に入り楽しそうにしているのを横目に俺は座敷の隅でやけ酒をあおる。
飲み会も縁たけなわという頃、多部が酔っ払ったらしくヨロヨロと近寄ってきた。
「気持ち悪い、吐きそう」
俺は慌ててトイレに連れて行く。
結局、少し吐いたらしい…
夜風に当たりたいと言うので仕方なく俺は多部を外へ連れていった。
するといきなり
「2人で帰ろ」
と多部が言ってきた。
「そろそろ皆帰るんじゃない、タクシーで送って貰いなよ」
俺はこれ以上惑わされたく無いとの気持ちから突き返す様に言った。
「やだよ、吐いちゃう」
「でも。。」
「アキオ!送ってけー!」
多部が叫ぶ
酔っ払い、質が悪い。。
結局、飲み会を多部と抜け出し送って帰る事にした。
終電は既に無いので二駅の線路を歩いて帰った。
俺は多部の靴を持ち、多部は裸足で線路を平行棒の様にバランスを取りながら手を広げて歩いている。
やっぱり溜まらなく好きだ…
「なぁ多部、誰かと付き合わないのか?」
「皆と遊んでいるのが楽しいからいいや」
「好きな奴は居ないの?光輝とか和人とか」
「2人ともいい人で好きだけど恋愛対象には成らないよ、いい友達っていう感じ」
「じゃぁ、俺と一緒か」
「アキオは違うよ、ただの友達じゃない」
「じゃぁ何?」
「友達以上、恋人未満」
「なんじゃそりゃ」
「好きなの、嫌いなの?」
「好きだよ、大好き」
「じゃぁもう一度付き合ってよ」
酔もあってか惑わされては駄目だという自制心が効かず思わず言ってしまった。。
暫くの沈黙。
「私も自分の事が良く分からない」
「また付き合うのは怖いの」
…
「貴方との関係を壊したくない」
「何言ってるの?全然意味わからないよ」
「私は今のままがいい、
皆で遊んでこうしてたまに二人でふざけあって、
こういう時間が凄く幸せに感じるから、もう不安にもなりたくないし悩みたくない」
「今度はもっと多部の為に時間作るよ」
「そういう事もして欲しくないし、友達とふざけあってるアキオが好きだから」
「ごめんね。。」
何だよそれ、全然分からないよ…
またも多部にフラれてしまった。
それと共に多部、優香に好意を持つ仲間達も多く、一歩引いている俺はその集いから距離感を覚え始めた。
久々の孤立感を感じている中、宮地が見知らぬ少年と一緒に相談事が有るとやってきた。
相談とはその少年が家庭のトラブルから家を飛び出し宮地がとある事から面倒を見ていたらしいが仕事の都合も有り暫く預かってくれないかとの相談だった。
実家暮らしの俺は少し躊躇いも有ったが孤立感を感じている自分にとって頼りにしてくれる人が居ることが救いに感じ、何とかしたいと思い「任せてくれていいよ!」と思わず言ってしまった。
そしてその少年は俺の6畳部屋で一緒に過ごす事になった。
繊細そうな少年は年齢的に高校一年生だが学校は中退したらしい。
理由はプライドの高い両親への反発。
自分の抱える葛藤と近い感性に共感を覚え、直ぐに信頼関係が生まれた。
彼は俺を兄の様に慕ってくれた。
末っ子の俺にとって弟は熱望していた存在。
本当の家族の様に大切に感じた。
昼間の仕事、夜間の学校が終わると急足で家に帰り彼との時間を過ごした。
そんな時間が過ぎる内に多部や光輝達とより一層距離が出来て暫く会う事も無くなっていった。
そんなある日、学校帰りに多部との光輝達が駅前でたむろし談笑している所に遭遇した。
「おぉアキオ!何か久しぶりだな」
光輝が言うと優香も「あー何か最近冷たいアキオ先輩だ」と揶揄ってくる。
俺は横目で多部の顔を覗くと会釈してくれるも文也や早瀬達との会話に夢中な様で俺には興味を示さなかった。
そして俺ははっきりと悟った。
もう多部とは恋人の関係には戻れないんだと。
そんな傷心を抱えて家に帰ると弟の様な存在の雪哉が何かを悟って一生懸命慰めてくれた。
