番(つがい)に関する報告レポート

あらい0808

文字の大きさ
2 / 2

1組目の窓口相談(サキュバスのデリルさんと兎人のペリーさんの場合)

しおりを挟む
「話が途中になってごめんなさい。私の名前はデリル。こっちが私の婚約者のペリーよ。」

 巻き巻き頭のボンキュッボンなお姉さんから紹介されたペリーさんは、長身だが細身の耳の長い兎人の男人で

 今もデリルさんの足元に丸くなって震えていた。邪魔だ。ものすごく足元が狭い。

「さっきのうるさい男人は・・・・私の・・・糞兄で、バリーっていうんだけど、さっきみたいな感じで

 しつこくて・・この通りペリーがまいってしまって、いつも今みたいな感じで、
兄に遭うと夜も眠れなくてずっと震えているわ。」

 デリルさんは疲れ切った表情で息を吐いた。

「デリル・・・ごめんよ、僕に力が無いからこんなことになって。」

 とペリーさんは顔を上げて申し訳なさそうに話しかけている。

「こっちこそごめんなさい。家族に紹介しようとそたら・・・こんなことになるなんて、思わなかったわ。」

 とデリルさん。

「あのー、相談内容としてはどのような内容で?」

 エルフ先輩が眉間のしわを寄せないように笑顔を引き攣らせながら二人に声をかける。

「あー、相談内容はね 私とペリーは同じ会社で働いているの。主に法律的な・・・職業でね、
  
 私はサキュバスだけど、弁護士なのよ。」とデリルさん

 息が落ち着いたのかペリーさんが椅子に座り襟元など整えてデリルさんと目を合わせてから語り始めた。

「僕はデリルさんの秘書なんです。僕は兎人で力はないんですが、いざというときには足が速いんで

 逃げる力はあるんです。銃とか撃たれそうになっても避けるくらいの能力はあるんで
 会社に採用されたんです。」とペリーさん。 

 職業柄、デリルさんが危ない目に遭うこともあり、その都度ペリーさんが介入して事なきを得ていたそうで・・・

 そんなペリーさんにデリルさんも異性として意識し始めて、プロポーズしたがペリーさんは「身分が違うから・・・・。」と断り続けていたが、やっと受け入れてくれて、先日デリルさんの家族に紹介する運びとなり、実家に紹介、2人で訪れたことそうだ。

 なんでも、デリルさんの家は代々弁護士やら政治家やらなんやらかんやらを輩出していた一族(ハニートラップ的な感じもあったのでは?と疑いも抱かれながらも一応は由緒?正しい家柄)であるそうだ。


 一方、ペリーさんは一般家庭で両親は兎人と人族で兄弟も多く、両親もラブラブで働かず・・・長男であるペリーさんが働かず年中ラブラブである両親の代わりに、弟妹を学校に行かせ、不自由なく生活ができるようにするために幼いころから両親の代わりに働いてきたそうだ。

「兎人は・・年中あんな感じだから・・仕方ないんです。でも責任感が皆無で・・
僕は絶対にああならないと決意して一人でも生きていけるように手に職つけようと思って・・デリルさんの会社で働き始めたんです・・。」


 椅子に座っても穏やかな表情で細身で身長も高いのであろうペリーさんは座高も高い。

 そんなペリーさんをジーっと見つめ続けるデリルさんは優しい表情だ。

「そうですか、ペリーさんは幼いころから苦労されたんですね。弟妹さんたちは今は独立されたんですか?」

 とエルフ先輩が声をかける。うん、エルフのくせ他種族の話を聞くことができて心情を察した声掛けができるあんたはできた人だ。(私は人族で20数年しか過ごしていない女人で偉そうに言うが、文献見ても世間的にも、エルフは同族間でないと話が通じないのは一般常識な世界だから許してほしい)

 これこそ人族でエルフ先輩の元で秘書になった理由である。
このエルフ先輩・・・・イレギュラーな個体なんだよね。


 エルフ先輩・・・・・名前はソソラトエリテア・ヴァル・フォン・ブラルという御年は・・・わからん。一回聞いたときチョップ食らって「失礼ですよ、人間女子。」と指摘されたためあきらめた。 

 さらに上の上司が言うには1000歳に届くかそうじゃないかくらいの人で結構重鎮で偉い?(エライ?めんどくさい?)人なんだそうだ。

 上司もエルフであるが、ハーフエルフである。
こっちは人寄りで奥さんも人族で話しかけやすい。人柄からも仕事内容上も影響してエルフ先輩より若いにもかかわらず、昇給できているんだろうなという私の見解だ。どの職種であれコミュ力は必須なんだなあと思った。

「エル?何ぼやっとしているんですか?話聞いていないでお二人にお茶出してください。」
ジーっとこっちを見ているエルフ先輩キモい。エルフって眼福なんじゃない?って同期は言うけれど内面だよ?人は?内面!・・・まあ数回関わるくらいの人にはわからんだろうがな。

「わかりました先輩。お二人とも、緑茶でいいですか?」私は2人に声かける

「はい、お願いします。」

いいなあ、手をつないでる2人・・・羨ましい。













しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。

彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。 目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。

【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。

木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。 「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」 シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。 妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。 でも、それなら側妃でいいのではありませんか? どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

生命(きみ)を手放す

基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。 平凡な容姿の伯爵令嬢。 妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。 なぜこれが王太子の婚約者なのか。 伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。 ※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。 にんにん。

【短編完結】婚約破棄なら私の呪いを解いてからにしてください

未知香
恋愛
婚約破棄を告げられたミレーナは、冷静にそれを受け入れた。 「ただ、正式な婚約破棄は呪いを解いてからにしてもらえますか」 婚約破棄から始まる自由と新たな恋の予感を手に入れる話。 全4話で短いお話です!

乙女ゲームのヒロインが純潔を重んじる聖女とか終わってません?

ララ
恋愛
私は侯爵令嬢のフレイヤ。 前世の記憶を持っている。 その記憶によるとどうやら私の生きるこの世界は乙女ゲームの世界らしい。 乙女ゲームのヒロインは聖女でさまざまな困難を乗り越えながら攻略対象と絆を深め愛し合っていくらしい。 最後には大勢から祝福を受けて結婚するハッピーエンドが待っている。 子宝にも恵まれて平民出身のヒロインが王子と身分差の恋に落ち、その恋がみのるシンデレラストーリーだ。 そして私はそんな2人を邪魔する悪役令嬢。 途中でヒロインに嫉妬に狂い危害を加えようとした罪により断罪される。 今日は断罪の日。 けれど私はヒロインに危害を加えようとしたことなんてない。 それなのに断罪は始まった。 まあそれは別にいいとして‥‥。 現実を見ましょう? 聖女たる資格は純潔無垢。 つまり恋愛はもちろん結婚なんてできないのよ? むしろそんなことしたら資格は失われる。 ただの容姿のいい平民になるのよ? 誰も気づいていないみたいだけど‥‥。 うん、よく考えたらこの乙女ゲームの設定終わってません??

処理中です...