無敵の力で異世界無双~ただし全裸~

みなみ

文字の大きさ
73 / 169

音楽~世界に一つだけのオルゴール~

しおりを挟む
 レリスの告白に対する返事が出来ないまま、二日が経った。
 その間のレリスと俺との関係はというと、表面上は普段通りではあった。表面上はね。
 俺はというと気を抜くと未だに返事が出来ないことへの申し訳なさが表に出そうになるものの、どうにかみんなに悟られないように振舞えてはいた。
 対するレリスは俺に告白したこと自体嘘だったんじゃないかってくらいいつも通りだったし、みんなとも普通に馴染んでいた。
 そんなレリスを見て、俺は女の子ってスゲーなと思ったりしたわけだ。
 しかしながら俺がそのことに悩んでいるからと言っていつもの日課をサボっていい理由にはならないので、今日もフリルと共にギルドに仕事を探しに来たのだが……。

「今日は碌な仕事がなかったな」
「……そういう日もある」

 二人してギルドを後にし、街中をトボトボと歩いて行く。
 しかしエルサイムの城下町は今日も人で賑わっているなあ。
 フリルはこの街に来たばかりのころ人の多さに辟易としていたが、今はどうなんだろうか?

「フリル、最初に比べて人混みには慣れたのか?」
「……人混みは未だに苦手だけど、そこそこ慣れた」
「まあここに来てもう三週間になるもんな」

 人間は環境適応能力に優れてるからなあぁ……。
 どんなところも住めば都ともいうし。
 まあ実際ここは都みたいなもんだけどさ!あははは!

「……今日はどうするの?」
「そうだなぁ……このまま家に帰るのもなんだかなぁって気もするし、このまま二人で街をぶらぶらするか?」
「……こんないたいけな少女を連れまわすとか……」

 自分で自分のことをいたいけとかいうなや。

「それじゃ帰るか?」
「……別に嫌とは言ってない」
「じゃあ決まりだな!どこ行く?」

 最近は頭を使うことが多かったので、ここらで少し遊んでリフレッシュしたい。
 それは結果的に逃げてるんじゃないかって意見は聞かないからな?

「……シューイチにちょっと付き合ってもらいたいことがある」
「付き合う!?」
「……?」

 今悩んでる話題が話題なので、思わず「付き合う」という単語に過剰反応してしまった。
 いかんいかん……こんなことではボロが出るぞ。

「ごめんなんでもない!……それで何に付き合えばいいんだ?」
「……プレゼント選びを一緒にしてほしい」
「プレゼント?誰に?」

 俺が聞き返すと、フリルはさっと目を逸らす。
 何だその反応……まさかフリル、俺の知らないところでどこの馬の骨ともわからん男に一目惚れとかしたんじゃないだろうな!?

「おっおっおっお兄ちゃんはそんなこと許しませんよ!!??」
「……お兄ちゃんテレアはアイス食べたいー」

 フリルがいつもの抑揚のない声で超絶似てないテレアの物まねを披露してくれた。
 あまりにも似てなくてびっくりだ。

「そんで?誰にプレゼントするんだ?それを教えてくれないことには協力できないぞ?」
「……いつも頑張ってる自分へのご褒美に」

 一昔前の女子みたいなことを言い出した。

「だったら自分の欲しい物を買えばいいんだから、俺が選ぶ必要ないじゃん」
「……メイドに」
「メイド?」

 一瞬誰のことだろうと思ったけど、即座にあの能天気な給仕係の顔が頭をよぎった。
 シエルに贈り物をするのか?いったいどういう風の吹き回しだろう?

「お前さん、シエルのこと嫌いなんじゃなかったの?」
「……今も好きじゃありませんが?」
「お前それ絶対シエルに言うなよ?あいつ意外とメンタル弱いんだからな?」
「……シューイチじゃあるまいし、そんな酷いこと言わない」

 俺だってせんわい失礼な。

「……いつも頑張ってるメイドへのご褒美」
「まあ最初はあいつに給仕係なんて務まるのかと思ったけど、予想以上に馴染んできてるよな」

 根が真面目なのか、レリスから料理の仕方を教わったり、掃除や洗濯などの知識も本から積極的に取り入れてうまく活用しているようだ。
 おかげで拠点内は今のところ清潔さが保たれている。
 だが先日シエルが「さすがにこの家の広さを私一人でカバーするのは限界が出てきました」とロビーの机に突っ伏しながら息も絶え絶えにぼやいていたので、余裕が出来たら給仕係の人員をどこかで確保することも考えなければいけないかもな。
 しかしあのフリルがそのシエルに頑張ってるご褒美を上げたいとは……。

