魔法学校のポンコツ先生は死に戻りの人生を謳歌したい

おのまとぺ

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第四章 二つの卵と夢

76 オーランド・デボワ2



「それでいったい、どういう経緯で僕の研究室で食事会を開催する流れになったんだ?君たちはここを宴会場か何かと勘違いしているのか?」

 眉を寄せてあからさまに不機嫌な顔をするマウロ・ソロニカが見下ろす先では、教師陣に紙皿を配って回るジルの姿があった。

 生徒たちを送り届けたベルーガも合流して、ミドルセンやアーベルが自分たちのペースで食事を開始する中、輪の中心で居心地が悪そうな男がキョロキョロと周囲を見渡す。どうやらオーランド・デボワという名前であるその男の手首には、今も尚頑丈な手錠が掛けられていた。

 今日は土曜日なので暦上は休日だが、サマーキャンプでの一件があって以来出勤できる教師たちは学校へ顔を出しているため、コレットを含めて六人の教師が集結していた。


「プッチ副校長はどちらに……?」

 質問を受けて魔法道具学のマクシミリアン・クロイツが口を開く。

「猫ちゃんがね、体調不良らしいの」

「へ?」

「ほら、プッチ副校長って愛猫家じゃない?朝方嘔吐もあったらしいし、一度様子を見たいって言って帰っちゃったわ。可愛い面もあるのね~~ンフフッ!」

 場違いな話題と野太い笑い声が部屋を駆け巡って、とりあえず頷きながら、コレットは壁際に立つレオンを見遣った。

 レオンはただ一点、囚われた男を見たままで動かない。身なりから男が裕福な出であることは分かるが、デボワ商会の会長とは。


「レオン、君もこっちに来なさい。久しぶりに顔を見たが、グレゴリオに似てきたのぅ。あれは君ほど魔力に恵まれんかったもんで、随分と学校では苦労したんじゃが……」

「ミドルセン先生、僕は世間話をしに来たわけではありません。結界があるとはいえ、この男の仲間がいつ寄って来るか分からない」

「大丈夫じゃよ。ほんの数時間、学校の場所をおる。今のプリンシパルはお隣のデネボラ王国の下にある無人島に位置している」

交換魔法キドプロキオですか。万が一誰かが結界を潜ったら南の島で仰天するでしょうね」

 おどけたように笑ったオーランド・デボワの頭上スレスレを何かが通り抜ける。白い壁に開いた穴を見て、部屋の持ち主であるソロニカの顔色が変わった。

「おいおいレオン、急ぐ気持ちも分かるが他人の部屋に傷を付けるな!それに、説明するなら先ずは君からだろう。クラインくんの顔を見ろ、何も理解してない赤子同然だ」

「むっ……!?」

 急に名指しされたので、コレットは口の中に詰め込んでいた肉の塊が変な場所に入った。盛大に咽せる背中を強めの力でクロイツが叩いてくれる。水の入ったグラスを受け取ってゴクッと飲んだ。


「彼女と僕の間で話は済んでいます。敵の前で交わすような内容ではありません」

「ちょ、ちょっと待ってくれないか!?」

 デボワ伯爵は大袈裟に顔を歪めて立ち上がる。
 金属の手錠が大きな音を立てて擦れた。

「僕は確かに極地会のメンバーだ!だけど、今日の失敗によっておそらく他のメンバーからの信用を失って、最悪の場合は命を追われることになる!」

「自業自得だ」

「そう言わないで……!!」

 冷たく言い放つレオンに向かって、伯爵は必死の形相で歩み寄る。

「取引をしようじゃないか!」

「取引?」

「ああ。僕は極地会の情報を君たちに渡す。だからその代わりに、君たちは僕の命を守ってくれ……!」








◇おしらせ

長々と続いておりますが、すみません。
綺麗に終わりたいという気持ちは作者的にもあるので、読めるときに読んでいただけると嬉しいです。

ファンタジー小説大賞がそろそろ終わるぞ、ということで、もしお楽しみいただけているなら一票を投じていただければ助かります。

また、表紙をシンプルなものに変更しました。もともと私の自己満足だったので、これまでのものは人物紹介のページに隠しております。

どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
感想 5

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