Over Rewrite Living Dead

きさらぎ冬青

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【2020/05 秘匿】

《第4週 月曜日 日中》②

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文面は、全く以て、いつもどおりの先生といった感じだった。
それより、家を出たときの、普段仕事に持ち歩いている鞄とスーツのまま泊まってるのか。あの付近のホテルなら中心地のビジネスホテルとかよりは設備もいいし、洗面とか風呂は困らないだろうし、とりあえず寝間着もあるだろうし、居心地も悪くはないだろうけど、それでもまあ不便は不便だよなあ。
おれは買ってきたパンを頬張りながら先生のメッセージに返信する。
「おはようございます、こちらは昼休憩です
 明日勤務が明けたら行きます
 必要なものリスト化して送ってください
 商品の写真やリンクがあると助かります」
送信して間もなく「ありがとう、じゃああとで送る」と返信が来た。そして、たぬきがバンザイして「よろしくー」と手を振っているスタンプが送られてきた。
本当にいつもどおりそのままの、変に気を遣わない普段どおりの先生で、おれは安心した。そして、明日会えるのが単純に嬉しくてたまらない。待ち遠しい。
先生が下手に先輩との関係について言い訳しないなら、おれも昨日のことは言わないでおこう。
本当は「あのときはごめん」くらい言ってくれるかなと期待したけど、それはおれの勝手な願望だ。頼み事をしてきた人に今改めて問い質して、無駄に火種を作ることもない。最終的に全てきれいに片付いて、一緒に暮らせれば、おれはそれでいい。

先輩を送り出したあと、ホテル備え付けの寝間着のまま、おれはずっとベッドでゴロゴロしている。書き物仕事するにも紙の本がないとな~ってなることも多くてここから出られないんじゃ不十分だし、遊ぶにもスマホはあれど、他にはなんにもない。
家のテレビは色々契約してなんでも見られるようにはしてあるけど、自分自身はうるさいの嫌いだからテレビはEテレたまに観るくらいであんま積極的に見ないし、本当にやることがない。
持ってきてもらいたいものはあるけど、週明け連勤終えたハルくんに頼むのは申し訳ないし、お母さんに事情話して来てもらったら普通にお説教されそうだし、先輩も暫く他の仕事とか家庭のことで忙しいみたいだし、やっぱここは長谷頼みかなあ。
おれは長谷にLINEで依頼して、明日勤務明けに来て貰う約束を取り付けた。
…本当は、ふみが居ればふみに頼みたかったな。でも、今何処でどうしてるのかもわかんないし。そもそも、生きてるのかな。
由美子さんは無事ご遺体引き取れたのかな。ユカちゃんが一緒だから大丈夫だろうけど、さすがに気落ちしているだろうな。…いや、そんなタマじゃないか。元々は超有名な嘗ての大親分の娘だって話だし、何か策を練ってたりするかもしれない。
もう自分は積極的に関わることはできないのがもどかしい。おれは何においても中途半端なポジションで、肝心なことは何も自分では動かせない。でも、今大人しくしてないと、この先の食い扶持全部失うことになりかねない。
とりあえず、必要なもので、オンラインで直ぐに取り寄せられそうなものは注文してしまおう。部屋にこもっていられる状態を整えないとダメだ。
ベッドの上で仰向けに寝転がったまま膝を立てて、その上にもう片脚を組んでスマートフォンから次々と発注をかける。会計の度にその金額に思わず眉間にシワも寄るが仕方がない。
てか、此処に滞在している間に買ったものやら、このホテルの宿泊費、経費で落とせるかなあ、どうかな、無理かな…。
税理士さんに問い合わせたいけど問い合わせたらお母さんにも話が行くと思うとなんか、うーん…。
グダグダ考えているうちにメッセージが飛んできた。南だ。
「先生、無事だったらなんでもいいので返信ください」
あ、そうだ。いい人材が居た。
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