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魔法ってやつ

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弟が、魔法使いになった。
正確には、魔法使いだったようだ。
別に30歳まで貞操を守り続けたわけでもなく、トラックに轢かれて異世界に行ったわけでもない。
本人曰く、元々使えていたが、自分以外の誰にも認識できなかったらしい。
「何それ、凄いじゃん。」
「あんま凄くねーよ。」
そう言いながらも、弟は得意気に指を鳴らして見せた。
鳴らした指からパッと花弁が飛び出した。
「どういう仕組みなの?それ。」 
「さあ?…ただ、『できる』って思ってやったらできるっぽい。出来るかどうか疑ってると無理。」
「ふーん。」
何で急に私にも見えるようになったのかわからないけれど、結構羨ましい。
友達や大人たちにも話し、実際に見てもらったんだけど
皆不自然なほど信じてくれなくて、ちょっとムカついたなぁ。
でも弟は
「いーよ別に。それよりこれ見てよ!」
そう言いながら弟が私に両手の平を向けて何か唱えたとたん、お腹の辺りに変な感じがして、足が地面から離れたんだ。
「うわわわっ、何これ!」
「遂に出来たぞー!」
弟はその後に自分も飛んで私のそばに来てこう言った。 
「やっぱり、信じることが大事なんだ。」
それから弟は瞬間移動をしたり物を浮かせたり、魔法というより超能力見たいなことをしてた。
周りの大人たちは何一つ信じることは無かったけど。
「絶対に出来ると信じる…ね。」
それから私は目を閉じて気持ちを集中させた。
「すー、はー。すー…はー…」
呼吸を深くして、落ち着いて…
絶対に出来ると信じ
「ダメっ!」
弟が上げた大声で驚いた私は目を開けると、弟が怖い顔で目の前にいた。
「だめだよ。そんな事。絶対ダメだから。」
弟は私の手を掴んで引っ張っていった。
「そんな事させない…姉さんにそんな事させない…手遅れにならなくて本当に良かった…」
「…私のやりたいこと、分かったんだ?」
自嘲ぎみに笑った。 
「出来るって思ったら出来たよ。」
弟も笑った。
しばらく私も弟も静かに笑い続けた。
「…姉ちゃん、ごめん。気づけなくて。」
「…いーよ別に。私も隠してたし。」
弟はまだ怖い顔をしてたから、後ろから抱きついてみた。
「ちょ、やめろよ。」
「いーじゃん。たまには…」
その後私達は家とは反対の方向に進んでいった。
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