商科論

藤本夏実

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短編集

みえない花

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 私は、知花。中山知花。
私はここ岐阜の病院に居る。

私の悩みはここの給食について。私はお金を一円も持ってないのに病院なんてトコに居てこんな風に暮らしてる。
そんなことしてもいいものかどうかが悩みなの。看護士さん達はもちろんそんなことは知らない。そんなことが知れたらどこへ行っていいのかも分からないからだまっているの。

でも、時々口が自然にひらきぼやきが漏れる。
すると隣のひとがびっくりしたり、反応したりするから看護士さん達も困るらしい。
そんなこと言われたって頭で理解してぼやきの反応が出るわけではないから私の責任ではないでしょ。

でもね、食べるには普通お金が要るものだって思ってきたから、それが普通だってね。だから、いつもちメガネが手放せないの。
メガネの中のカネで食事を買ってるって思えば少しは楽に食べてもいいかなって思えるからね。

それでもね、時々野菜だけは食べられなくなる。野菜は農家の人が一生懸命に作っているものでしょ。そんな風景だってここのテレビに映ったりする。そうするととてつもない不安が襲ってくる。だから食べられなくなる。肉や魚は人様用に加工してあるから食べても平気だって思えるのにやっぱり大地の源から作られてるものには大地の源からの通信物が含まれているんだわ。

「中山さん、お薬です。」

「あっ、薬は飲まなきゃ」

「あれっ、知花さん首の後ろに何かできてますよ。先生に言って薬を出してもらわないと。」

「えっ、あっはい。」

『おかしいな。昨日までは何もなかったのに、急にそんなこと言われるなんてそういえば痛いような気が?』

「痛くないですか?」

「痛い?」
「はい。」

思わず言ったけどおかしいような?今日はおとなしくしていよう。

次の日私は完璧に首の後ろに痛みを感じた。なぜだろう、こんなにはっきりとはしてなかったのに。看護士さんに診てもらうと
「ふくらみがあります」といわれた。治療用の薬も出てるらしかった。

『首の後ろだったから私には確認がつかなかったし何かごまかされているような気が』
『でも仕方ないわ』

知花はそう思った。

知花は少し考えていた。みえる場所の傷とみえない場所の傷について。みえる所の傷は治療してもらい治すことができる、でもみえない場所の傷はどうだろう。気づくのさえも人に言われないと気づくことはできないものだ。それを治すのはどうしたって、時間がかかるだろう。

もし、それが心の病だったらどうだろう。

私自身が知らないうちに私は心の病なのだ。だから、病院に居るのだわ。
知花はそう、自分に言い聞かせるのだった。
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