シュッさん

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シュッさん

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 その日、彼もしくは彼女は、シュッさんを待っていた。
 ある人は鼻からスイカを出すと言い、ある人は腰がとれたと言う。
 そんなシュッさんを一年近くも待っているのだ。
 漸くシュッさんが来ると聞いて、怯えつつも彼もしくは彼女は鞄の中をチェックする。
 準備は万端だった。
 鞄には【天上天下唯我独尊キット】に【馬小屋天使パック】それに【一発逆転ホームランチケット】が入っている。
 彼もしくは彼女が鞄を閉じようとしたその瞬間、誰かが腕を掴んだ。
 強引に引っ張られ、鞄の中身がこぼれ落ちる。
 シュッさんだった。
 シュッさんは彼もしくは彼女の腕を掴んだまま全速力で走る。

 トンネルを抜け、シュッさんから解放された彼もしくは彼女の手には【一発逆転ホームランチケット】しか残っていなかった。
 鞄の中身を散乱させたのは残念だけれど、シュッさんと入れ違いにお母さんが迎えてくれたので、ヨシとしましょう。
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