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【2020/05 葬列】
《第4週 木曜日 夜》⑤
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お父さんはおそらくその事があったからこそ、おれの記憶が吹っ飛んだあと無意識におれが過剰なスキンシップを求めるようになってから、ハルくんがうちに暮らすようになってその対象が変わるまで何も言わなかったんじゃないだろうか。
そして、それ以降も静観するに努めてきたのではなく、治療者でありながら更なる障害を負わせてしまった自分にその資格はないと考え、一歩引いておれを見守り、極力おれの望むとおりにしてやるしかなかったんじゃないだろうか。
お父さんとお母さんが同じ方向を目指しておれの療育や生活支援をしてきたからといって、それが必ずしも同じ意志で取り組まれていたとは限らない。
「発砲事件のこととか、お父さんには話したの」
「勿論。お父さん、無事で良かったって泣いてた」
そりゃあ、命からがら生き延びた子の記憶失わせて、支援に徹して学者になって肩書きがつく所まで支えてきたのに、性的逸脱治ってなくてメンタルおかしいまんまヤクザの抗争に巻き込まれて死んだりなんかしたらやってられないよな。
「学校辞めるかもとか、若い男捕まえたとかは?」
「それはまだ確定じゃないと思ったから保留で」
ああ、お母さん的にはまだ無職になるのも長谷と付き合うのも確定事項と認めてないんだ。長谷のこと歓待してたから認めたもんなのかと思ってた。
「じゃあ災害支援って名目で身を隠しに来てることは」
「大きい災害や事故があったら呼ばれるのはいつものことじゃない。終わったらお土産持ってお見舞いに来てあげて」
お土産かあ。お母さんはお菓子とかつまみになるようなものがあればいいだろうけど、お父さんって何がいいんだろう。身につけるものも病院だと邪魔なことが多いし。
「わかった。お父さんって今何が食べられるの」
「ゼリー的なものくらいかな、もう飲み物とかもトロミがないと危ないし、ミキサー食はあんまり食べてくれないから胃瘻にするかもしれない。経鼻は苦しいの知ってるから可哀想だし」
うーん、難しい。
「食べ物じゃないほうがいい?お世話している側としてコレ送ってほしいとかない?」
「任せます。お父さんはアキくんがくれるものなら何だって喜ぶと思うよ。それより長谷くんに来るときは直接連絡ちょうだいって言っておいて。色々準備があるから」
準備?鍵渡すだけでいいのに、またご馳走でも振る舞うのかな。
「はーい」
電池切れかけの端末充電しながら喋って、通話終わった後またケーブル外してそのまま持ってきちゃったから充電が切れそうだ。
「じゃあ充電切れそうだし、お風呂入るからまた」
「はいはい、じゃあまたね」
端末の電源ボタンを押して画面を消してから、タオルや着替えを置いた便座の蓋の上に放った。
頭からお湯を浴びて予洗いし、小林さんのシャンプーに手を伸ばす。シュワルツコフのフォームコントロール。落ち着かせるやつだ。オッサンにはちょっとボリュームアップできそうなやつがいいんだけどなあ。
でも小林さん、前に「藤川くんほど顔に課金してないですから」って言ってたけど、おれより普段のケアにはお金かけてそうだよなあ。トータルしたらどっこいどっこいじゃないだろうか。前にデュラメールのクリーム使ってるのも見たことがあるぞ。
シャワーを浴びながら自分の体を見ると、まあ見事にまだあちこちダメージが残っている。腫れはもうかなり引いたが内出血部分はまだ少し残っているが、吸収されて中央から黄色くなってきている。後少しで消えるはずだ。
なんかもう、痛めつけられながらするのはいいかなあ。直人さんもういないし。
ふみを、直人さんに命令されてベッドに上がっておそるおそる触れてきたあのふみに、責任もって戻してあげなきゃ。
でもそれは、長谷やハルくんを裏切ることになるのかなあ、やっぱり。
そして、それ以降も静観するに努めてきたのではなく、治療者でありながら更なる障害を負わせてしまった自分にその資格はないと考え、一歩引いておれを見守り、極力おれの望むとおりにしてやるしかなかったんじゃないだろうか。
お父さんとお母さんが同じ方向を目指しておれの療育や生活支援をしてきたからといって、それが必ずしも同じ意志で取り組まれていたとは限らない。
「発砲事件のこととか、お父さんには話したの」
「勿論。お父さん、無事で良かったって泣いてた」
そりゃあ、命からがら生き延びた子の記憶失わせて、支援に徹して学者になって肩書きがつく所まで支えてきたのに、性的逸脱治ってなくてメンタルおかしいまんまヤクザの抗争に巻き込まれて死んだりなんかしたらやってられないよな。
「学校辞めるかもとか、若い男捕まえたとかは?」
「それはまだ確定じゃないと思ったから保留で」
ああ、お母さん的にはまだ無職になるのも長谷と付き合うのも確定事項と認めてないんだ。長谷のこと歓待してたから認めたもんなのかと思ってた。
「じゃあ災害支援って名目で身を隠しに来てることは」
「大きい災害や事故があったら呼ばれるのはいつものことじゃない。終わったらお土産持ってお見舞いに来てあげて」
お土産かあ。お母さんはお菓子とかつまみになるようなものがあればいいだろうけど、お父さんって何がいいんだろう。身につけるものも病院だと邪魔なことが多いし。
「わかった。お父さんって今何が食べられるの」
「ゼリー的なものくらいかな、もう飲み物とかもトロミがないと危ないし、ミキサー食はあんまり食べてくれないから胃瘻にするかもしれない。経鼻は苦しいの知ってるから可哀想だし」
うーん、難しい。
「食べ物じゃないほうがいい?お世話している側としてコレ送ってほしいとかない?」
「任せます。お父さんはアキくんがくれるものなら何だって喜ぶと思うよ。それより長谷くんに来るときは直接連絡ちょうだいって言っておいて。色々準備があるから」
準備?鍵渡すだけでいいのに、またご馳走でも振る舞うのかな。
「はーい」
電池切れかけの端末充電しながら喋って、通話終わった後またケーブル外してそのまま持ってきちゃったから充電が切れそうだ。
「じゃあ充電切れそうだし、お風呂入るからまた」
「はいはい、じゃあまたね」
端末の電源ボタンを押して画面を消してから、タオルや着替えを置いた便座の蓋の上に放った。
頭からお湯を浴びて予洗いし、小林さんのシャンプーに手を伸ばす。シュワルツコフのフォームコントロール。落ち着かせるやつだ。オッサンにはちょっとボリュームアップできそうなやつがいいんだけどなあ。
でも小林さん、前に「藤川くんほど顔に課金してないですから」って言ってたけど、おれより普段のケアにはお金かけてそうだよなあ。トータルしたらどっこいどっこいじゃないだろうか。前にデュラメールのクリーム使ってるのも見たことがあるぞ。
シャワーを浴びながら自分の体を見ると、まあ見事にまだあちこちダメージが残っている。腫れはもうかなり引いたが内出血部分はまだ少し残っているが、吸収されて中央から黄色くなってきている。後少しで消えるはずだ。
なんかもう、痛めつけられながらするのはいいかなあ。直人さんもういないし。
ふみを、直人さんに命令されてベッドに上がっておそるおそる触れてきたあのふみに、責任もって戻してあげなきゃ。
でもそれは、長谷やハルくんを裏切ることになるのかなあ、やっぱり。
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