執筆者の物語の中

追憶劇場

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奇跡売り

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「奇跡、買いませんか。」
そう話しかけられたのは、つい今朝の事だった。
「奇跡かい?」
「そう。」
最近この街でも奇跡を売るひとが増えたって言ってたけれど、まさか自分が会うとは思わなかった。
「いくら?」
「2000円」
「そんなに安いのか?」
「うん。お金、少しでも稼ぎたいから。今はどこもこれくらいの値段で売ってるよ。」
「そうなのか…」
私は、その子の奇跡を買った。
「お買い上げありがとうございます。」
事務的にいったその子は、手に金を握りしめ、何処かへ走っていった。
「危ないぞ――」
甲高いブレーキの音とドスンといった重低音、何人かの悲鳴に全てを察した。
「あの子の最後の奇跡だったのか。」
人生は奇跡の連続で成り立っている、という言葉は知るひとも多いだろう。
奇跡を売れるようになったおかげで金に困るひとが少なくなった反面、命に困る人が増えた。
「一体、神様は何を考えてこんな世界を作ったんだ…」
普段神を信じない私でさえそう呟くほど、この世界は破綻していた。



「私は、管理者様の御意向に従います。」
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