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反逆
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『龍の森』中身は、普通の森と大差なかった。
例の伝承さえなければ、この森が禁足の地となることはなかっただろう。
五人はその森の中で、比較的開けている場所を探し、これからの方針について話し合う。
「さて、これからどうする?」
口を開いたのはノトスだった。
どうやら積極的に議論の司会進行役を担うつもりらしい。
このメンバーの中では、彼はその役割にはピッタリだった。
「決まってんだろ!あいつらをぶっ殺す!俺がこの手で根絶やしにしてやる!」
当然の様に噛み付いたのはゼウスだった。
「それは本気?」
ガイアがゼウスに問いかける
「当然だろ!あいつらは俺達の親を殺したんだぞ!王家の敵だ!なら、俺は俺の使命を全うするだけだ!」
「落ち着いて。気持ちは分かる…とは言えないけど、敵は強い。今の僕達が無策に挑んで勝てる相手じゃない。それとも、君は一人で奴らと戦うつもり?」
ノトスのその言葉に、ゼウスは少しだけ冷静さを取り戻した。
「…まあ、確かに俺一人でどうこう出来る問題じゃないか……」
そう言うゼウスの表情には、悔しさの感情が見える。
ゼウスの沈黙を待っていたかのようにテティスが口を開く。
「真っ先に欲しいのは情報よね……それがないと動こうにも動けないわ」
知的なテティスらしい発言だ。
一つ残念な事があるとするならば、その事はここにいるメンバー全員が理解しており、テティスはその気持ちを代弁しただけだという事だ。
「確かにその通りだね…じゃあまずは、情報収集の手段について考えよう」
ノトスがそう言うと、今まで発言していなかったヴァルカンが口を開いた。
「…だったら、街に行くのはどうだろう…ここは比較的に都市に近い位置にあるから、街まで行ければ情報が…」
「お前は馬鹿か」
ヴァルカンが言い切る前にゼウスがその提案を切り捨てる。
無論、ゼウスがその提案を切り捨てたのには理由がある。
それは、既に都市部が『反逆軍』によって支配されている可能性がある事。
その場合、ヴァルカン達が都市部に行くという行為には、かなりのリスクが付随する事になる。
こんな事になった以上、いつ、どこに、どんな目があるかは分からないのだ。
「でも、僕達が王家の当主だとは分からないと思うよ」
基本的に王家の人間は一般社会から隔絶された環境で育つ。
故に、直接見た者でなければ、王家の人間かそうでないかを判別する事は出来ない。
王家の当主なら、さまざまな行事で表に出るが、この五人が表舞台に出たのは、先の儀式が初めてである。
このことから、ノトスの考えは的外れなものではないと言えるが、もう一つ問題がある。
それは、
「どのみち神器を身に付けていたら俺達が当主ってバレるだろうが…」
という事だった。
街の中で神器を身に付けていれば目立ち過ぎてしまう。
特に、ガイアの大剣は大きいが故に人目についてしまう。
かといって、武器を手放して敵の陣地に入るのは愚策中の愚策。
なんとか対策する必要がある。
「なら、こうするのはどうかしら?」
そう言ってテティスは一つの案を他の四人に提示した。
多少のリスクを背負う事になるが、それでも無策に街に入るよりはマシと判断され、テティスの案は採用された。
例の伝承さえなければ、この森が禁足の地となることはなかっただろう。
五人はその森の中で、比較的開けている場所を探し、これからの方針について話し合う。
「さて、これからどうする?」
口を開いたのはノトスだった。
どうやら積極的に議論の司会進行役を担うつもりらしい。
このメンバーの中では、彼はその役割にはピッタリだった。
「決まってんだろ!あいつらをぶっ殺す!俺がこの手で根絶やしにしてやる!」
当然の様に噛み付いたのはゼウスだった。
「それは本気?」
ガイアがゼウスに問いかける
「当然だろ!あいつらは俺達の親を殺したんだぞ!王家の敵だ!なら、俺は俺の使命を全うするだけだ!」
「落ち着いて。気持ちは分かる…とは言えないけど、敵は強い。今の僕達が無策に挑んで勝てる相手じゃない。それとも、君は一人で奴らと戦うつもり?」
ノトスのその言葉に、ゼウスは少しだけ冷静さを取り戻した。
「…まあ、確かに俺一人でどうこう出来る問題じゃないか……」
そう言うゼウスの表情には、悔しさの感情が見える。
ゼウスの沈黙を待っていたかのようにテティスが口を開く。
「真っ先に欲しいのは情報よね……それがないと動こうにも動けないわ」
知的なテティスらしい発言だ。
一つ残念な事があるとするならば、その事はここにいるメンバー全員が理解しており、テティスはその気持ちを代弁しただけだという事だ。
「確かにその通りだね…じゃあまずは、情報収集の手段について考えよう」
ノトスがそう言うと、今まで発言していなかったヴァルカンが口を開いた。
「…だったら、街に行くのはどうだろう…ここは比較的に都市に近い位置にあるから、街まで行ければ情報が…」
「お前は馬鹿か」
ヴァルカンが言い切る前にゼウスがその提案を切り捨てる。
無論、ゼウスがその提案を切り捨てたのには理由がある。
それは、既に都市部が『反逆軍』によって支配されている可能性がある事。
その場合、ヴァルカン達が都市部に行くという行為には、かなりのリスクが付随する事になる。
こんな事になった以上、いつ、どこに、どんな目があるかは分からないのだ。
「でも、僕達が王家の当主だとは分からないと思うよ」
基本的に王家の人間は一般社会から隔絶された環境で育つ。
故に、直接見た者でなければ、王家の人間かそうでないかを判別する事は出来ない。
王家の当主なら、さまざまな行事で表に出るが、この五人が表舞台に出たのは、先の儀式が初めてである。
このことから、ノトスの考えは的外れなものではないと言えるが、もう一つ問題がある。
それは、
「どのみち神器を身に付けていたら俺達が当主ってバレるだろうが…」
という事だった。
街の中で神器を身に付けていれば目立ち過ぎてしまう。
特に、ガイアの大剣は大きいが故に人目についてしまう。
かといって、武器を手放して敵の陣地に入るのは愚策中の愚策。
なんとか対策する必要がある。
「なら、こうするのはどうかしら?」
そう言ってテティスは一つの案を他の四人に提示した。
多少のリスクを背負う事になるが、それでも無策に街に入るよりはマシと判断され、テティスの案は採用された。
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