魔法学校のポンコツ先生は死に戻りの人生を謳歌したい

おのまとぺ

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第一章 魔法学校のポンコツ先生

06 ノエル・ブライス



「クライン先生……?」

「コレット先生で良いわよ。名前の方が聞き慣れてるからすぐ反応出来るし、生徒たちとは近い距離で居たいの」

 食べ掛けの白パンを急いで口の中に突っ込むと「隣良いかしら?」と聞いてみる。ちょこんとノエルが頷いたのを確認して、コレットは腰を下ろした。

 サワサワと静かに風が二人の間を通り抜ける。

 少し癖のある金色の髪に、神秘的な灰色の瞳。魔法石のような色合いを持つ双眼を引き立てる白い肌は、言葉数の少ない彼を人形のように見せていた。

 記憶を辿る限り、こんな少年は自分の担任したクラスに居なかったように思う。何度か名前と顔を見ていく中で、ほとんどの生徒のことは思い出すことが出来たけれど、ノエルのことだけは記憶にない。

 少し探りを入れようか、と口を開いた。


「ブライスくんはどうして魔法学校に?」

「あー……えっと、僕はたまたま生まれ付き魔力が大きかったので。親戚の勧めで入学しただけです」

「そうなんだ。羨ましいわね」

「羨ましい?」

「ん!いいえ、ほら、魔力が低いけど魔法使いを志す人も居るじゃない?だから生まれ持った力が大きいならそれに越したことはないかなって!」

 思わず自分の魔力がゼロであることを明かしそうになったので、両手をバタバタさせて取り繕った。ノエルはその様子をジッと見て黙る。あまり嬉しそうではない顔だ。

「僕は先週、お隣のデネボラ王国から引っ越して来たんです。だからみんなと一緒に入学したわけではないし、まだ知り合いも多くはありません」

「あら、そうだったの? じゃあ私と同じね!」

「え?」

「だって私も今日からだから。みんなのことよく分かってないし、これから時間を掛けて知っていきたいと思ってるの。ブライスくんとどっちが先に詳しくなれるか勝負する?」

 ニヒヒッと笑って見せると、ノエルはぽかんとした顔で黙った後、少しだけ頬を緩めた。笑うと綺麗な顔に息が吹き込まれて、可愛いと思う。

 こりゃあクラスの女子が放っておかないわね、とお節介にも似た感情を抱きつつ、彼がクラスに馴染むのに時間は掛からないことを確信した。

 その時、背後でボーンと予鈴が鳴る。


「あっ!いっけない、この後ミドルセン校長に呼ばれてるのよね。ブライスくんも授業に遅れないように気をつけてねー!」

「ノエルで良いです」

 走り出そうとする背中に声が掛かる。
 コレットは首だけそちらに向けた。

「コレット先生、僕も呼ばれ慣れてるのでノエルの方が良いです。クラスのみんなにもそう呼んでほしいですし」

「そう? それじゃあ、ノエルくん!また午後の帰りの会で会いましょうね!」

「校長先生の部屋はそっちじゃないですよ。西棟の一階なので中庭を通って行った方が近いです」

「あ……そうだっけ?ありがとう!」

 慌ただしくファイルを抱き抱えて走り出すコレットに、ノエルはペコリと頭を下げた。彼の話では転入生ということだけど、既にこれだけ学内のことを覚えているとは、さてはバロンと同じ秀才の類だろうか?

 自分の受け持つクラスに頭が良い生徒が多いのは喜ぶことであると同時に、コレットにピリッとした緊張を与えたのであった。






◇おしらせ

登場人物紹介を追加しました。
話が進むにつれて増やす予定です。

ちょっと好き勝手に書き過ぎたかなと反省していますが、もういっぱい書いちゃったのでこのまま走り続けます。いいねやエールありがとうございます。小心者の励みになるので嬉しいです;;
感想 5

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