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反逆
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街から情報を集めた五人は森へと戻り、手に入れた情報を共有し、今後の方針を決めるための話し合いを行う。
もちろん、司会進行を担うのはノトスの役割だ。
最初に成果を報告をしたのはテティスだった。
テティスは情報屋から得た情報を余すことなく全てを報告した。
『反逆軍』の戦闘員の数は四百人程だということや、隊を率いる隊長が別格の強さを誇っていることなどを説明した。
それほど情報量は多くなかったが、今はどんなに僅かな情報も欲しいというのが全員の考えだった。
そんな状況の中で、これだけの7情報、特に、相手の戦力が具体的に分かったのはかなり大きいといってもいい。
「ふんっ、戦闘員つっても、どうせその大半が雑魚に決まってんだろ。俺達が警戒するのは隊長だけで十分だ」
「それは流石に希望的観測過ぎだよ。僕たちはまだ『反逆軍』のメンバーとは戦っていない。相手の大半が弱いという保証はどこにもない」
その反論は予想済みだったのだろう。
ゼウスはすぐに言葉を返す。
「よく思い出せよノトス。俺達は一度だけ敵軍と正面から向き合っただろうが」
ノトスが息を呑む。
「まさか君……儀式の間で襲われた時の事を言っているのか…?」
「当たり前だろ。逆にそれ以外何があるってんだよ」
「あの一瞬だけで相手の強さを判断したの?」
「俺にとっては朝飯前の事だ」
ゼウスは簡単に言うが、見ただけで相手の強さを判断するというのは中々出来ることではない。
この発言が、ゼウスの強さを物語っていると言ってもいいくらいだ。
「まあ、君がそう言うなら疑ったりはしないよ。それで、次はゼウスとガイアの番だよ」
ノトスがそう言った瞬間、明らかにガイアとゼウスが動揺した。
「二人ともどうしたの?」
二人が動揺するのも無理はない。
何故ならこの二人は、情報収集を行えていないからだ。
結局この二人は、街の大通りを歩き情報を探したが、何の成果も得られなかった。
ゼウスは自分の失敗を認めようとはしない厄介な性格だ。
と、言うわけでガイアが全力で謝る事になったのだ。
「本当にごめんね…大通りに行けば簡単に情報が手に入るって思ったんだけど、私達の考えが甘かったよ…」
ノトスを苦笑しながら溜息を吐いた。
「ねえ、今の話おかしくないかしら?」
テティスは手を顎に当てて何かを考える様にしながら口を開いた。
「おかしいって、何が?」
「だって、普通に考えて『反逆軍』があれだけの規模の行動を起こしたのよ?捏造されたりする事はあっても、完全に隠蔽されることなんてあるのかしら?」
テティス達が大通りに行かなかったのは、偽の情報に振り回されたくなかったからであり、大通りでは色々な情報があると思っていたのだ。
「確かにそうだね…一体どういう事なんだろう?」
「最悪を考えるなら、街が既に『反逆軍』乗っ取られてるって事なんだろうけど、もしそうなら私達が今ここでこうして集まれているのはおかしいわ」
そこから、さらに全員で話し合ったが、結局、結論は出せなかった。
何故なら、途中で議論が妨げられてしまったからだ。
最初に気付いたのはゼウスだった。
ゼウスは議論を無理矢理止め、森の奥に向かって声を張り上げた。
「それで隠れてるつもりかよ!バレバレだぞ!殺しに来たなら正々堂々と勝負しやがれ!」
しばらくすると、杖を持ち、黒いマントを羽織った少女が姿を現した。
五人が一斉に武器を構える。
「てめえ何もんだ?」
聞いてはみたものの、答えは分かっている。
このタイミングでここに姿を現す者。
『反逆軍』のメンバーに違いない。
しかし、その少女の答えは、ゼウスの考えの一歩先を行っていた。