「ついにフリルもシエルのことを許す気になったんだな」
「……一生許しませんが?」

 君も大概強情だねぇ……まあ単に引っ込みがつかなくなってるだけかもしれないけど。

「まあそういうことなら手伝うよ。なにがいいかな?」
「……生活に役立つもの……とか?」

 新しい掃除道具一式とか料理道具とかか?
 でもそれらはシエルが給仕係に就任した次の日に一式そろえたし、全然壊れてもいないから無駄になるな。

「別に無理に形あるものじゃなくてもいいんじゃないか?例えば……「いつも頑張ってくれてありがとう」とかの一言でも喜ばれると思うぞ?」
「……それは私がいや」
「お前さん、変なところで頑固だよな?」

 俺なんて小学生のころに気まぐれで母さんに「いつもありがとう!」って言ったら号泣されたこともあるんだぞ?
 それだけ言葉という物には言い方次第で人を喜ばす効果があるものなのだ。

「じゃあそうだなぁ……ならいつも家事で疲れているシエルの疲れを取るマッサージ道具とか?」
「……それはエナっちが一日の終わりにメイドに回復魔法を掛けることで解消してる」

 エナのやつそんなことをしてやっていたのか。
 じゃあ何がいいんだろうな……花とかは?ああでも枯れたらそれまでだしなぁ……。
 それならフリルの得意分野で考えてみるのはどうだろう?
 となると……歌か?

「さあ皆さん寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!」

 待ちの噴水広場を通りかかった時、なにやら客引きの元気な声が耳に届いた。
 視線を声のした方角に向けると、大きな人だかりができていたので、フリルの了承を得て俺たちはその人ごみに近づいて行った。
 そこでは街頭販売が繰り広げられており、今まさに一人の男が何やら銀色の小さな箱を手に客の注目を集めているところだった。

「ここに取り出したるは、魔法のオルゴール!普通のオルゴールとは違い、なんとこれには人間の声を吹き込むことが出来る代物だ!」

 声を録音できるオルゴールとな?さすがは異世界だ、面白い物があるなぁ。
 ……これって渡りに船じゃないのか?
 この魔法のオルゴールにフリルに言葉を入れて渡せばシエルも喜ぶと思う。

「なあフリル?」
「……あれはいや」

 否定が早すぎる。
 どうやらフリルも俺と同じことを考えてたみたいだな……でなければ今みたいな否定の言葉なんてすぐには出てこないだろうし。
 まあでもこれを逃したら、もうこれだ!って物は出てこない気がするので、ここは強引に話を進めてしまおう。

「おっちゃん、ちょっといいかな?それって声だけじゃなくて、歌でもいいのかな?」
「勿論だ!ただしあんまり長い時間かかるような歌はダメだぜ?せいぜい2分が限界ってところだ」

 二分か……まあそれくらいなら丁度いい長さと言えるかもしれない。

「それもらえないかな?」
「毎度ぉ!ちなみに、今ここで声を吹き込んでいくなら、特別価格でご提供しますぜ?」

 いい商売してるなこの人。
 別に特別価格とやらじゃなくても買えるだけの金銭は持っているが、せっかく安くしてくれるんだ、フリルにちょっとばかし協力してもらおうか。

「フリル?最近歌ってないよな?」
「……鳥との戦いの時に歌ったけど?」
「そうじゃなくて、趣味の範囲でさ」
「……歌ってない」

 元々フリルはルーデンス旅芸人一座において、新緑の歌姫と呼ばれるほど有名な歌姫だった。
 だがこのエルサイムにおいてはフリルの名を知らない人が多い。
 それというのも以前フリルが言っていた通り、一座がこの国に巡業に来たことがないことに起因する。
 フリル自身も一座を離れたことで大勢の前で歌う機会がめっきりなくなってしまったので、そろそろ鬱憤が溜まってるんじゃないかと思うんだよね。
 ここには程よく人だかりも出来ているし、ある意味ではあつらえ向きとも言える。

