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【2020/05 潜伏】
《第4週 水曜日 夜》②
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着陸後降機して、カートを借りてから手荷物を受け取り、送迎に来ていた役場の人や他県から来た応援の医師と合流して、それぞれの宿泊先に送り届けてもらった。宿は駅近くの小規模なビジネスホテルだった。現場は郊外の山側の地域なので海に近いこの辺りは特に被害はないという。さっきの空港のほうが現場には近いのであの周辺で宿をとっている人も少なくなかった。
チェックインの手続きを済ませてロビーから小林さんをLINEで呼び出す。「着きました、荷物があるのでロビーまで来て運ぶの手伝ってください」と送るとしばらくして奥にある小さいエレベーターから小林さんが現れた。背の高いおかっぱ頭がひょこひょこ左右に揺れながら近づいてきて、床に置かれた荷物をじっと見る。
「なんですか?この大きいダンボール…あと、なんですか、この気が狂った量のお菓子…」
「いや、警察で聴取受けた後ホテルに連行されたからそこでしばらく暮らすつもり満々で揃えちゃったもんでさ。あと、おれ食えるものが少ないから非常食がないとこういうとこの支援は食事で詰むから、持ってきたものは全部非常食なんだけど小林さんも多分消耗すると思うから食べていいよ」
とりあえず小林さんにお菓子の詰まった袋を渡す。移動の車中ですべて化粧箱から取り出し、その箱をバラして千切っておいたので容量は半分くらいになっている。買ってきた菓子の種類は似たようなものに偏らないよう買ってきた。甘いものもそうでないものも、酒のアテに近いものも、冷やして食べるようなものでもなんでもある。しかも箱の中にはAmazonで買ったインスタント食品なんかも入っている。
「お部屋に着いたら各種類一個ずつもらってもいいですか?」
「ふふ、どうぞお好きに」
都心のビジネスホテルのようなシモンズのセミダブルとかダブルじゃない、ごくごく普通のシングルベッドで、そのベッドの間が1mないような小さいツインルーム。風呂トイレも本当にアパートのユニットバスと変わらない作りで本当に最小限の設備といったところ。窓も小さく多分昼間でも明るいとは言い難いだろう。
ライティングテーブルのテレビだけ大画面でやけに立派だ。冷蔵庫も小さいものの珍しく冷凍室付きのものが置かれている。中には500mlのミネラルウォーターが2本入っているがサービスらしく、取った分課金されるわけでもないようだ。自由に使えるようになっている。見た限りリネン交換や清掃も行き届いているし良心的だ。
「一応館内に自販機と製氷機とお湯もでるウォーターサーバーがあって、コインランドリーはドラム式で乾燥までできるやつだけど300円で使えるんで、お部屋は狭いですけどなかなか悪くなさそうです。緒方先生が押さえてくれてたんですが、知り合いの方のご実家らしくて朝晩の食事もサービスにしてくださったみたいですよ」
知り合い…あの人のことだから出張できたついでに飲んでて店で仲良くなったとかそういう可能性、ありそう。この地方は酒豪が多いって有名だし。てか、その知り合いってまさか女じゃないよな…?
