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【2020/05 炬火】
《第3週 金曜日 朝》③
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モーニングメニューから、名物のオニオングラタンスープがついてパンケーキとウインナーとベーコンとアボカドのサラダが載ったブランチセットをドリンクバー付きで頼んだ。飯野さんは家で食べてきたからとドリンクバーのみ頼んだ。
頼んでから、そういやおれも一応朝食べたな…来る途中コーヒーも飲んだよな…と思い出した。駄目だ、頭がちっとも働いていない。呆然としていると飯野さんが顔を覗き込んできた。
「どうした、変な顔してるぞ」
「や、元々こんな顔ですよ…」
ツボに入ったのか飯野さんは吹き出して笑い、先にドリンクを取りに席を立った。
寝不足出し疲れているのもあるけど、いろいろなことがありすぎて、何から話していいのか、何から訊いたらいいのか、考えがまとまらない。しかもカフェインを摂りすぎたせいか、なんだか席についてからソワソワして落ち着かなかった。
戻ってきた飯野さんは両手に飲み物を持って戻ってきた。そしておれの目の前に日向夏のレモネードを置いた。
「疲れてるときカフェイン摂ると却って弛緩作用のほうが優位に出て眠くなるし神経が立って落ち着かなくなるぞ、クエン酸摂っとけ」
「ありがとうございます…そういうのお詳しいんですね」
「いや、カミさんがそういうウンチク好きでさ、受け売りだよ」
品数が少ない飯野さんの料理が先に提供された。トーストをコーンポタージュを軽くつけて食べながら、おれに話しかける。
「どうだった、実際行ってみて」
「勉強には確かになったんですけど、なんかもう、色々ありすぎて…うまく言えないです」
レモネードのグラスを手にとって、口に流し込む。柑橘の香りと酸味が少し気付けになってくれる。
「そういえば飯野さん、最初大学行く話出たとき、藤川先生がうちの親のこと知ってるみたいなこと言ったじゃないですか。あれって、そういうことだったんですね」
「それ、誰に聞いた?」
特に問い詰めたり責め立てるようなニュアンスでもなく、さらりと訊かれる。
「ググったらなんか、不審な検索結果が出たので、きっかけはそこからです」
「あー、そっか。やっぱ現代っ子だなあ」
飯野さんはトーストの残り半分にホイップバターとイチゴのジャムを重ねて塗って、かぶりついてアイスティーを流し込んだ。
そこにようやくおれの元にも頼んだブランチセットが到着した。おれはパンケーキにホイップバターを塗って染み込ませ、一口大に切ってシロップを掛けた。添えられたベーコンやソーセージを切って包み口に運ぶ。
甘しょっぱい懐かしい味がする。母はよくこんな感じに塩気のあるものと一緒にパンケーキを供してくれた。せっかくなので熱いうちにスープもいただく。こういうスープも、家ではココットの容器じゃなくて大きなスープ皿のまま作ってくれていた。
…あの頃、まだ小学校の低学年くらいのときはさして、うちの親がおかしいとか、特殊な環境だということは思っていなかった。
父が警察官で仕事に関することは一切話さないし訊けないとか、実質休みがあってないようなものでゆっくり家に居ないとか、帰省や旅行なんか一緒に行けたこともないとか、そういうことに不満がないわけではなかった。
あとは勿論、母親が外国人だし、みんなが行事がない限り行かないような教会や儀式のための施設…日本でいう寺社的なものにしょっちゅう連れて行かれたり、習慣や生活で違うところはあるけど、それはそういうものだと思っていた。
頼んでから、そういやおれも一応朝食べたな…来る途中コーヒーも飲んだよな…と思い出した。駄目だ、頭がちっとも働いていない。呆然としていると飯野さんが顔を覗き込んできた。
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戻ってきた飯野さんは両手に飲み物を持って戻ってきた。そしておれの目の前に日向夏のレモネードを置いた。
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「ありがとうございます…そういうのお詳しいんですね」
「いや、カミさんがそういうウンチク好きでさ、受け売りだよ」
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「どうだった、実際行ってみて」
「勉強には確かになったんですけど、なんかもう、色々ありすぎて…うまく言えないです」
レモネードのグラスを手にとって、口に流し込む。柑橘の香りと酸味が少し気付けになってくれる。
「そういえば飯野さん、最初大学行く話出たとき、藤川先生がうちの親のこと知ってるみたいなこと言ったじゃないですか。あれって、そういうことだったんですね」
「それ、誰に聞いた?」
特に問い詰めたり責め立てるようなニュアンスでもなく、さらりと訊かれる。
「ググったらなんか、不審な検索結果が出たので、きっかけはそこからです」
「あー、そっか。やっぱ現代っ子だなあ」
飯野さんはトーストの残り半分にホイップバターとイチゴのジャムを重ねて塗って、かぶりついてアイスティーを流し込んだ。
そこにようやくおれの元にも頼んだブランチセットが到着した。おれはパンケーキにホイップバターを塗って染み込ませ、一口大に切ってシロップを掛けた。添えられたベーコンやソーセージを切って包み口に運ぶ。
甘しょっぱい懐かしい味がする。母はよくこんな感じに塩気のあるものと一緒にパンケーキを供してくれた。せっかくなので熱いうちにスープもいただく。こういうスープも、家ではココットの容器じゃなくて大きなスープ皿のまま作ってくれていた。
…あの頃、まだ小学校の低学年くらいのときはさして、うちの親がおかしいとか、特殊な環境だということは思っていなかった。
父が警察官で仕事に関することは一切話さないし訊けないとか、実質休みがあってないようなものでゆっくり家に居ないとか、帰省や旅行なんか一緒に行けたこともないとか、そういうことに不満がないわけではなかった。
あとは勿論、母親が外国人だし、みんなが行事がない限り行かないような教会や儀式のための施設…日本でいう寺社的なものにしょっちゅう連れて行かれたり、習慣や生活で違うところはあるけど、それはそういうものだと思っていた。
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