「この魔法のオルゴールに今ここで声を吹き込めば安くしてくれるらしいんだよ?実は俺特別価格にしてもらえないとあのオルゴール買えないんだよね」
「……ふーん」

 興味なさげなフリルの瞳が俺をまっすぐ捕らえる。
 まあフリルがこの魔法のオルゴールとやらを嫌だというなら無理強いするつもりはないが……。

「……嘘つき」
「なんのことかなー?」

 そう言って、フリルがオルゴールを手にしたおっちゃんの元に歩いて行く。

「……私がこのオルゴールに歌を込めるから安くして」
「おっ?そいつはいいねぇ!それじゃあ景気よく頼むぜ嬢ちゃん!」

 おっちゃんからオルゴールを受け取ったフリルが、なにやら説明を受けているらしく何度も頷いたあとオルゴールについてるぜんまいを回すとメロディーが流れ始めた。
 聞こえてきたおっちゃんの説明から、元々このオルゴールにはメロディーが刻まれているとのこと。
 そしてそのメロディーを一度聞いて、それに合わせて即興でフリルが歌を歌うらしい。
 即興でそんなことが出来るのかとおっちゃんが驚きながら訪ねたが、当のフリルは問題ないとばかりにおっちゃんを制してメロディーを覚えようとしっかりと耳を傾けている。
 オルゴールからメロディーが止まり、目を閉じて何かを考えてるそぶりをフリルが見せたものの、それも5秒ほどで終わり、フリルが顔を上げておっちゃんに何かを言った。

「今からお嬢ちゃんがこのオルゴールのメロディに合わせて歌うそうだ!二分ほど静かにしちゃくれないか!?」

 おっちゃんが大声で客にそう促すと、一斉に客が口を閉じて静かになった。
 周りが静かになったのを見計らい、小さく深呼吸したフリルがオルゴールの蓋を開けてネジを回した。
 そこからイントロのような静かなメロディが流れ始める。
 5秒くらいのイントロが終わると、いよいよフリルの歌が始まった。

 結果なんて言うまでもないよな?
 だってフリルが一度歌を紡ぎ出せば、そこはもう完全にフリルの世界になるんだからさ?




「凄いもんを聞かせてもらった!ほんとならこっちが金を渡したいくらいだが、こっちも商売だ!すまねえな!」
「いえいえとんでもない」

 俺はおっちゃんにお金を払いオルゴールを受け取った。
 肝心のフリルはというと、先程の歌で一気にここの客を虜にしたらしく、大勢の老若男女に囲まれていた。
 フリルの表情がだんだんと険しいものになっていく。そりゃそうだ、元々人混みが嫌いな子だからな。

「はいはいちょーっとすいませんね~!……そんじゃ帰ろうぜフリル」

 フリルに群がる人混みを器用にかき分けながら、フリルの元に辿り着き手を引いて人混みから助け出した。
 このままさっさと帰るべきだが、ここで俺は一つ思いついたことがある。

「どうかこの新緑の歌姫……フリル=フルリルをよろしくお願いいたします!!」

 大声で言いながら頭を下げる。
 頭を上げてフリルを見ると「余計なことを」と言った顔で俺を見上げていた。
 それに対し俺はわざとらしい爽やかな笑みを浮かべて返し、オルゴールを片手にフリルの手を引いて、沢山の拍手を浴びながら噴水広場を後にしたのだった。



「こっこっこれを私に!?」
「……いらないなら別に人にあげるから返して」
「とんでもない!!ありがとうございます!!家宝にしますね!!!」

 それはさすがにやりすぎだ。
 だがこのオルゴールはフリルの歌が吹き込まれた世界に一個しかない代物なのは確かだ。
 ……後々になって価値が出るんじゃなかろうか?

「はぁ~……フリルちゃんの歌はいつ聞いてもいいですねぇ……」
「シエルお姉ちゃん!気が向いた時でもいいからテレアにもまた聴かせてもらっていいかな?」
「勿論ですよ!これを私だけが独占するのはもったいないです!!」
「……それなら返して」
「嘘です嘘!これは私の物です!誰にも渡しませんからー!」

 どないやねん。

「これがフリルちゃんの歌なのですね。朱雀との戦いのときとは違った優しい音色で、思わず聞き惚れてしまいますわ……」

 みんなが口々に魔法のオルゴールから流れてくるフリルの歌を褒めたたえるので、フリルの若干居心地が悪そうに頭を掻いていた。
 そんなフリルに、オルゴールを手にしたシエルが近づいていく。

「フリルちゃん、ありがとうございます!大切にしますからね!」
「……うん」

 そう言って少し顔を赤らめたフリルが、シエルからさっと顔を逸らした。
 そんなフリルとシエルのやり取りを見ていた俺たちの間に、優しい空気が流れたのだった。



 ちなみに、噴水広場でフリルが歌ったことを切っ掛けに、とある事件が発生するが……それはまた別の話だ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。 そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。 クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。 こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。 そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。 そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。 レベルは低いままだったが、あげればいい。 そう思っていたのに……。 一向に上がらない!? それどころか、見た目はどう見ても女の子? 果たして、この世界で生きていけるのだろうか?

処理中です...