ベッドの上で箱を開封して、自分の衣類や身の回りで使うものを取り出し、食品類や本はライティングテーブルの上に積んだ。小林さんはポリ袋に詰めてあった化粧箱の残骸をゴミ箱に捨てて、お菓子を自分のベッドの上に並べて目をキラキラさせている。
「うわ、千疋屋のジュレがある…藤川くん…絶対これは自分が食べるから駄目って種類ありますか…」
定番のみかん、りんご、グレープ、ピーチ、ゴールデンパイン、ブラッドオレンジ、プレミアムの黄金桃 、白桃、ピオーネ、ル・レクチェ、マスカット オブ アレキサンドリア…。
「桃と葡萄は被ってるから小林さん1個ずつとりなよ、あと、おれ多分パインとオレンジは食わないからもらっていいよ」
普段は表情の変化が少ない小林さんがホクホク顔で自分のお菓子を確保している。そして途中で呟いた。
「藤川くん、めんべい、多分こっちだとまあまあどこでも買えると思うんですけど」
チェックインの手続きを済ませてロビーから小林さんをLINEで呼び出す。「着きました、荷物があるのでロビーまで来て運ぶの手伝ってください」と送るとしばらくして奥にある小さいエレベーターから小林さんが現れた。背の高いおかっぱ頭がひょこひょこ左右に揺れながら近づいてきて、床に置かれた荷物をじっと見る。
「なんですか?この大きいダンボール…あと、なんですか、この気が狂った量のお菓子…」
「いや、警察で聴取受けた後ホテルに連行されたからそこでしばらく暮らすつもり満々で揃えちゃったもんでさ。あと、おれ食えるものが少ないから非常食がないとこういうとこの支援は食事で詰むから、持ってきたものは全部非常食なんだけど小林さんも多分消耗すると思うから食べていいよ」
とりあえず小林さんにお菓子の詰まった袋を渡す。移動の車中ですべて化粧箱から取り出し、その箱をバラして千切っておいたので容量は半分くらいになっている。買ってきた菓子の種類は似たようなものに偏らないよう買ってきた。甘いものもそうでないものも、酒のアテに近いものも、冷やして食べるようなものでもなんでもある。しかも箱の中にはAmazonで買ったインスタント食品なんかも入っている。
「お部屋に着いたら各種類一個ずつもらってもいいですか?」
「ふふ、どうぞお好きに」
都心のビジネスホテルのようなシモンズのセミダブルとかダブルじゃない、ごくごく普通のシングルベッドで、そのベッドの間が1mないような小さいツインルーム。風呂トイレも本当にアパートのユニットバスと変わらない作りで本当に最小限の設備といったところ。窓も小さく多分昼間でも明るいとは言い難いだろう。
ライティングテーブルのテレビだけ大画面でやけに立派だ。冷蔵庫も小さいものの珍しく冷凍室付きのものが置かれている。中には500mlのミネラルウォーターが2本入っているがサービスらしく、取った分課金されるわけでもないようだ。自由に使えるようになっている。見た限りリネン交換や清掃も行き届いているし良心的だ。
「一応館内に自販機と製氷機とお湯もでるウォーターサーバーがあって、コインランドリーはドラム式で乾燥までできるやつだけど300円で使えるんで、お部屋は狭いですけどなかなか悪くなさそうです。緒方先生が押さえてくれてたんですが、知り合いの方のご実家らしくて朝晩の食事もサービスにしてくださったみたいですよ」
知り合い…あの人のことだから出張できたついでに飲んでて店で仲良くなったとかそういう可能性、ありそう。この地方は酒豪が多いって有名だし。てか、その知り合いってまさか女じゃないよな…?
ベッドの上で箱を開封して、自分の衣類や身の回りで使うものを取り出し、食品類や本はライティングテーブルの上に積んだ。小林さんはポリ袋に詰めてあった化粧箱の残骸をゴミ箱に捨てて、お菓子を自分のベッドの上に並べて目をキラキラさせている。
「うわ、千疋屋のジュレがある…藤川くん…絶対これは自分が食べるから駄目って種類ありますか…」
定番のみかん、りんご、グレープ、ピーチ、ゴールデンパイン、ブラッドオレンジ、プレミアムの黄金桃 、白桃、ピオーネ、ル・レクチェ、マスカット オブ アレキサンドリア…。
「桃と葡萄は被ってるから小林さん1個ずつとりなよ、あと、おれ多分パインとオレンジは食わないからもらっていいよ」
普段は表情の変化が少ない小林さんがホクホク顔で自分のお菓子を確保している。そして途中で呟いた。
「藤川くん、めんべい、多分こっちだとまあまあどこでも買えると思うんですけど」
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