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第二章 夏の宴と死者の森
極地会第十八回目(議事録)
司会:前任者が負傷した関係で司会を引き継ぐことになりました。以後よろしくお願いいたします。
シャーロット・デボワ伯爵夫人:あら、随分と若い男じゃない。仮面を取ってみてくれる?
司会:極地会のメンバーである皆様に素性を知られることは命を握られることに繋がるとお聞きしています。私のことは、ただ司会者として扱ってください。
ベン・ダウ公爵:おい、オーリー!お前の嫁が司会の男に靡いてるぞ。天性の色男も老いには勝てねぇな!
オーランド・デボワ伯爵:ハニーは気が多いタイプでね。でも大丈夫さ、最後には僕の元に戻って来ると分かってるから。
シャーロット・デボワ伯爵:んまぁ!ダーリンったらゴミたちの前で恥ずかしいわ!
バジル・グリーン公爵:二人揃えばやはり目に余る痴態だ。司会、こやつらは無視して続けなさい。
(デボワ伯爵夫人が投げた花瓶がグリーン公爵の背後の壁に当たって飛散。事務局員が駆け付けて清掃に入る。デボワ伯爵の仲介によって夫人は着席。)
司会:畏まりました。皆様ご存知の通り、来月予定されていた春夏秋冬祭が延期になりました。理由としましては、レオン・カールトンの体調不良と伺っています。ご意見はありますか?
ディノス・ディノ公爵:白々しい聞き方をするな。意見だと?真相を知っているかと聞けば良いでしょう。
オーランド・デボワ伯爵:真相?なんだそれは?
ディノス・ディノ公爵:君のその青い目はサファイアか何かで出来ているんですか?物事を見極める力が無いなら力不足だ、極地会から抜けなさい。
(デボワ伯爵夫人が発砲しようとしたが、グリーン公爵が右手ごと凍結。医療班と共に伯爵夫人は退室。)
オーランド・デボワ伯爵:すまないね。妻はここ数日気が立っていて、聞いたところでは最近行ったお気に入りのデパートがちょうどストで閉鎖していたらしいんだ。許してやってくれ。
バジル・グリーン公爵:片方だけでも話が分かる人間で良かったな。貴様の妻は再教育すべきだ。
司会:お話し中のところ、失礼します。レオン殿下についでですが、ディノ公爵の仰る通り、ある噂が巷では広まっています。
オーランド・デボワ伯爵:噂?それは何だ?
ディノス・ディノ公爵:ここ暫く、王子の姿をまともに見ていない。報道機関が伝えるのは国王夫妻の近影ばかり。もうお分かりでしょう。
オーランド・デボワ伯爵:早めのバケーションか?
ベン・ダウ公爵:このすっとこどっこい!お前はあの娼婦と脳を共有しているのか?こいつがマーリン・マーリンの遠縁じゃなきゃ、オレは今ここで殺してるぞ。
ディノス・ディノ公爵:マーリンも自分の末裔がこんなに衰退したと知れば嘆き悲しむに違いない。
オーランド・デボワ伯爵:君たちは意地悪だなぁ。我々は知を得た生き物なんだ。言葉を使って説明してくれれば良いだろう。
司会:では、私の口からお伝えします。一部の人間はこう考えています。レオン・カールトンは病に伏しているのではなく、そもそも王宮に居ないのではないかと。
シン・リンレイ公爵:面白い推論だ。私もその考えを支持する。先日プリンシパル王立魔法学校に遊びに行く機会があったが、レオンと同じ魔力の気配を感じた。
ベン・ダウ公爵:なに?
バジル・グリーン公爵:王子は魔法学校に居ると言うのか!?
シン・リンレイ公爵:どうだかな。私が感じた魔力は極微量で、その魔力を纏っていた人間は王子ではなく別の女性だった。他にも気になる点はあるが、レオン・カールトンには幼い親戚が居るか?
ベン・ダウ公爵:意味が分からん。だいたいシン、お前はオレが呼んだゲストなのにどうして今日この場で話すまで黙っていた?
シン・リンレイ公爵:私はダウ公爵の補佐であって部下ではないので。
(ダウ公爵が魔術を発動したため、両隣のグリーン公爵とデボワ伯爵は離席。リンレイ公爵もまた魔術の発動を行ったため、極地会のルールに則って司会者が仲裁。両者はその場で離席。)
司会:書記、僕の革手袋も損失に計上しておいてくれ。対魔術のものでかなり高価だったんだ。支払いはそうだな……ダウ卿とリンレイ卿の折半で。
【出費】メンバー六人への水代。破損した花瓶の修繕費用はデボワ伯爵家に請求。司会者の革手袋についてはダウ公爵家とリンレイ公爵家に請求。
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