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お金持ちになりましたがあなたに援助なんてしませんから! ~婚約パーティー中の失敗で婚約破棄された私は商人として大成功する~
第一話 婚約パーティー
(このドレス苦しい……動きづらい……)
男爵令嬢カミラと、同じく男爵の三男バルナーツの婚約パーティーが行われていた。
社交的で人と話すのが好きなカミラであったが、慣れないドレスを嫌がり、自分が主役であるこのパーティーが早く終わってくれないかと願っていた。
「カミラ来なさい。ルイジ辺境伯様が来てくださっている、挨拶なさい」
「はい、お父様」
(さっきから挨拶ばっかり。仕方がないのはわかるけど、わたしは見世物じゃないのに……)
カミラは挨拶のため喋りっぱなしになっていた。自然と喉が渇き、飲み物も進んでいた。
それから数十分が経ち、パーティーも終盤となっていた。
(どうしよう、そろそろ我慢の限界……。お手洗いに行かないと)
「お父様、わたくし少し席を外したいと思っております。その……アレでして。そろそろ我慢が……」
「なんだと? お前は主役なんだ! もう少し我慢しなさい!」
(我慢って言っても……)
「わかりました」
*****
それからさらに数十分が経過した。
(全然終わらないじゃない! もう駄目。もう我慢できない)
「お父様、まだパーティーが終わらないのでしたらわたくしお手洗いに行かせていただきたいのです。もう本当に我慢が出来ないのです」
「あと少しが待てないのか! 先程到着された方もいるのだぞ!」
(もう本当に限界なのに。こうなったらこっそり行くしかない)
そうしてカミラは父親に見つからないように会場の入口まで急いだ。その間何人かに声をかけられたが、普段の社交的なカミラからは想像も出来ないほどよそよそしく軽く挨拶をするだけで人々を振り切った。もうすぐ会場の入口。カミラの緊張の糸もゆるみかけていた。
ようやく入口に着いたその瞬間であった。
「カミラどこへ行く!? アバティーノ様がいらっしゃっているのだぞ!」
父親の怒鳴り声が会場中に響いた。
急な父親の大声にカミラは驚いてしまった。驚きのあまりギリギリなんとか抑え込んでいた尿意を解放してしまったのである。
カミラの足をつたって流れる尿。ドレスは濡れていないが足元のカーペットの色が変わっていることから漏らしてしまったことは誰の目から見ても明らかだった。
会場がざわついている。
(やって……しまった……。もう嫌だ。死にたい……。早くこの場から逃げないと)
逃げるように会場をあとにしようとするカミラのもとに、婚約者であるバルナーツが駆け寄ってきた。
「お前は何をしているんだ! 祝いの席で漏らすなんて……。こんな汚い女と婚約など出来るか! お父様に言って婚約は破棄させてもらう!」
バルナーツの高い声が会場中に響いた。カミラは泣きながら会場を出て行った。カミラの父親は明らかに動揺している。会場で笑顔を見せる者は誰もいなくなった。
そうして婚約パーティーは中止となった。
男爵令嬢カミラと、同じく男爵の三男バルナーツの婚約パーティーが行われていた。
社交的で人と話すのが好きなカミラであったが、慣れないドレスを嫌がり、自分が主役であるこのパーティーが早く終わってくれないかと願っていた。
「カミラ来なさい。ルイジ辺境伯様が来てくださっている、挨拶なさい」
「はい、お父様」
(さっきから挨拶ばっかり。仕方がないのはわかるけど、わたしは見世物じゃないのに……)
カミラは挨拶のため喋りっぱなしになっていた。自然と喉が渇き、飲み物も進んでいた。
それから数十分が経ち、パーティーも終盤となっていた。
(どうしよう、そろそろ我慢の限界……。お手洗いに行かないと)
「お父様、わたくし少し席を外したいと思っております。その……アレでして。そろそろ我慢が……」
「なんだと? お前は主役なんだ! もう少し我慢しなさい!」
(我慢って言っても……)
「わかりました」
*****
それからさらに数十分が経過した。
(全然終わらないじゃない! もう駄目。もう我慢できない)
「お父様、まだパーティーが終わらないのでしたらわたくしお手洗いに行かせていただきたいのです。もう本当に我慢が出来ないのです」
「あと少しが待てないのか! 先程到着された方もいるのだぞ!」
(もう本当に限界なのに。こうなったらこっそり行くしかない)
そうしてカミラは父親に見つからないように会場の入口まで急いだ。その間何人かに声をかけられたが、普段の社交的なカミラからは想像も出来ないほどよそよそしく軽く挨拶をするだけで人々を振り切った。もうすぐ会場の入口。カミラの緊張の糸もゆるみかけていた。
ようやく入口に着いたその瞬間であった。
「カミラどこへ行く!? アバティーノ様がいらっしゃっているのだぞ!」
父親の怒鳴り声が会場中に響いた。
急な父親の大声にカミラは驚いてしまった。驚きのあまりギリギリなんとか抑え込んでいた尿意を解放してしまったのである。
カミラの足をつたって流れる尿。ドレスは濡れていないが足元のカーペットの色が変わっていることから漏らしてしまったことは誰の目から見ても明らかだった。
会場がざわついている。
(やって……しまった……。もう嫌だ。死にたい……。早くこの場から逃げないと)
逃げるように会場をあとにしようとするカミラのもとに、婚約者であるバルナーツが駆け寄ってきた。
「お前は何をしているんだ! 祝いの席で漏らすなんて……。こんな汚い女と婚約など出来るか! お父様に言って婚約は破棄させてもらう!」
バルナーツの高い声が会場中に響いた。カミラは泣きながら会場を出て行った。カミラの父親は明らかに動揺している。会場で笑顔を見せる者は誰もいなくなった。
そうして婚約パーティーは中止となった。
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