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【2020/05 葬列】
《第4週 土曜日 朝》②
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長谷のIDの画面にある通話ボタンをタップすると、数回の呼び出しで応答した。
「あれ?先生、おはようございます」
「おはよ。今日休みなんだって?引越一日で終る?」
「あ、今日は最低限必要なものだけ運ぶので大丈夫です。4勤2休の予定が今週結局例の捜索があって5連勤になっちゃったんで今日明日休みなんです。やっぱ捜査関係は決まった休みってもらえる感じじゃないですね。実際うちの父親も忙しかったですから覚悟はしてましたけど。飯野さんも普段は出払ってることが多いですしあんま休みもとってなくて帰ってないみたいです」
そういうものなのか。
まあ、おれも学校の仕事なくても、時間あればどこに居ても何かしらちょこちょこ仕事してるから休みという休みは特にないようなもんだけど。でも、今は教員としての仕事休止中だし、仕掛かってる研究とか書き物はないし、暇っちゃ暇なほうか。こういう検死や解剖の実務とそこに付随する手続きで出突っ張りになってることはしょっちゅうあることじゃないし。肩書ついてからはせいぜい年1だ。
長谷は若い割にそれなりの階級持ってるけど、鑑識としちゃ一年生のぴよちゃんだから何でもやらされるだろうし覚えることも多いし、あんな事が起きたせいで忙しいだろうな今は。
直人さんとこのいざこざのせいで忙しいと思うとなんか申し訳ないな。おれがそんなこと思ってもしょうがないんだけど。かと言って捜査の進捗とかは守秘義務あるし訊けないよな。
「月の変わり目でちょうど週明けからシフト勤務なのでこの土日休みで最低限必要なものだけでも引っ越しやっちゃいます。あと箱詰めだけしといて、最悪契約切れるまでになんとかすればいいですし」
「更新月以外で解約したらお金かかるんだっけ、でもそれまで家賃払い続けるのも無駄じゃない?早くやっつけちゃったほういいと思うけど」
そう言うと長谷はちょっと考えてから「でも、できるだけ今の部屋に自分一人で近づくのやめておきたいなと思って…」とすこしトーンを落として言った。まあ、それはそうか。
「残りの荷物運ぶの、安く済まそうとしないで多少かかっても丸投げできる業者に頼みなよ。てかさあ、長谷はやっぱおれのこと好きなの?付き合いたい?」
おれが急に全然関係ないこと振るから、長谷は言語として記述不可能な変な声を出した。しかもそういう、誰かに告白するという経験がないからか戸惑ってる。
おれだって肉体関係持つ相手にいちいちそんな打診したことないし、改まって訊かれたら多分困るし当たり前か。
「好き、なんだと思います。もっとうまくいえないけど、付き合ってほしいです、付き合ってくださいって言ったら、先生困りますか…」
「いいよ。でも、おれ、今後も他の男とは寝ないとは限らないし、おれ自身の気持ちも何も保証できないよ」
率直に言うと「前も言ったけど、先生に必要なんだったらそれはいいんです」と長谷が返す。おれはこれから、それに報いてやらなきゃいけないんだなあと思う反面、そのためにどうしたらいいのかがわからない。
「わかった。努力はするよ」
とりあえずそう言ってから仕事に行く準備をすることと、くれぐれも怪我しないよう気をつけて作業するように伝えて通話を切った。
それから、昨日返信してなかったのでお母さんのメッセージに返信する。
「ハルくんのときとは違って、ハルくん以外の他の人との関係は切れると思うけど、ハルくんは切りようがなくない?それはどうしたらいいの?」
送って暫くすると回答が送られてきた。
「ハルくんはアキくんのことはある程度諦めてるけど、アキくんに甘えられたらそれでもハルくんは断れないんだから、アキくんがけじめつけなきゃダメ」
じゃあおれは今後、ハルくんにどう関わればいいの?どうしよう、なんかよくわかんない。
「あれ?先生、おはようございます」
「おはよ。今日休みなんだって?引越一日で終る?」
「あ、今日は最低限必要なものだけ運ぶので大丈夫です。4勤2休の予定が今週結局例の捜索があって5連勤になっちゃったんで今日明日休みなんです。やっぱ捜査関係は決まった休みってもらえる感じじゃないですね。実際うちの父親も忙しかったですから覚悟はしてましたけど。飯野さんも普段は出払ってることが多いですしあんま休みもとってなくて帰ってないみたいです」
そういうものなのか。
まあ、おれも学校の仕事なくても、時間あればどこに居ても何かしらちょこちょこ仕事してるから休みという休みは特にないようなもんだけど。でも、今は教員としての仕事休止中だし、仕掛かってる研究とか書き物はないし、暇っちゃ暇なほうか。こういう検死や解剖の実務とそこに付随する手続きで出突っ張りになってることはしょっちゅうあることじゃないし。肩書ついてからはせいぜい年1だ。
長谷は若い割にそれなりの階級持ってるけど、鑑識としちゃ一年生のぴよちゃんだから何でもやらされるだろうし覚えることも多いし、あんな事が起きたせいで忙しいだろうな今は。
直人さんとこのいざこざのせいで忙しいと思うとなんか申し訳ないな。おれがそんなこと思ってもしょうがないんだけど。かと言って捜査の進捗とかは守秘義務あるし訊けないよな。
「月の変わり目でちょうど週明けからシフト勤務なのでこの土日休みで最低限必要なものだけでも引っ越しやっちゃいます。あと箱詰めだけしといて、最悪契約切れるまでになんとかすればいいですし」
「更新月以外で解約したらお金かかるんだっけ、でもそれまで家賃払い続けるのも無駄じゃない?早くやっつけちゃったほういいと思うけど」
そう言うと長谷はちょっと考えてから「でも、できるだけ今の部屋に自分一人で近づくのやめておきたいなと思って…」とすこしトーンを落として言った。まあ、それはそうか。
「残りの荷物運ぶの、安く済まそうとしないで多少かかっても丸投げできる業者に頼みなよ。てかさあ、長谷はやっぱおれのこと好きなの?付き合いたい?」
おれが急に全然関係ないこと振るから、長谷は言語として記述不可能な変な声を出した。しかもそういう、誰かに告白するという経験がないからか戸惑ってる。
おれだって肉体関係持つ相手にいちいちそんな打診したことないし、改まって訊かれたら多分困るし当たり前か。
「好き、なんだと思います。もっとうまくいえないけど、付き合ってほしいです、付き合ってくださいって言ったら、先生困りますか…」
「いいよ。でも、おれ、今後も他の男とは寝ないとは限らないし、おれ自身の気持ちも何も保証できないよ」
率直に言うと「前も言ったけど、先生に必要なんだったらそれはいいんです」と長谷が返す。おれはこれから、それに報いてやらなきゃいけないんだなあと思う反面、そのためにどうしたらいいのかがわからない。
「わかった。努力はするよ」
とりあえずそう言ってから仕事に行く準備をすることと、くれぐれも怪我しないよう気をつけて作業するように伝えて通話を切った。
それから、昨日返信してなかったのでお母さんのメッセージに返信する。
「ハルくんのときとは違って、ハルくん以外の他の人との関係は切れると思うけど、ハルくんは切りようがなくない?それはどうしたらいいの?」
送って暫くすると回答が送られてきた。
「ハルくんはアキくんのことはある程度諦めてるけど、アキくんに甘えられたらそれでもハルくんは断れないんだから、アキくんがけじめつけなきゃダメ」
じゃあおれは今後、ハルくんにどう関わればいいの?どうしよう、なんかよくわかんない。
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