「皆さんはじめまして。私は『反逆軍』三番隊隊長、魔術師、ヘカテーと申します。以後、お見知り置きを」
もちろん、司会進行を担うのはノトスの役割だ。
最初に成果を報告をしたのはテティスだった。
テティスは情報屋から得た情報を余すことなく全てを報告した。
『反逆軍』の戦闘員の数は四百人程だということや、隊を率いる隊長が別格の強さを誇っていることなどを説明した。
それほど情報量は多くなかったが、今はどんなに僅かな情報も欲しいというのが全員の考えだった。
そんな状況の中で、これだけの7情報、特に、相手の戦力が具体的に分かったのはかなり大きいといってもいい。
「ふんっ、戦闘員つっても、どうせその大半が雑魚に決まってんだろ。俺達が警戒するのは隊長だけで十分だ」
「それは流石に希望的観測過ぎだよ。僕たちはまだ『反逆軍』のメンバーとは戦っていない。相手の大半が弱いという保証はどこにもない」
その反論は予想済みだったのだろう。
ゼウスはすぐに言葉を返す。
「よく思い出せよノトス。俺達は一度だけ敵軍と正面から向き合っただろうが」
ノトスが息を呑む。
「まさか君……儀式の間で襲われた時の事を言っているのか…?」
「当たり前だろ。逆にそれ以外何があるってんだよ」
「あの一瞬だけで相手の強さを判断したの?」
「俺にとっては朝飯前の事だ」
ゼウスは簡単に言うが、見ただけで相手の強さを判断するというのは中々出来ることではない。
この発言が、ゼウスの強さを物語っていると言ってもいいくらいだ。
「まあ、君がそう言うなら疑ったりはしないよ。それで、次はゼウスとガイアの番だよ」
ノトスがそう言った瞬間、明らかにガイアとゼウスが動揺した。
「二人ともどうしたの?」
二人が動揺するのも無理はない。
何故ならこの二人は、情報収集を行えていないからだ。
結局この二人は、街の大通りを歩き情報を探したが、何の成果も得られなかった。
ゼウスは自分の失敗を認めようとはしない厄介な性格だ。
と、言うわけでガイアが全力で謝る事になったのだ。
「本当にごめんね…大通りに行けば簡単に情報が手に入るって思ったんだけど、私達の考えが甘かったよ…」
ノトスを苦笑しながら溜息を吐いた。
「ねえ、今の話おかしくないかしら?」
テティスは手を顎に当てて何かを考える様にしながら口を開いた。
「おかしいって、何が?」
「だって、普通に考えて『反逆軍』があれだけの規模の行動を起こしたのよ?捏造されたりする事はあっても、完全に隠蔽されることなんてあるのかしら?」
テティス達が大通りに行かなかったのは、偽の情報に振り回されたくなかったからであり、大通りでは色々な情報があると思っていたのだ。
「確かにそうだね…一体どういう事なんだろう?」
「最悪を考えるなら、街が既に『反逆軍』乗っ取られてるって事なんだろうけど、もしそうなら私達が今ここでこうして集まれているのはおかしいわ」
そこから、さらに全員で話し合ったが、結局、結論は出せなかった。
何故なら、途中で議論が妨げられてしまったからだ。
最初に気付いたのはゼウスだった。
ゼウスは議論を無理矢理止め、森の奥に向かって声を張り上げた。
「それで隠れてるつもりかよ!バレバレだぞ!殺しに来たなら正々堂々と勝負しやがれ!」
しばらくすると、杖を持ち、黒いマントを羽織った少女が姿を現した。
五人が一斉に武器を構える。
「てめえ何もんだ?」
聞いてはみたものの、答えは分かっている。
このタイミングでここに姿を現す者。
『反逆軍』のメンバーに違いない。
しかし、その少女の答えは、ゼウスの考えの一歩先を行っていた。
「皆さんはじめまして。私は『反逆軍』三番隊隊長、魔術師、ヘカテーと申します。以後、お見知り置きを」
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