今の俺には雪哉が居てくれる。
それだけで救われる気持ちになった。
学校の試験も終って冬休みに入りクリスマスが近づこうとする頃、雪哉と買い物に出掛けると駅前のコンビニでバッタリ多部と遭遇した。
「あっアキオ先輩、何してるの?」と雪哉の顔をマジマジと見ながら聞いてきた。
「あー、これから国分寺に買い物行くとこ」
素っ気なく返すと「そうなんだ、ところでお隣の少年は誰?」と不思議そうに聞いてきた。
「あー今俺んちに居候している雪哉、宜しくね」
「えー、そうなんだ!何か可愛い~」
と相変わらず小悪魔的な発言が出る。
「初めまして、雪哉です、アキオさんに面倒見て貰ってます」と挨拶する雪哉は顔を真っ赤にしている。
やられたか…
本当に恐るべき多部の女性フェロモン。。
これ以上一緒に居ると雪哉も翻弄されてしまうと心配に成り「急がないと店閉まるから行くは」とその場を急足で去った。
「アキオさん、今の誰ですか?」と雪哉に聞かれ、「あぁ地元の後輩だよ」と何故かそれ以上の関係を言いたくなかった。
「何かああいう人タイプなんですよね」
一目会っただけなのに奥手そうな雪哉をここまで翻弄させてしまう多部にリアルに怖さを感じた。
多部を雪哉に好かれる嫉妬よりも雪哉を守りたいと思える程に多部は強者だと実感した。
そんなある日、ヒロが飲みに誘いにきた。
最近仲間達との距離に不安も覚えていたので雪哉を連れて参加する事にした。
飲み会では相変わらず多部は皆にちやほやされて雪哉もその輪に入り楽しそうにしているのを横目に俺は座敷の隅でやけ酒をあおる。
飲み会も縁たけなわという頃、多部が酔っ払ったらしくヨロヨロと近寄ってきた。
「気持ち悪い、吐きそう」
俺は慌ててトイレに連れて行く。
結局、少し吐いたらしい…
夜風に当たりたいと言うので仕方なく俺は多部を外へ連れていった。
するといきなり
「2人で帰ろ」
と多部が言ってきた。
「そろそろ皆帰るんじゃない、タクシーで送って貰いなよ」
俺はこれ以上惑わされたく無いとの気持ちから突き返す様に言った。
「やだよ、吐いちゃう」
「でも。。」
「アキオ!送ってけー!」
多部が叫ぶ
酔っ払い、質が悪い。。
結局、飲み会を多部と抜け出し送って帰る事にした。
終電は既に無いので二駅の線路を歩いて帰った。
俺は多部の靴を持ち、多部は裸足で線路を平行棒の様にバランスを取りながら手を広げて歩いている。
やっぱり溜まらなく好きだ…
「なぁ多部、誰かと付き合わないのか?」
「皆と遊んでいるのが楽しいからいいや」
「好きな奴は居ないの?光輝とか和人とか」
「2人ともいい人で好きだけど恋愛対象には成らないよ、いい友達っていう感じ」
「じゃぁ、俺と一緒か」
「アキオは違うよ、ただの友達じゃない」
「じゃぁ何?」
「友達以上、恋人未満」
「なんじゃそりゃ」
「好きなの、嫌いなの?」
「好きだよ、大好き」
「じゃぁもう一度付き合ってよ」
酔もあってか惑わされては駄目だという自制心が効かず思わず言ってしまった。。
暫くの沈黙。
「私も自分の事が良く分からない」
「また付き合うのは怖いの」
…
「貴方との関係を壊したくない」
「何言ってるの?全然意味わからないよ」
「私は今のままがいい、
皆で遊んでこうしてたまに二人でふざけあって、
こういう時間が凄く幸せに感じるから、もう不安にもなりたくないし悩みたくない」
「今度はもっと多部の為に時間作るよ」
「そういう事もして欲しくないし、友達とふざけあってるアキオが好きだから」
「ごめんね。。」
何だよそれ、全然分からないよ…
またも多部にフラれてしまった。
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