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全面戦争
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ゼウス達の前に姿を現したヴァルカンは明らかに普通の状態ではなかった。
右半身に纏った炎の熱量は明らかに上昇しており、炎のせいかは分からないが、右手が少しだけ大きく見える。
それに何より、顔が歪み苦しんでるようにも見える。
「ナカマ…ナカマ…」
ヴァルカンはさっきからずっと『仲間』と呟いている。
この状態から考えるに、恐らくヴァルカンは仲間である三人を助けに来たと予想出来る。
しかし、相手は強者だ。
ゼウスもノトスもガイアもここで全員が死んでしまうと思っていた。
ヴァルカンはただ戦い疲れておかしくなってしまったと考えていた。
だが、実際はそうでない。
もし本当にヴァルカンがおかしくなっただけなら、アレスの攻撃を初見で避けるなんて事は絶対にできない。
「…ほう…俺の拳を容易く避けるか…面白い!」
今の一撃を避けられたアレスは何故か笑顔を浮かべていた。
「うがあ!」
ヴァルカンは気味の悪い唸り声を上げながらアレスに切り掛かる。
その動きは今までで最も早いものだった。
アレスは咄嗟にヴァルカンの剣を手で掴んで無理矢理攻撃を止める。
次の瞬間、ヴァルカンの剣から更に強い炎が噴き出す。
「⁉︎」
アレスは驚きながら後ろに飛び退く。
「この俺が耐えれん程の炎か…」
ここまでの戦いを見て分かる通り、アレスの肉体はこれ以上ないと言えるほどに強靱な作りをしている。
アレスの攻撃を一発でも喰らえばすぐに動けなくなり、彼の持つ圧倒的なスピードを持ってすれば、相手の攻撃を避ける事は非常に簡単な事である。
仮に攻撃が命中したとしても、アレスの体は鎧の様に固く、ちょっとやそっとの攻撃では全く意味がない。
本来なら、炎での攻撃も全く意味がない。
にもかかわらず、ヴァルカンの炎はアレスを怯ませた。
絶対に有り得ないはずの現象だ。
ヴァルカンの炎はどんどん勢いを増し、徐々に街全体に広がっていった。
しかし、そんな事は関係ないとばかりに二人は戦闘を続ける。
「おい…一体何がどうなってやがる…」
ようやくダメージが回復したゼウスが起き上がりながら呟く。
「俺では手も足も出なかった相手とほぼ互角か……流石だな…」
ヴァルカンは三人が全く歯が立たなかった相手に善戦している。
最早ヴァルカンの様子がおかしい事を気にする者も、街が燃えている事を気にする者もいない。
ヴァルカンとアレスは戦いに集中しており、他の三人はただ静かにこの戦いを見ていた。
二人の戦いは黙って見ている事しか出来ない程美しかった。
片方が僅かな隙を見逃さずに攻撃を仕掛け、もう片方が回避する。
単純ではあるが、明らかに質が高い戦いだ。
どちらかがほんの少しでもミスをすれば即座に決着する。
そんな戦いの中でも炎はどんどん街に広がっている。
当然といえば当然の現象だ。
戦いが長引けば長引くほど、ヴァルカンは戦闘に炎をより多く使うからだ。
永遠とも思える短い時間が過ぎた時、アレスに異変が起こる。
今まで完璧な攻防を繰り返してきたアレスの動きが明らかに鈍くなっているのだ。
「…いや…少し…………まだ…ようやく………分かった…」
アレスの様子をよく見ると、何かを呟いている様にも見えた。
すると突然、アレスはいきなり近くの建物を殴りつける。
燃えていたせいか、アレスの力のせいかは分からないが、その建物は呆気なく倒壊し、一瞬でヴァルカン達の視界を奪う。
建物の崩壊の余韻が収まった頃には、アレスの姿は見えなくなっていた。
こうして王家と『反逆軍』との最初の戦争は終わった。
右半身に纏った炎の熱量は明らかに上昇しており、炎のせいかは分からないが、右手が少しだけ大きく見える。
それに何より、顔が歪み苦しんでるようにも見える。
「ナカマ…ナカマ…」
ヴァルカンはさっきからずっと『仲間』と呟いている。
この状態から考えるに、恐らくヴァルカンは仲間である三人を助けに来たと予想出来る。
しかし、相手は強者だ。
ゼウスもノトスもガイアもここで全員が死んでしまうと思っていた。
ヴァルカンはただ戦い疲れておかしくなってしまったと考えていた。
だが、実際はそうでない。
もし本当にヴァルカンがおかしくなっただけなら、アレスの攻撃を初見で避けるなんて事は絶対にできない。
「…ほう…俺の拳を容易く避けるか…面白い!」
今の一撃を避けられたアレスは何故か笑顔を浮かべていた。
「うがあ!」
ヴァルカンは気味の悪い唸り声を上げながらアレスに切り掛かる。
その動きは今までで最も早いものだった。
アレスは咄嗟にヴァルカンの剣を手で掴んで無理矢理攻撃を止める。
次の瞬間、ヴァルカンの剣から更に強い炎が噴き出す。
「⁉︎」
アレスは驚きながら後ろに飛び退く。
「この俺が耐えれん程の炎か…」
ここまでの戦いを見て分かる通り、アレスの肉体はこれ以上ないと言えるほどに強靱な作りをしている。
アレスの攻撃を一発でも喰らえばすぐに動けなくなり、彼の持つ圧倒的なスピードを持ってすれば、相手の攻撃を避ける事は非常に簡単な事である。
仮に攻撃が命中したとしても、アレスの体は鎧の様に固く、ちょっとやそっとの攻撃では全く意味がない。
本来なら、炎での攻撃も全く意味がない。
にもかかわらず、ヴァルカンの炎はアレスを怯ませた。
絶対に有り得ないはずの現象だ。
ヴァルカンの炎はどんどん勢いを増し、徐々に街全体に広がっていった。
しかし、そんな事は関係ないとばかりに二人は戦闘を続ける。
「おい…一体何がどうなってやがる…」
ようやくダメージが回復したゼウスが起き上がりながら呟く。
「俺では手も足も出なかった相手とほぼ互角か……流石だな…」
ヴァルカンは三人が全く歯が立たなかった相手に善戦している。
最早ヴァルカンの様子がおかしい事を気にする者も、街が燃えている事を気にする者もいない。
ヴァルカンとアレスは戦いに集中しており、他の三人はただ静かにこの戦いを見ていた。
二人の戦いは黙って見ている事しか出来ない程美しかった。
片方が僅かな隙を見逃さずに攻撃を仕掛け、もう片方が回避する。
単純ではあるが、明らかに質が高い戦いだ。
どちらかがほんの少しでもミスをすれば即座に決着する。
そんな戦いの中でも炎はどんどん街に広がっている。
当然といえば当然の現象だ。
戦いが長引けば長引くほど、ヴァルカンは戦闘に炎をより多く使うからだ。
永遠とも思える短い時間が過ぎた時、アレスに異変が起こる。
今まで完璧な攻防を繰り返してきたアレスの動きが明らかに鈍くなっているのだ。
「…いや…少し…………まだ…ようやく………分かった…」
アレスの様子をよく見ると、何かを呟いている様にも見えた。
すると突然、アレスはいきなり近くの建物を殴りつける。
燃えていたせいか、アレスの力のせいかは分からないが、その建物は呆気なく倒壊し、一瞬でヴァルカン達の視界を奪う。
建物の崩壊の余韻が収まった頃には、アレスの姿は見えなくなっていた。
こうして王家と『反逆軍』との最初の戦争は終わった。
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