七夕物語

morituna

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七夕物語

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 七夕物語

 鯱(シャチホコ)織機株式会社の鯱社長には、羽織(はおり)という娘がいました。
 モウモウ畜産の牛丸社長には、朝顔という青年がいました。
 羽織(はおり)は、休日や放課後には、親父の鯱(シャチホコ)織機の仕事を手伝っていました。
 朝顔も、休日や放課後には、牛の搾乳やえさやり、牛乳の配達、牛舎の掃除など、親父のモウモウ畜産の仕事を手伝っていました。
 朝顔と羽織(はおり)は、ガニメデス大学に通っていました。この大学は学費無料で、在学中および卒業後は、ガニメデス計画に参加することが条件でした。ガニメデス計画は、木星の第3衛星ガニメデを探索する国際プロジェクトであり、資金はGAFMA(ガフマ)、大富豪、大国の高官たちから出されていました。

 羽織(はおり)が年頃になっていたので、鯱社長は、牛乳の配達に来る、真面目そうな朝顔青年と羽織(はおり)を引き合わせました。二人は付き合い始め、カラオケに行ったりコスプレイベントに参加したり、焼肉食べ放題に行ったりと、毎日、遊び呆ける様になりました。

 七夕が近づいたある日、朝顔と羽織(はおり)は牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)のコスプレをして、ガニメデス大学の迎賓室の撮影用階段で、撮影するといういたずらを思いつきました。学友たちに手伝ってもらい、大道具として機織り機や子牛を迎賓室に運びました。二人は撮った動画や写真をたくさんのブログや動画投稿サイトにアップしました。

 その写真等が、ガニメデス計画に資金を提供している大富豪のアリゲイツ氏の目に留まり、ガニメデス大学の学長にも知られることとなりました。
二人は学長に呼び出され、学長は、「困ったことになった。
 しかし、物資の運搬に協力してくれれば、問題は解決するだろう」と言った。
朝顔と羽織(はおり)は学長の提案に同意した。

 学長は続けて言いました。「ミッションは、二人でマグパイ号に乗り込み、木星の第3衛星ガニメデの周回基地に物資を運ぶことだ。自動操縦とコールドスリープを利用し、1年後に目覚めた時には周回基地に到着しているはずだ。物資を届けた後は、再び自動操縦とコールドスリープを使って、さらに1年後に地球の周回基地に戻って来れる」と。

 朝顔と羽織(はおり)は、コスプレ撮影が高い代償となったことを思い知りましたが、後の、祭りです。
 やむなく、ミッションに同意しました。スケジュールは以下のように決まりました。出発は2023年7月7日であり、ガニメデの周回基地の近くで目覚めるのは2024年7月7日、そして地球の周回基地の近くで目覚めるのは2025年7月7日ということです。

 マグパイ号は、順調に航行し、2025年7月中に、朝顔と羽織(はおり)は無事にガニメデス大学に戻ってきました。二人は学長のもとへ向かうと、学長は喜んで言いました。「お前たちは素晴らしかった。無事に帰還できて、おめでとう。」そして彼は続けました。「褒美として、資金を提供してくれたGAFMA(ガフマ)、大富豪、大国の高官たちを招いて、お前たちの結婚式を開催しよう。ただし、結婚式の後は、第1次植民隊員達と一緒に、火星コロニーに旅立ってもらうことになる」と。
 朝顔と羽織(はおり)は驚きながらも学長の提案に感謝しました。彼らは幸せな結婚式を挙げた後、新たな冒険の旅に出発する準備を始めました。火星コロニーでの新しい生活への期待と、自分たちの絆をさらに深めるために、胸を躍らせた。
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