神様、探偵チートじゃ戦えません!

雨墨篤@「ニセ魔法使い~」漫画連載決定!

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第一章 異世界は爆弾魔とともに

1-15話 異世界転移は爆弾魔とともに②

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「テルさんが異世界転移のテンプレを知っているのなら話は早いです。貴方にはお約束通り、剣と魔法のファンタジーな世界に転移していただきます。チートは一律同じものになりますので、リクエストは受け付けません。えー、ここまでオッケーですか?」
「い、いやいや! 全然オッケーじゃないから! 地球に戻してください!」

 必死に訴えるテルに対し、やれやれと肩をすくめるニンフィア。

「残念ながらそれはできません。異世界転移は一方通行がお約束でしょ。いくら駄々をこねたところでそれだけは無理です。貴方はラノベを読んでるんですよね? だったらそのくらい分かるでしょう?」
「分かってたまるか! テンプレだからって納得できるわけないでしょう! いいから帰らせてくださいよ!」
「まぁまぁ、そういわずに。いいから貴方も十把一絡げのラノベ主人公のごとく、サクッと未練は捨ててしまいましょう! ね?」
「そういう言い方をされると、余計に抵抗を覚えるわ!」

 テルがジト目で睨むも、ニンフィアはどこ吹く風だ。
 それどころか――

「もう! そういわれても無理なものは無理なんですぅ! 分かったらさっさと覚悟を決めてください! やっと貴方で最後なんですから、早く終わらせてくださいよ!」

 ――と逆ギレしてくる始末。

「コ、コイツ……」

 テルは呆れながらも、女神ニンフィアの言葉を聞き逃さない。

(ボクが最後ってことは……異世界転移したのは複数人いるのか)

 心の内でそんな推測をするテル
 それに気付きもせず、ニンフィアの愚痴はさらにエスカレートしていく。

「ただでさえ予定にない異世界転移で、余計な手間がかかってるんですよ? 本当なら四年前に異世界転移があったばかりだから、『東の大陸』への転移はあと五十年くらいは無いはずだったのに! 予定外の転移のおかげで、こっちは休日出勤してるんですからね!」
「いや、そんな事をボクに言われても……。てか、神様にも休日出勤ってあるの?」

「そりゃありますよ、しかも神界ってホワイトだと言いつつすっごい縦社会で……。アタシなんてしがない雇われ女神なんですからね、苦労ばっかりですよ。あーもう、アタシに決裁権があったら、爆発事件起こして勝手に異世界転移してくるヤツなんて、拒否して輪廻の輪に戻してやるのに!」
「へぇ……って、ちょっと待って」

(爆発事件の目的が異世界転移なら、転移者の中に爆弾魔もいるって事だよな?)

 ニンフィアの愚痴を聞いているうちに、その事に思い至ったテル
 「だったら……」と、直接ニンフィアに聞いてみることにした。

「女神様は当然、その連続爆破事件の犯人が誰なのか知ってるはずですよね?」
「知ってるも何も、爆弾魔ならとっくに異世界転移していきまし……って、あっ!」

 自分の失言に気付いた様子の女神ニンフィア。
 だが時はすでに遅く、テルはその発言を聞き逃さない。

「もう犯人は異世界転移したって!? ホントなんですかそれ!?」
「そ、それは……えっと……」
「教えてください! 爆弾魔っていったいどんなヤツなんです?」
「い、言えません! 個人情報です!」

 何とか沈黙を守ろうとするニンフィアを猛追するテル

「異世界転移したってことは、やっぱり犯人もあの爆発現場にいたってことですよね? なら学校関係者? あの現場にいたのは、ボク以外には確か……」
「ちょっ、勝手に推理しないでください!」
「そういや転移するの、僕が最後って言ってましたよね? もう転移しちゃったってことは、ボクより先に死んだ人間? というか女神様、死んだ順番に転移してるんですよね?」
「ち、違います違います! 転移は死んだ順番じゃくて……あっ!」

 自分の失言に焦り、さらに失言を繰り返す女神様。

「あわわ、また余計な事いっちゃった……!」
「死んだ順番じゃない……。 ならどういう順番で異世界転移するんですか?」
「ノ、ノーコメントで!」  
「ボクたちは爆弾魔の身勝手な異世界転移に巻き込まれた被害者なんですよ? 犯人が誰かくらい、聞く権利はあるんじゃないですか?」
「そ、そんなこと言われても無理なものは無理で……」
「いいから教えてください! お願いします!」
「うぅう……」

 テルに詰められ、頭を抱えだす女神ニンフィア。
 しばらく「あー」とか「うー」とか唸っていたのだが……。

「わ、分かりました。仕方ありません……」
            
 ――と、吹っ切れた様子で顔を上げるニンフィア。
 その様子にテルが「教えてくれるんですか?」と尋ねたが、女神はフルフルと首を横に振る。

「残念ながら女神は他人の情報を語ることはできません。先ほどは失言してしまいましたが、これ以上はもう何を聞かれても答えられません。なのでテル・ソウマさん。これ以上追及するのはやめて、先ほどの失言も忘れてください」
「えー、何それ?」

 あまりにも都合のいい言い分に、思わず眉間にしわを寄せるテル
 不服そうな様子のテルに「もちろんただでとは言いません」と女神が条件を提案する。

「このあと何も聞かずに素直に異世界転移してくれたのなら、一つだけ貴方の願いを叶えましょう」
「願いを?」
「ええ、どんな願いでも……とは言いませんが、アタシのできる範囲でなら何でもいいですよ。そうですねぇ……転移特典のチート以外に、貴方専用のチートをお願いしてみるとか?」
「チートを?」
「例えば……考えただけで相手が死んだり、回復魔法と言いながら何でもアリだったり、ありふれたと言いながら全然ありふれてなかったり、中央値じゃなく平均値の能力だったり……そういうヤバめのチートを希望されても構いませんよ?」
「うっ、それは著作権的にもヤバい奴なんじゃ……」

 どこかで聞いたことのある能力ばかり挙げるニンフィアに戦々恐々となるテル

「いいから何でも言ってみてください。ああ他にも、スライムとかドラゴンとかスパイダーとか、そういう魔物に転生するパターンも人気ジャンルですしオススメですよ?」
「え、えっと……じゃあ地球に帰してもらうというのは?」
「それだけは絶対にダメです!」
「ぐぬぬ……」
「しつこいですねぇ、貴方も。こういう展開でお家に帰れるラノベがありましたか? 無いでしょう?」

 何度も帰らせろと言ってくるテルに、若干うんざり気味で半目になるニンフィア。

「だいたい貴方は死んだんですよ? 普通ならそれで人生終わりなんですから、異世界へ飛ばしてもらえるだけで感謝してください」
「うっ、そう言われると……」
「言っておきますがこれが最後の妥協案です。これが嫌なら問答無用で異世界転移させちゃいますので」
「ぬぁっ! 横暴だぞ!」
「横暴で結構。で、どうしますか?」
「ぐぬぬ……」

 選択を迫られてテルは考える。
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