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木村奏
プロローグ
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「なぁ、奏…」
「なんだよ?あ、今日の打ち上げはどうする?可愛い子居たけど.」
「え~、それ本当?」
「本当本当!早く誘いに行ってこいよ~」
「んー、じゃあそうする.待ってて.」
優しい笑みを浮かべて先程教えてあげた可愛らしい女の子に声をかけている幼馴染の橋本隼人を眺める.自分とは違って女心も分かって上手く振る舞えるあいつがいつも羨ましい.自分はいつも愛想笑いで相手に合わせるだけで自分の意思はどこへやら…
ドンッ…
「うわっ、すみません!」
周りをよく見てなかった.ついもたれようとした壁に女の子がいたのに気づけなかったとは…大丈夫かな?肩に手を触れようとすると彼女はズルズルと地面に座り込む.
「えっ、大丈夫!?」
「ぁ…すみません…ただの酸欠です…」
「さ、んけつ…?」
「はい…さっきのライブが凄くかっこよくて夢中になって息するの忘れて…」
「そうなんだ…」
あはは…と苦笑を浮かべる彼女を見てつい目を奪われた.いや、本当に冗談じゃなくとても嬉しかったし別にその子の見た目は目を惹くような可愛さとか美しさは無かったけど綺麗だと思った、心も見た目も.
ファンの子かな?と思って服装を見るとスタッフさんの腕章をつけてた.
「って、すみません!もたれたまんまで!」
慌ててパッと離れた彼女の手首をつかむ.
突然の事に少し驚いて身を固める彼女の様子は正常だ.何をしてるんだ…
でも何故か彼女を引き止めたくてつい変な事が口から滑る.
「あの…自分さっきのバンドの1人なんです.」
「えっ…あ、本当だ!ベースの人ですよね?」
よく見てるなぁ…こんな普通の顔でも覚えてくれるなんて凄い見てたんだなぁ.
もうこうなれば勢いに任せよう!
「そうです.…実はこの後打ち上げあるんですけど…来ませんか?」
「えっ…この後ですか?」
「はい…この後です.」
彼女はうーん…と顔を顰める.そりゃ急に誘われても驚くし用事だってあるだろう.やっぱり気まづくさせるさせるよりは別れた方が良かったかな…今更後悔しても遅いが.
どこからか着信音が鳴る.
「…あ、ちょっと待ってください.」
彼女の携帯からのようでその曲は自分も知ってるボカロの曲.なんだか不思議だ、何となくそういうのに疎そうなイメージだ.
「えっ…あ、うん、僕も…実は何か誘われた所…あはは、なんでだろう?…分かった.はーい.」
何となく話しぶりからだが彼女も来てくれそうな気がする.ははは…と苦笑を浮かべて彼女が言ったのは自分も行くとのこと.
良かったぁ…自分から誘ったのは初めてだ、緊張というか無茶をしたなぁ.
「良かった、多分いつものお店だと思うから一緒に行きましょう.」
「あ、はい.お願いします.」
「そうだ、名前を聞いてなかったな.」
というか自分も名乗ってなかったし…一応ライブの最後で名乗りはしたが.
「あ、海原天幸です.宜しくお願いします、木村さん.」
「えっ!覚えてくれたんですね.」
今日初めて自分は彼女を見たし、おそらく今日初めてバイトに来たであろう彼女が覚えてるとは思っておらず驚いてしまった.
「あ、はい…最後に言ってたので…あと、奏って名前がらしいなって…なんて思って.」
確かに今までも言われた事がある、けれど今初めて言われたような嬉しさがあった.
「ありがとう…ございます.」
「いえいえ?あー…お店って遠いですか?」
「いや、歩いて10分ぐらいの居酒屋ですよ.」
「そうなんですね.楽しみだなぁ.」
これが彼女との出会い.
そして、お互いを縛り合う事になんて自分は思ってもなかった.
「なんだよ?あ、今日の打ち上げはどうする?可愛い子居たけど.」
「え~、それ本当?」
「本当本当!早く誘いに行ってこいよ~」
「んー、じゃあそうする.待ってて.」
優しい笑みを浮かべて先程教えてあげた可愛らしい女の子に声をかけている幼馴染の橋本隼人を眺める.自分とは違って女心も分かって上手く振る舞えるあいつがいつも羨ましい.自分はいつも愛想笑いで相手に合わせるだけで自分の意思はどこへやら…
ドンッ…
「うわっ、すみません!」
周りをよく見てなかった.ついもたれようとした壁に女の子がいたのに気づけなかったとは…大丈夫かな?肩に手を触れようとすると彼女はズルズルと地面に座り込む.
「えっ、大丈夫!?」
「ぁ…すみません…ただの酸欠です…」
「さ、んけつ…?」
「はい…さっきのライブが凄くかっこよくて夢中になって息するの忘れて…」
「そうなんだ…」
あはは…と苦笑を浮かべる彼女を見てつい目を奪われた.いや、本当に冗談じゃなくとても嬉しかったし別にその子の見た目は目を惹くような可愛さとか美しさは無かったけど綺麗だと思った、心も見た目も.
ファンの子かな?と思って服装を見るとスタッフさんの腕章をつけてた.
「って、すみません!もたれたまんまで!」
慌ててパッと離れた彼女の手首をつかむ.
突然の事に少し驚いて身を固める彼女の様子は正常だ.何をしてるんだ…
でも何故か彼女を引き止めたくてつい変な事が口から滑る.
「あの…自分さっきのバンドの1人なんです.」
「えっ…あ、本当だ!ベースの人ですよね?」
よく見てるなぁ…こんな普通の顔でも覚えてくれるなんて凄い見てたんだなぁ.
もうこうなれば勢いに任せよう!
「そうです.…実はこの後打ち上げあるんですけど…来ませんか?」
「えっ…この後ですか?」
「はい…この後です.」
彼女はうーん…と顔を顰める.そりゃ急に誘われても驚くし用事だってあるだろう.やっぱり気まづくさせるさせるよりは別れた方が良かったかな…今更後悔しても遅いが.
どこからか着信音が鳴る.
「…あ、ちょっと待ってください.」
彼女の携帯からのようでその曲は自分も知ってるボカロの曲.なんだか不思議だ、何となくそういうのに疎そうなイメージだ.
「えっ…あ、うん、僕も…実は何か誘われた所…あはは、なんでだろう?…分かった.はーい.」
何となく話しぶりからだが彼女も来てくれそうな気がする.ははは…と苦笑を浮かべて彼女が言ったのは自分も行くとのこと.
良かったぁ…自分から誘ったのは初めてだ、緊張というか無茶をしたなぁ.
「良かった、多分いつものお店だと思うから一緒に行きましょう.」
「あ、はい.お願いします.」
「そうだ、名前を聞いてなかったな.」
というか自分も名乗ってなかったし…一応ライブの最後で名乗りはしたが.
「あ、海原天幸です.宜しくお願いします、木村さん.」
「えっ!覚えてくれたんですね.」
今日初めて自分は彼女を見たし、おそらく今日初めてバイトに来たであろう彼女が覚えてるとは思っておらず驚いてしまった.
「あ、はい…最後に言ってたので…あと、奏って名前がらしいなって…なんて思って.」
確かに今までも言われた事がある、けれど今初めて言われたような嬉しさがあった.
「ありがとう…ございます.」
「いえいえ?あー…お店って遠いですか?」
「いや、歩いて10分ぐらいの居酒屋ですよ.」
「そうなんですね.楽しみだなぁ.」
これが彼女との出会い.
そして、お互いを縛り合う事になんて自分は思ってもなかった.
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